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免責事項

町の無料のがん検診を受けている。ありがたいことだ。体のメンテナンスに関わることで利用できるものは、とことん利用し尽くそうと思っている。

大腸がん検診は、検診日当日までに便の採取が必要だ。

いろんな年齢の様々な背景を持った人が受診する。適切で正確な検診遂行(検便)のために、職種や学歴、慣れているか慣れていないか、いろんな事情を考慮して、説明書きには様々な工夫と配慮がなされていることと思う。関係省庁、行政職員、保健センターの人たちは、「一定数の人は必ず失敗するもの」「その上で、いかにその失敗する割合を下げるか」に心血を注ぐものと思われる。


免責事項が多いのはやむなしだ。

そりゃそうだ。
説明書きをトイレに流してしまう人がいるんだから。
「この説明書はトイレに流すことはできません」と書かないと、流してしまう人がいるんだから、じゃあ、もしかしたらこういうこともあるかも知れないからコレも書いておこう、アレも書いておこう、

そうやって免責事項は増えていく。

ちゃんと書いてありますからね
あとから文句を言われても知りません
読んでいないのが悪いんですよ

そうとでも言いたげである。

仕方ない、流しちゃう人がいるんだから。


採便用のシートが同封されているのだ。
採便後はそのシートはそのまま流していいことになっている。
だからといって説明書きも流しちゃうのか、そりゃ仕方ない。

きっとパニックになったろうな、流した人は。

自宅のトイレが詰まって水が溢れてきただろうな。
きっと役場に文句の電話をかけただろうな。
ご丁寧に、もしかしたら厚労省に直接、番号を調べてかけた人もいるかも知れない。管轄は厚労省だ。町の担当者では話にならない。末端には用はねえ、責任者出てこい。

どうしてくれるんだ、自宅が汚水で水浸しじゃないか。

いやいや、ちゃんと書いてありますから、
「この説明書はトイレに流すことはできません」って。


とはいえ、狭めのトイレ空間で便器内に採取用のシートをまず置いて、用を足して、おしりを拭く前に便座から離れて、採取キットを使って採取して、周りへの汚染に注意しながら採取を完了して、改めておしりを拭いてやっと流せる、そんな作業、しかも年に1回の慣れない作業を、落ち着いてできるかと言えば、高齢になるほど、身体・認知機能が衰えるほど、難しいと思う。


なんかあれだな、

そうだ、きっとあれだ、
ボンタンアメのオブラートの思考だったんじゃないだろうか?
説明書きを流しちゃった人は。

検査キット一式は、
衛生面を考慮してそのまま水洗トイレで全て処分できる、
ボンタンアメのようにゴミを出さない
流しても(食べても)大丈夫なんだ、
と。

なんか現代のいろんな科学技術に大幅な信頼を寄せていた結果、
全部流していい(食べていい)フェーズに入っていた、

そういうことなんじゃないだろうか。


免責事項が多くて情報量が多い。
かなり落ち着いて熟読しないと身体機能が万全でも認知機能が万全でも失敗しそうだ。

苦労してるな、行政の職員さんたち。
慮る。