虚数と実数
未だに妻を測りきれてない。
頓着しない性格なのか、それとも感謝とか礼儀に忠実なのか、かと思えばやっぱり細かいことは気にしないのか…
挙げればきりがなく他にもたくさんあるのが妻だ。
おそらく今挙げた全部が妻の正解なんだが、
そしてそのどれもを僕はこうやって妻の特徴として言語化できるぐらいには把握してるつもりなんだが、
箇条書きはできるが文章化はできない、そんなイメージ。
そのどれもが僕の狭い世界の方程式では成立しないものばかり。
多くの人は、ある一面から繋げて推測して、自分以外の人の人物像を形作ろうとするだろう。
「こういう一面があるなら、あっちの部分でも同様の行動を取るだろう」
「こんな性格があるのか。なら、あんな言動になるのもうなずけるし、そうする方が理に適ってるよな」
家族だろうが他人だろうが、自分以外の人を把握するのは粘土を貼り付けていくような作業だ。縄文人の骨格の一部が発見されたら、予測的に全体像を作っていくような、あれと同じだ。100%一致はしないかもしれないけど、8、9割は間違いない
ここがこうならここはこう!!
多くの事柄はそれでうまくいく、フツウは。
妻はほぼ当てはまらない。
こんな一面があってもあっちの部分では全く違う行動だし、こんな性格だからあんな言動をするかと思いきや一見理に適わない(妻にとっては適ってる)ことを普通にする。
解けない方程式。
解なし。
いや、実数のみの世界では「解なし」なだけで、
妻は広い広い複素平面の世界に生きている。
実数という狭い世界に妻の特徴を落とし込もうとするのは愚かだ。
妻からは虚数 i が飛び出しても不思議はない。
よく怒られる。いや、怒らせる。
僕もちょっとは学習したかもしれないけど、それでもここ15年以上僕はほぼ同じ地雷を踏み続けている。毎回同じようなことで怒らせる。
なんで繰り返してしまうんだろう
僕がずっと実数だけの世界から脱け出せておらず、妻が複素平面の視点を持っているからか?
高校でやった複素数はずっと苦手だった。
なんやねん虚数て。
しかし理解のしがいは底知れなかった。
そんなぶっ飛んだ概念持ち込んで来るんかい。
理解できたら面白いやろうな。
理解したいな。
今でも理解は追い付いてないけど、人生の教養として一生かかっても理解したい、それが複素数。
つかみどころなくて、よく怒らせるけど、だいぶ面白い。
虚数 i の妻
カッコいいんちゃう?
…ほんとは逆で、妻が実数、僕が虚数という可能性も…?
「虚数」と言っても、結局実数の世界から見た一方向的な概念な訳で、元々「(実数世界でいうところの)虚数」側の住民にとっては、対岸の実数は理解の及ばない世界かもしれない。
理解したくてしようとするけどまだできてない、この状態が一番面白いのかもな。
「虚数 i の妻」とか言ったらまた怒らせるかな…?
あながち悪くないと思うけど…