五本指靴下が一発で決まらない
足の指(足趾)は手の指(手指)と感覚の分布が異なる。
ヒトが二足歩行をする上で足趾の感覚は重要だ。地面を掴む。重力に抗して蹴り出す。しかしどちらかと言えばそれらは粗大な動きであり、手指のような巧緻性に優れたものではない。ヒトの足趾と手指とでは役割分担が大きく異なる。
訓練を積んで足趾で箸を持つなどは可能かも知れないが、一般的には難しい。曲げる・伸ばす、強く掴む・離す、グー・パー、これくらいが関の山だ。いずれも五本集団の動きであり、手指のような個別の運動は難しい。場合によっては、足の中趾を触られても薬趾を触られても区別がつかないことだってある。
足趾の感覚は粗大で、手に比べると鈍め。
足趾なんてそんなもんだ。
おまけに汗をかきやすい。
足に汗をかかない人はうらやましい。
足に汗をよくかくから厄介だ。だからこそ五本指靴下を志向するとも言える。
汗をよくかくから五本指靴下にしているのに、五本指靴下の着脱、特に着用は、まさにその汗とかエトセトラが要因で一発で決まらないからもどかしい。
汗と粗大な感覚の構造的要因がある。
まず湿ってるからスッと滑って入ってこない。先述の通り、中趾と薬趾が同じ指に入る。足が湿っているから引っ掛かり、感覚が粗大だからまとめて二本入ってもすぐには気付かない。
パンツや他の普通の靴下のように立って履けない。一応立ってトライするが、中趾と薬趾が同じ指に入るので、結局座って一旦脱いで、履きたい側の膝を持ち上げてかかとを座面に載せ、手指の助けを借りながら一本ずつずれないように足趾にはめていくしかなくなる。
足に汗をかかない人で足趾の感覚に優れた人は、立ったまま五本指靴下をサラッと履けていいなぁ。
五本指靴下が一発で決まるサラッとした人はいいなぁ。