レジの合間に
帰省途中の深夜、幹線道路沿いのコンビニに寄った。
レジに店員さんが1人、レジ後ろのカウンターにもたれてスマホゲームをしている。
(おぉ、ハート強いな)
客はまぁまぁいる中、深夜のワンオペ店員さんはレジの後ろのカウンターにもたれて熱心にスマホゲーム中だ。
まったく隠す様子がない。色んな意味で強いな。
名札にカタカナが見える。外国人だ。
目当てのおにぎりを持ってレジの前に立つ。
10秒ぐらい待つ。ハートの強い外国人深夜ワンオペバイト店員さんの目の前でおにぎりを持って会計を待つが、店員さんは気づいてくれない。
気づいてる?気づいてるのかもしれないけど、対応してくれない。目の前に客が来てて気づいてないわけはない。そもそも仕事に誠実であれば、何か別のことに集中してても、アンテナを立てる努力の姿勢は見せるはずだ。そもそも仕事に誠実な人は、カウンターにもたれてスマホゲームに集中しない。
レジを気にしながらゲームしてるのかと思いきや、レジを気にすることなくスマホゲームに集中している。
なんと残念だ。
この人はシンプルにポンコツ店員だ。
外国人か日本人かは関係ない。
こういう状況になった以上、「仕事」という社会的側面で考えた時に、この店員さんは弁解の余地なくポンコツ認定だ。
レジに並んだのが僕だったから良かったものの、店内には怖そうなおじさんの客もいる。ハイエースから出てきた怖そうなおじさんの客なら、外国人深夜ワンオペバイト店員さんはどんなイチャモンをつけられるかわからない。
僕のうしろにおじさんが並ぶ前に早く気付いてくれ。
そうこう考えるうちに、店員さんはタブレットを置いてレジに付いてくれた。
タブレット?
素早いレジ対応。
「ありがとうございました」
少し訛りのある日本語で静かに接客を終える。
外国人深夜ワンオペバイト店員さんは、わりと小さめのタブレット端末で何らかの業務をしていた。
…発注してたんかな?
スマホゲームはしてなかった。
スマホに見えなくはない、わりと小さめのタブレット端末。
そういえば近くには国立大学がある。
あのハートの強い外国人深夜ワンオペバイト店員さんはポンコツではなかった。
成績優秀に付き返還不要型の奨学金で日本の国立大学大学院に留学する東南アジアから来た学生だ。東南アジア出身の成績優秀な留学生は、深夜のワンオペシフトを任せられるぐらい、コンビニ業務に関しても優秀だ。客層の広い幹線道路沿いの深夜シフトで、客がまぁまぁ店内にいるにも関わらず、周囲にアンテナを張りながら、僅かなスキマ時間を見つけてタブレットで発注をかける。東南アジアの優秀な留学生は発注も任せられている。
たぶん。
しらんけど。
ポンコツ認定したことを心から謝りたい。
しかし返還不要型の奨学金で東南アジアから来た成績優秀な留学生であるかどうかは、勝手な想像だからホントかどうかわからない。
ただしハートが強いことは間違いない。