サンタクロースの正しいなりかた
誰もがサンタになれる。
その気になれば、サンタクロースになる機会と権利を誰もが持っている。
そう。サンタになるには、なる気があるか、
それ次第。
長女と次女。
長女はもう分かっている。
全てを知っている。
そして次女。
次女の心はお花畑。
次女のイノセンスは健在。
次女はサンタが我が家に来てくれるのを心待ちにしてくれている。
今年は長女が全てを知る森羅万象の神となったので、妻と僕の会話を聞いて口裏を合わせてくれる。うっかり口が滑ったりしない。長女は頼もしい。
家族3人で次女のイノセンスを全力で守りながら、クリスマス当日を迎える。
妻・長女・次女が床に就いてからサンタクロースが動き出す。
仮装などはしない。寝静まっている間に見つからないよう、ただそっとプレゼントを置くというシンプルスタイルのサンタ。
僕は12/24の24時半頃、ごそごそと歯磨きを済ませ、自分自身も床に就く前に、たんすの引き出しに忍ばせていたAmazon産ワイヤレスイヤホンを取り出す。
昨年まではおもちゃだったが、今年はガジェット系。
次女、心はお花畑だが希望するプレゼントはいっちょまえだ。
ちなみに森羅万象の神となった長女は、現金を希望。
サンタからもらった現金で、こちらもまたワイヤレスイヤホンを買うのだそう。現実主義でリアリスティックで良い。そう育つように望んだ。今のところ望んだように育ってくれて何より。我が家に来るサンタは、日本円の新券にもしっかり対応してくれる。頼もしいな、我が家のサンタ。キャッシュレスにも対応してるのかな?きっとしてるだろう。がんばれサンタ。
次女はAmazon産のギフト仕様。
長女への現金は、茶封筒では味気ないからムーミンのクリスマスカードを添えてみた。
12/25の朝。
次女は喜んでくれた。
長女は喜んでいるように見せてくれた。
ところが次女はちょっと悲しがった。
「サンタさん、わたしにはお手紙忘れたんかなぁ。『あわてんぼうのサンタクロース』っていうぐらいやから、途中で落としてしもたんかなぁ」
何気に涙を誘う次女。
長女にだけクリスマスカードが添えられていたからだ。
サンタ(僕)は、次女にはギフト包装とモノ自体があるからいいと思っていた。長女へのクリスマスカードはいわばオマケのつもりだった。次女にもカードを付けるべきだった。次女の心情を見誤っていた。サンタ(僕)のバカ野郎。
次女の悲しがるくだりを横目に、長女は吹きだしそうになるのを手の甲で口を押さえてぐふぐふ言いながら堪えている。吹きだすなよ!長女!
妻の提案で、改めてサンタ(僕)から次女宛てのお手紙を書くことになった。英語で書いた。英語で和紙の便箋に書いた。
Dear (次女の名前)
I’m sorry that I've lost the letter to you while dashing through the snow.
I was looking for and found it finally!
I wish you a merry Christmas and a happy new year!
Santa Claus
多分合ってる。合ってるよな…?
仮に間違ってても雰囲気が大事。
「サンタが和紙に英文で日本の子どもにお手紙を」のアイデアは妻。
妻 斬新や。
12/26の朝。
今朝や。
前の晩、まだ撤去してなかったツリーに添えて和紙手紙を置いておいた。
トイレに起きてきた次女が気付く。
喜んでいる。
「英語読んで」
自分で書いた英語のお手紙を自分で読む僕。
結果的に、お手紙で次女にサンタが誠意を見せたことになる。
次女はサンタが誠意を見せてくれたことにかなり感銘を受けている。
長女はぐふぐふ堪えている。
来年はどうなるかわからんが、
その気になれば誰もがサンタだ。
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