自転車を自分で直す
通勤に使っているママチャリのチェーンが緩んできていたので、自分で直すことにした。
今さら私が吹聴するまでもなく、当然のように多くの人が動画やブログで「緩んだチェーンの治し方」「露出タイプ」「フルカバータイプ」「変速あり/なし」といった、パターン別の説明を上げてくれている。やる気があれば自分で何でもできる時代だ。自転車の修理もDIYのうちである。
自宅前の砂利と石畳の間に自転車のスタンドを止めた。「間」じゃなくてせめて「石畳側」に止めろよという声が聞こえてきそうであるが、環境制約上「間」しかないので「間」に止めた。まずチェーンのカバーを外す必要があり、プラスドライバーでカバーのねじを外した。砂利と石畳の「砂利側」の地べたに座り、ねじの作業をした。せめて「石畳側」に座れよと言われるかも知れないが、環境制約上「砂利側」しかないので「砂利側」に座った。
ドライバーを回しきってねじが外れる段階まで来ると、いつも上手く受け取れず、下に落ちてからねじを拾うことになる。私は砂利側で作業をしていたので、砂利側にねじが落ちた。1つ外し、あと2つだ。あと2つ終わったらまとめて3つ拾おう。作業にはリズムというものがある。ドライバー回しは途中で止めるとリズムが狂うのだ。今いいリズムで1個目を終えたのだから、いっそこのまま残り2つも外してしまおう。よし。3つ外した。3つとも受け取れず、下に落とした。
ねじがどこに行ったか分からない。砂利の色と絶妙にカモフラージュされ、大きさも砂利と同じか、ややねじの方が小さく、砂利の隙間に落ち込んだのか、一見する自分の視野の中に「ねじ」と思しき形状のものがあるのかないのかすら分からない。
ああ。
肝心の本作業(チェーンの締め直し)にかかる前にねじの捜索が必要だ。ねじを外した直後の今でさえどこに行ったか分からないのに、先に本作業(チェーンの締め直し)にかかってしまうと、砂利の上を行ったり来たりして砂利がジャラジャラと撹拌されてしまえばもう雲をつかむようなことになりかねない。
ひとつひとつ小石を石畳側に移動させ、ここらへんにあるだろうと予想される区画の石の総量を減らし、視覚で発見できるようにした。闇雲に雀牌を混ぜ触るようにねじを探すと、もう見つからないことは確実である。
あった。3つともあった。良かった。
なんだかんだやってチェーンは無事に締め直せた。
自転車の前後を逆に止めれば、私は「石畳側」に座って作業をできただろうと、終わってから思った。