「テットボトル」の考察
長閑な山あいの道の駅に寄った。こじんまりとした店舗に人は疎らな夕方前。車中で飲み干したペットボトルを捨てに。
そして「テットボトル」を見つけた。
僕は考えた。このガムテープの表示の筆者とその周囲の状況を、ケース別に考察した。
筆者はたぶん高齢の人:
字面でペットボトルを認識したことがなく、音声のみで何となく知っていたニュアンスを、いざ字面に起こす場面に遭遇した。「これで間違いない」と。
管理・運営者もたぶん高齢の人:
筆者が管理・運営者かも知れない。町のシルバー人材センターの派遣で。もしくは、管理・運営者が筆者とは別人だとしても、管理・運営者もペットボトルは「テットボトル」だったから、間違いに気付いていない。気付いていたかも知れないけど、指摘が面倒だから放置した。
店舗の従業員は高齢者のみで構成(皆、ペットボトルが「テットボトル」の人たち)、管理・運営担当者は町の40、50代職員:
現場に常駐している従業員は高齢者グループ。町の担当者は頻回に巡回するわけではない。巡回に来てもごみ箱の状況まで細かく監視するわけではない。よって放置。
従業員は地元商工会青年部の若手(30代まで)、町の管理・運営担当職員は再雇用のまだまだ脂の乗った60代(「テットボトル」の人):
青年部の店員は新商品考案に忙しい。ある日、「テットボトル」を見つけるけど、町の60代再雇用担当者に物申すことは気が引ける。放置。再雇用担当者は「若いやつに新しい企画は任せよう」と、自身は設備管理に専念する、理解のある年長者のスタンス。あぁ、そういえば「テットボトル」用のごみ箱がなかったよな。観光客は「ビン・カン」用にお構いなしに「テットボトル」を捨てていきやがる。「ビン・カン」用は自販機横に業者が持ってきてくれたのがあるから、この場所には「テットボトル」用があれば十分だな。もう素材に「ビン・カン」って書いてあるけど、とりあえず上からガムテープで貼っ付けて上書きしておくか。ちゃんと油性マジックで「テ、ッ、ト、ボ、ト、ル」と。よし。…ん?これ水性じゃねぇかよ。間違えたー、まあとりあえずこれで良しとするか。
…っていう。