「髪が減ってきたら坊主にしよう」は反対される
他ならぬ自分の体に対する、他ならぬポジティブな自分の決意なのにも関わらず、反対されるのは少々不本意だ。
父は「でこ ひろし」(死語)だった。僕が小さい時、一緒にお風呂に入るたびに「どんどん抜けてくわー笑」と明るく語った。朝の洗面台で父がヘアセットした後には髪の毛がたくさん落ちており、ティッシュで丁寧に拭いて集めて捨てていた。
父の抜け毛を見て「こんな抜ける?」と思う一方で、「こんなもんなんだろう」とも思っていた。どこの父親もこれくらい普通なんだろうと。
そして僕にもその時が来た。今その時を迎えている。入浴時のシャンプーですごく抜ける。朝のセットですごく抜ける。こんな抜けて大丈夫?
僕は髪の毛が細い。心のように繊細。ただ抜けても生えてくるのかして、まだ残っている。ペースとしては減少ペースだが、それを上回る発芽があるから残ってくれてるのだろう。
僕は中学ぐらいで決めていた。将来髪の毛が減ってきたらいっそ坊主で決まりだと。ダウンタウン松本さんが坊主になったぐらいの時期。
これまでに何度か坊主にしてきた。
中3の体育大会の組体操で気合いを見せるため。
高1の夏、前年の坊主の心地よさが恋しくてノリで。
高1の冬、一度は桜木花道みたいになりたくて(赤坊主)。
桜木花道から20年以上経ち、人生四度目の坊主もそう遠くないと覚悟を決めた最近。テレビに「水曜日のダウンタウン」(録画)が流れる前で家族にふとつぶやく。
「このまま髪減ってきたら坊主にするわ」
次女「絶対やめて気持ち悪い」
どーん