味変
「この牛乳腐ってない?」(味がなんかヘン)ではない。
「味に変化を付ける」の方の味変だ。
パンダのクランチチョコを謳っているのだが、その実、下半分の土台が普通のクランチチョコ、上半分がパンダのホワイトチョコで、クランチメイン感はない。クランチの美味しさはあるにはあるが、商品名として「クランチチョコ」を謳うには50%足りない。
クランチチョコかぁ☆やったぁ、クランチチョコ好きなんだよな~
って期待して口にいれた人の気持ちに寄り添っているとは言えない。
作り手はクランチチョコに飽きていたのかもしれない。もしくは、ホワイトチョコに飽きていたのかもしれない。
そう。作り手は「味変」に挑んだのだ。
商品名が「クランチチョコ」である以上、手に取った時点で消費者の口はクランチチョコになっている。そして実際口に放り込むと、「あれ?」となる。クランチあるっちゃあるけど、口いっぱいにクランチ広がらないなぁ、何だこれは?となる。
一般に、クランチチョコはかじり倒すものだ。かじってなんぼの世界。世界線。世界戦。世界新。新世界。
一般的なクランチチョコの他聞に漏れず、口に放り込んだ瞬間からかじり倒すモードに入ると、「あれ?」となる。上半分が普通のホワイトチョコだからだ。
一般に、ホワイトチョコはなめ倒すものだ。なめてなんぼの世界。世界観。尾崎世界観。観阿弥世阿弥。
本来なめ倒すものをかじり倒すモードでイッちゃうものだから、「あれ?」となる。
口半分にクランチが広がり、残りの口半分に砕けたまだ溶けてないホワイトチョコが広がる。砕けただけのホワイトチョコはただの欠片であり、本来のなめ倒す楽しみ方の時に感じるとろけ具合に到達するまでは、まだ少し温熱性が足りていない。だから欠片然としたホワイトチョコと、広がりきらない少なめのクランチが混ざって、「あれ?」となるのである。
しかし、作り手はこの「あれ?」を生み出したかったのかもしれない。だとしたらかなり優秀で先読みできるクリエイターだ。
…と作り手を誉め称えたいところだが、今回の作り手は重大なミスを犯していることに気づいてないかもしれない。
純粋にクランチを期待して飛び付いた消費者の心を置き去りにしたというミスを。