門出
長女に新しい自転車を買う。
高校まで乗れるようにと、27インチを選ぶ。
今まで24インチやったのに、もう僕の自転車と変わらないサイズ。
長女に初めての通学定期を準備する。
上靴、制服、体操服、カバン
カバンは自由だからと、自分で楽天市場で選んでる。
決まったら共有でLINEに送っといてな。
長女と通学の練習をする。
徒歩、電車、自転車。通学ルートを一緒に確認する。
自分で時刻表もわかるようになっときや。
長女とネクタイの練習をする。
一旦「締め方の教え方」を僕が練習した上で、
長女が締め方を練習する。
僕が教えるより動画で練習する方が分かりやすいかもな。
当たり前やけど、初めてのことだらけやな。
門出の重み付けのしかたは人それぞれ。たかが通過点。されど通過点。長女は楽しみにはしてるけど、長女にとって門出は、ただ「楽しみ」、ただそれだけのもん。僕にとってはちょっと違う。僕にとっては特別だ。僕にとっての長女の門出は…
…いや重い重い。なんか全体的に重い。
「門出」とか使ってる時点で重い。「僕にとっての長女の」とか言ってたら嫌われる。もっとライトに送り出してあげた方がいいだろう。
たかが通過点。されど通過点。
あまり騒ぎ立てず、ただそっと見送る…
…いや、まだ重いな。
重さが抜けきらない。
「いってらっしゃい!!」
急に明るくされても困るよな。
「いってらっしゃい」。
これだけでいっか。
入学式はあいにくの雨だ。