ドーナツと思い出
私が小さい頃、昭和30年代のお話です。
母が作ってくれていたおやつはドーナツでした。
小麦粉に卵、ベーキングパウダーを入れて、ほどよい固さにして、それを輪にして、油で揚げて、最後にお砂糖を振りかけて作ります。
揚げたてを新聞紙にのせて、油を落としてから食べます。この時にこっそり食べるのがたまらなく美味しかったのを覚えています。
油をたくさん使うので、母は天ぷらなどに使った油を上手く再利用して揚げていました。さらりとした味ではなく少しギトギトした味わいが、私の昭和のおやつの思い出です。
母は父の教え子たちが自宅に来る時は決まって手作りのドーナツを作ってくれていました。
今のようにスイーツが溢れていなかった時代に、お母さん手作りのドーナツの味は格別で、子どもたちにも大人気でした。
令和の私は、ミスタードーナツでおしゃれなドーナツを買って食べています。
ショッピングモールに、買い出しに出掛ける時は、必ずミスタードーナツの行列に並んでいます。
母が作ってくれていたあの手作りドーナツの事が、記憶にしっかり刷り込まれているからでしょう。
私はテイクアウトがほとんどですが、その日はイートインで食べることにしました。
日曜日の午後で店内は満杯です。そんな賑わいも庶民的な居心地の良さにつながります。
たくさんの種類が並んでいるショーケースの中を見渡して、何にしようかと悩むのですが、結局いつも同じものを注文します。
それは「ポン・デ・黒糖」です。好みは人それぞれですが、私はふんわりもっちりとした、香ばしくて懐かしい黒糖シナモンの味が大好きなのです。
ポン・デ・黒糖を食べながら少し濃いめのコーヒーでしばし憩っていると、ふと幼い記憶が甦りました。
「お母さん、余った生地をスプーンですくって油に落としていたなー、あれを食べるのが好きだったなー」
ミスタードーナツで、幼い頃のおやつの時間を思い出した私です。
母にはお土産にオールドファッションを買って帰りました。
母は、そのシンプルな懐かしい味が好みで、買って帰ると「なんか懐かしいんよねー、ありがとう」と喜んで食べてくれました。
その日は、母と二人幼い頃のおやつの話で盛り上がりました。
手作りのあのちょっぴりギトギトしたドーナツはもう何十年も作っていません。
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