4月の推奨香木は「たおやかな真那賀」です♪

写真では判り難いかも知れませんが、細胞組織の樹脂化の度合いが全般的に低い(粗い)シャム沈香です。でも敢えて遠めの火加減で加熱してあげると、真那賀に特有のたおやかで艶やかな香気を放ってくれます。

4月推奨香木①

その香気を五味で表わすとすれば、いかにも真那賀らしい「甘」と絡み合うように、むしろ控えめとは言い難い強さを感じさせる「辛」が、支配的に持続します。

明らかに伽羅のそれとは異質な「甘」を確認・堪能できると言う点では『仮銘 山ざくら』、『仮銘 雲ゐの花』、『仮銘 のどけき峰』などと同様ですが、比較的に樹脂化が進んでいない状態で採集されたと思われると言う点では、『仮銘 夢の浮橋』と共通しているように思われます(いずれも輸入年代は古いと考えられますが)。

夢浮橋

『仮銘 夢の浮橋』(写真上)
『仮銘 宿の梢』断面(写真下)

宿の梢④

その樹脂化の度合いの低さから一見して頼りなさ気に思えるところから、以下の和歌を証歌として『仮銘 宿の梢』と名付けさせて戴きました。

花さかぬ宿の梢になかなかに春とな告げそうぐひすの声
                     (藤原俊成)(玉葉和歌集)

日増しに稀少性を増す‟昔ながらの沈香の真那賀”に特有の曲(くせ)を感じさせる香木として、ぜひ鑑賞して下さいます様、推奨させて戴きます。

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