最上質の沈水香木は‟沈水”する⁈
おかげ様で推奨香木徳用版の試みに対して多くの皆さまから温かい反響を頂戴しており、とても有り難く、感謝申し上げます。
香木愛好者の皆さまからのご期待に副えます様、連日、一粒ひと粒を丹念にチェックし、分木の準備を進めています。
何故なら香木の塊は一様に樹脂化を遂げたわけではなく、密度が高い箇所もあれば低い箇所もあり、それらが様々な状態で入り混じっているからです。
つまり、最上質の伽羅の塊を刻んでも、全ての粒(欠片)が均質に最上質とは限らないのです。
ところで、「最上質」と謳った反響の一つと受け止めていますが、「最上質黒油伽羅(刻み)」に関しては、次のようなご質問を戴いています。
すなわち、『最上質の伽羅は、本当に水に浮かないのでしょうか?』というものです。
なるほど沈香とは沈水香木の略であり、すなわち上質な沈香は水に浮かないことを表していると解釈されて来ましたし、香雅堂の見解としても「水に沈むから上質とは必ずしも言えないが、上質な沈水香木の優良な(=樹脂化の密度が高い)部分は水に浮かない」と申し上げて参りました。
要するに「香木の良し悪しは飽く迄も香気が好ましいかどうかの問題であって、比重の大小が重要なのでは無い」ということなのですが、一方で、沈水香木が極めて特殊な存在であるとは言え元は樹木の一部ですから、それが水に浮かないということが理解し難いことも事実かと思います。
そこで作業中にふと思い立って、厳選して計量した0.5gの一袋を実証実験の材料にして、その結果を皆さまにご覧に入れることにしました。
高度に樹脂化した沈水香木は、例え小さな粒(欠片)に形を変えたとしても比重の大きさに変化は無く、仮に水に漬けたとしても組織に水分が浸透することは無く、もちろん変質もしません。
従って、水質がきれいなミネラルウォーターであれば、放り込んでも、全くダメージを受けないのです。
さて、0.5g分をメモ用紙に広げてみました。
そして、メモ用紙を傾けて、粒(欠片)を全てコップの水中に落としました。
粒(欠片)は様々な形状をしていて、空気があちこちにくっついて、水泡が出来ています。
水泡は言わば浮袋のような存在ですが、それでも粒(欠片)は全て完全に沈水しました。
小粒ながら、比重の大きさが窺い知れます。
コップを上から見た写真です。
上手に撮影できないため、分かり難いかも知れません。
そこで、コップを横からも撮影してみました。
水泡の様子が見えるかと思います。
香木に対する敬意から通常はこのような実験を行なうことはありませんが、「上質な沈水香木の優良な部分は水に浮かない」ことがお解り戴けたかと思います。
引き続き、可能な限り均質の「刻み」をお届けできますよう頑張ってチェックしていますので、どうぞお手許に届くのを楽しみにお待ちくださいます様、お願い申し上げます。