念願の扁額づくりが佳境に入っています♪

高校生だった頃、ゲーテの格言集を愛読していた時期がありました。
そして、『急がず、休まず』を座右の銘として意識していました。
『星のように、急がず、しかし休まず、人はみな己が負い目の周りを巡れ』という一節から採ったように記憶しています。
やんちゃだった割には、意外と内省的な一面も持ち合わせていたようです。

いつの頃でしたか、どこかで見かけた茶掛けに『守拙全天真』の一行があり、とても感服してからは、『守拙』を座右の銘として参りました。
『つたなきを守りて天のまことを全うす』という志です。

その志は、香雅堂を設立し運営する上でも、ほぼほぼ…ではありますが、何とか貫いて来れたと自負しています。

そして何年か前から、志野流香道御家元の許しを得て二階和室を『守拙庵』と名乗り、床に扁額を掛けたいと願うようになりました。
構想から10年ほど経たでしょうか、ようやく御家元に揮毫して戴き、それを原稿にして、選び抜いた香木に彫って貰うことが出来ました。
もちろん外箱には御箱書を頂戴し、花押を認めていただきました。

扁額③

まだ彫っただけの段階なので読み辛いですが、守拙の左には花押も入っています。
中央部分を少し拡大してみますと…

扁額(守拙)②

こんな具合です。

素材にはインドネシア産の沈香を選びましたが、とても堅牢な香木で、手彫り看板の職人さんも手を焼いて、一時は断られたくらいでした。
苦労して彫り上げて下さったのは、台東区松が谷の「福善堂坂井看板店」の跡取り息子坂井智雄さん。
江戸にもまだまだ色んな職先が元気に頑張っておられることを知る機会にもなり、また可愛いチワックスのウィルちゃんとも仲良しになり、とても喜んでいます。

福善堂坂井さんとウィルちゃん

ウィルちゃんのアップも。
撫でられるのが大好きで、打ち合わせに夢中になって撫でる手を止めると、直ぐに短い右足を一生懸命に伸ばして催促するのが可愛くてたまりませんでした。
とても大人しく控え目ですが、立派な看板屋さんの看板犬です。

看板屋の看板犬ウィルちゃん

年明けには蒔絵師さんに預けて、文字を漆で仕上げて戴きます。
完成しましたら、改めて披露させていただきます。

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