まず最初に結論から。
書くべきことが書けてたら点数つくから気にしなくていいよ、書きやすいやり方でどうぞ!!!
なんじゃそりゃ、答えになってない!と思われるかもしれないし、いろんな人が「こう書け」って言ったり言ってなかったりするから不安になる人もいると思う。行政法の大家(塩野先生とか宇賀先生とか高木先生とか)に言われたらまだ安心できるかも(いやその権威思考まずくねって話は置いといて)しれないけど、お前誰やねんなわたくしめが何言っても「信じません!!!」となるのが普通。
ということで、今からなんで「お好きにどうぞ」という結論になったかを説明します。めちゃくちゃ長いので、適宜読み飛ばしていただいてかまいません。いろんな書き方、考え方があるんだ、ということをお分かりいただけるといいかなーと書いたところなので。
そのあと、「お好きにと言われても困る!おすすめを述べよ」というご要望があるかと思いますので、それぞれのおすすめポイントと気を付けるポイントを書きます。(これは2で)
最後に、わたくしめが実際に答案に書いたやり方、今教えてるやり方をお伝えします(これも2で)。結局好みなんだなぁと思っていただければこの記事の意味はあったといえるでしょう。
注意:学問的な正しさには一切触れておりません。ローの先生から「こうしなさい」と言われたら、それに従ってローの答案は書きましょう。ローの先生が「こうしなさい」とおっしゃったということは、それがたった一つの正しい考え方だと思っておられる可能性が高く、それに従わないとローの点数がもらえない可能性があります。司法試験・予備試験では論理的に正しい答案が書けていて、書くべきことに触れられていればどのような立場からでも点数が出ると思われます。司法試験・予備試験のときはお好きにどうぞ、ということだと思ってください。
1 なぜ「お好きにどうぞ」という結論となったか
(1) 検討手法
処分性の書き方を決めるにあたって、何を参照してどのように検討したのかを説明しておきます。今回はたまたま受講生さんから聞かれて、「書いてみるか」と気が向いたので書いてます。が、受験勉強中には自分で調べて態度決定をしないといけないことはいくらでもあります。そんなときに自分で考えてえいやっと決めることができれば、より気楽に受験勉強を続けてもらえると思います。
まず、この問題が「みんなが認めるたった一つの正しい書き方」がある問題なのかを検討しなければなりません。もし仮に「みんなが認めるたった一つの正しいやり方」がある問題の場合、それ以外の答えはすべて点数がつかない可能性があるからです。
たいていの場合、「みんなが認めるたった一つの正しい書き方」が決まっていることはありません。決まっていればもうその書き方について基本書・演習書が言及しているはずですから。ですが、自分のリサーチが足りなくて、もしくは基本書・演習書が当然の前提としているせいで「たった一つの正しいやり方」を把握できていない可能性もあります。そこで、私はとりあえず家にある基本書と演習書と入門書とコンメンタールを全部引っ張り出してきて、当該問題に関する記述部分をすべて読みます。仮に「みんなが認めるたった一つの正しい書き方」があるとしたら、それは基本的なこととして共有されているはずなので、さすがに上4つのどれかには書いているし、違う話が出てくることはないだろうと考えているからです。
ここでどの本を読んでも、同じことが書いてあると文章からわかる場合には、検討はここで終了です。どの本にも同じことが書いてあるということは、その通りにすることをみんなが承認しているということになると私は考えています。なので、上記条件がそろえば、これが「みんなが認めるたった一つの正しい書き方」なんだと認定できるからです。めったにないですけどね!(20こ見て1つだけ違う場合は外れ値とみなして無視したりします。ここは皆さんの感覚次第な気がします。)
「みんなが認めるたった一つの正しい書き方」がどうもないらしい、とわかった後は、「どの書き方で書くのか、どの書き方はまずいか」を検討していきます。
上記を検討するにあたっては、司法試験の出題趣旨・採点実感・ヒアリング・予備試験の出題趣旨を確認します。だいたい最初の「みんなが認めるたった一つの正しい書き方」を検討するための本読みの段階で、「こうやって書くのがよさそうだなー」というあたりがついていることが多いです。ただ、その書き方が一般的なものなのかがわからない(少数有力説なこともある)ので、司法試験予備試験が求めている書き方を確認します。
最初に書いたように論理的に正しくかけていれば点数がくるのです。なので、どれで書いてもよいとその時点で結論づけてもいい気がします。が、どうせ試験で書くための準備をするんだったらその試験が求めてる書き方で書くのがいいんじゃない?ということで出題趣旨等を確認するんですね。
順序が逆だと思われるかもしれません。司法試験に受かるためには出題趣旨だけ確認すればよい、と。もちろん出題趣旨を確認すれば必ず書き方が載っている、必ず一貫した書き方が採用されている、というのであれば先に出題趣旨でもいいと思うんです。が、字面だけ見ると矛盾というか、要望事項変わっているように見えたり、そもそもどういう書き方前提にしてるのこれ?っていう出題趣旨もあったりします。なので、私は検討する時には基本書等をガーっとみて、どういう書き方がありうるのか、ということを先に知っておくようにしています。そのうえで出題趣旨等をよんで「どうもこの書き方で書くことを前提にしているらしい」と分析しています。
出題趣旨も「どれでもいいよ」と思ってそうな書きぶりになっていれば、私の結論も「どれでもいいよ」になりますし、どうも一定の書き方を前提としていそうだ、ということになれば「この書き方がよさそうだよ」という結論になります。
こんな感じで検討して結論を出してます。受験勉強中であれば、①お手持ちの基本書、演習書、予備校テキスト等を確認し→②出題趣旨等を確認する、というステップを踏んで考えるといいんじゃないかな、と思います。
では、実際に検討していきましょう
(2) 入門書、基本書、演習書、コンメの記載検討
今回は処分性の書き方が主題ですので、それに絞って書いていきます。また、司法試験対策のため、という目的から、受験生が読まなさそうな本はできるだけ省きます(コンメは省かないのか、という質問に対しては、大好きな岡村周一先生が書いてるから省くわけがないという回答をしておきましょう。日本評論社のコンメのみで、条解、注釈行訴や行訴研究はおとしてます。)。百選や争点も今回は検討対象から外します。処分性の書き方という総論を扱うので、個々の判例を扱う百選を読むと時間が足りなくなるのと、争点は、最近の受験生さんが読んでなさそうなので……。
検討結果だけを書いていきます。一部引用もしますが、私が読んで考えて「こう考えてはるんかなあ」と思った内容をメモのようにぽんぽん書いていきます。別の読み方ができるよ!というのもあり得るところです。
ア 入門書
・大橋洋一「社会とつながる行政法入門(第2版)」115頁
最判昭和39年10月29日民集18巻8号1809頁(以下、ごみ焼却場判決とします)があげた「行政庁の法令に基づく行為のすべてを意味するものではなく、公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、その行為によって、直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているものをいう」という文章が「最高裁の公式」として挙げられています。そして、この「公式」を「(a)法令に基づく行為であること(b)公権力の主体である国又は公共団体の行為であること(c)国民の権利義務を形成し、またはそのはんいを確定することが、法律上認められていること(d)(c)でいう権利義務の形成やその範囲の確定が国民に対し直接行われること」の4つの特色にわけています。処分性は「最高裁の公式」に照らして検討するとされ、この4つがすべて満たされているかをあてはめています。
・藤田宙靖「行政法入門」(第7版)200頁以下
ごみ焼却場判決のうち「行政庁の法令に基づく行為のすべてを意味するものではなく、公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、その行為によって、直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているものをいう」との部分をあげている。この考え方を最高裁の「従来の公式」とよんでいる。「従来の公式」は要するに「行政行為」のことであり、ほかの行為は基本的には「行政庁の処分」ではないとする。「従来の公式」は原則であって、例外を許さないわけではないこと、法規定のあり方に照らして「従来の公式」に当らなさそうでも処分にあたる場合もある、としている。
イ 基本書
原田尚彦「行政法要論」は学部の指定教科書でしたが最近はあまりみかけないので外してます。宇賀先生の3巻本よりかは1冊本の方が使われているのではないかと思うので、そちらを読んでます。橋本博之「現代行政法」よりも櫻井=橋本「行政法」の方が有名だと思うので、そちらの検討で済ませました。芝池義一先生の本も「行政法総論講義」「行政救済法講義」と分かれているバージョンもありますが、いかんせん古いので「行政法読本」の検討のみです。ストゥディアの扱いが入門書なのか基本書なのかわからないのでこちらにいれてます。「現代行政法入門」は入門とありますが内容が充実しているので基本書のくくりにいれてます。司法研修所編「行政事件訴訟の一般的実務的研究」は基本書ではないもののどのカテゴリにしていいかわかんない(けど押さえておきたい。だって司法研修所だから!)のでここで。
・宇賀克也「行政法」(第2版)286頁以下
ごみ焼却場判決の文章をあげ、処分性が認められる典型的行為として許可・認可等を挙げる。上記文章を要素に分けて検討するのではなく、処分性が争われた個々の行為について検討を加えている。
定義と関係させて検討しているところもあれば、判例の分析がかかれ、定義との関係が明示されていないところもある。
・大橋洋一「行政法Ⅱ 現代行政救済論(第4版)」16頁以下、48頁以下
ごみ焼却場判決の文章を定義と説明し、前述の4つの特色に分けて検討するとしている。外部性/直接性=具体的規律性/法的効果/法律の授権の4要素にわけ、それぞれの要素について争われうる典型例・判例を挙げる。実効的な権利救済などの上記定義に入るかどうかで考え方が分かれる要素については、上記4要素の中で検討している。別立てでは書かない。
・塩野宏「行政法Ⅱ(第6版)行政救済法」103頁以下
ごみ焼却場判決を定式とする。「定型的処分」「定型的非処分」以外の処分かどうかがよくわからない行為についてどう考えるかが解釈論の重要な課題とし、問題となりうる行為を類型化して検討する。定式には出てこない要素である不服申立て規定の有無等にも言及している。もっとも、最高裁判決は処分性の定式の枠内にあるとしている。
・野呂充ほか「有斐閣ストゥディア行政法(第2版)」176頁以下
ごみ焼却場判決を①権力性②法効果③直接性又は具体性④法律の根拠があること、の四つにわけ、すべてが満たされることが処分性を認める上で必要とする。この4要素がそろっていないとされやすい行為類型についてあげ、それぞれの行為類型ごとに処分性が認められた判例について分析する。
4要素と違う理由も付け加えて処分性が認められた場合は、その論理も付記している。
・櫻井=橋本「行政法(第6版)」263頁以下
①公権力性②国民の権利義務に対する直接具体的な法的規律の二つの観点に分ける。これと別立てで当該行為につき取消訴訟の対象性を認めるという立法者意思を示す規定があれば処分性が認められるとする。②についてはア直接イ国民ウ権利義務を形成しまたはその範囲を確定するエ法律上認められているの4要素に分けられるとする。別立てにされやすい紛争の成熟性についてはアに関連付ける。立法者意思については①と関連する要素ともされている。また、判定基準のところに記述はないが、実効的な権利救済については論証の補強として用いられていると整理する。
・中原茂樹「基本行政法(第3版)」283頁以下
ごみ焼却場判決を処分性の基本的定式とする。公権力と直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定するの2要素にわけ、直接~を外部性・法効果・具体性の3つに分けていると思われる。公権力性の検討は立法者意思の探求によること、直接~のところと解釈手法が違うとする。直接~の部分は訴えの利益について検討するところであるとする。
・芝池義一「行政法読本第4版」295頁以下
ごみ焼却場判決を引用し、これが行政行為とおなじものであるとする。そして、問題となるのは行政行為でない行政の行為が「処分」といえるかに留意するよう促す。公権力的事実行為と「法定の形式的処分」←立法者意思により処分と扱われるものは処分であることにつき争いはない。処分性が認められるか争われる個別の行為類型に合わせて処分性肯定の理由を述べる。
・高橋滋「行政法(第2版)」129頁以下
ごみ焼却場判決を引用したうえで、処分性を3要素に分ける。すなわち、ⅰ公権力の主体による行為=行政庁の行為であることⅱ行政庁の行為が公権力を有するものであることⅲその行為によって直接国民の権利義務が形成されまたはその範囲が確定することが法律上認められていること、である。
処分性を認めるためには定義のみならず、取消訴訟を提起できることによる救済拡張的効果と取消訴訟を選択せざるを得なくなるデメリットを考え、法令の仕組みの分析をすることが必要だとしている。各要素において問題となる行為類型をあげ、それぞれ処分性が認められる場合はどのようなときかを論じている。紛争の成熟性は定義とは別立ての要素としてとりあげられている。
・曽和俊文ほか「現代行政法入門第4版」219頁以下
ごみ焼却場判決を引用し、この定義はa公権力性b国民の権利義務への直接的規律の2点をメルクマールとして処分性を判定する古典的アプローチであるとする。これらは現在では修正されており、修正の仕方については行為類型ごとに検討している。
・司法研修所編「改訂行政事件訴訟の一般的問題に関する実務的研究」15頁以下
抗告訴訟の対象となる公権力の行使にあたるかは公権力性と法律上の地位に対する影響の2要件を満たすかによって検討する。公権力性が問題となる行為類型、法律上の地位に対する影響が問題となる行為類型に分けて検討している。これが書かれたのは行訴法改正前(平成12年の本)であるため、基本的な枠組みが参考になる程度。
ウ 演習書
・ 曽和俊文ほか「事例研究行政法第4版」60頁以下
ごみ焼却場判決を処分性判断の出発点とする。定義のうち「公権力の主体たる」のところが抗告訴訟かそれ以外かの交通整理を、「直接」「国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定する」のところが訴えの利益にかかわる部分であるとする。公権力的事実行為と明文で処分性が認められるもの、私人間でも行われうる行為の処分性、救済上の必要性に基づき処分性が認められる場合とわけて検討している。定式のあてはめだけでなく、救済上の観点に基づく処分性拡張も検討すべきとし、別立てで救済上の必要性を検討することもあるよう。
・ 北村和生ほか「事例から行政法を考える」
事例④ 58頁 権力性・法効果性・具体性・法令上の根拠の4つに分けて検討する。
事例⑤ 76頁 公権力性・具体的法効果の2要素から検討する
・ 大貫裕之=土田伸也「行政法事案解析の作法(第2版)」190頁
判定作法は2種類。まず、ごみ焼却場判決から導かれる具体性(直接性)、外部性、法効果性、公権力性の4要件が充足されているか、という解釈作法。もう一つが、①個別法の文言に着目②個別法によって不服申立ての対象とさていないか③個別法によって制裁の仕組みが整えられているか④個別法によって事前手続きとして聴聞が整備されているか⑤法の仕組みを考慮に入れる⑥取消訴訟の第三者効による紛争解決の実効性⑦救済の必要性という7種類の解釈作法である。前者が本筋であるため、①と⑤を前提に前者の4要件のあてはめをし、それで処分かどうかわからなければ②③④⑥⑦で処分性を肯定できないか検討する。
・土田伸也「基礎演習行政法(第2版)」
おおむね事案解析の作法とおなじ。2要件でも4要件でも間違いではない、とコラムで明言
エ コンメ
・岡村周一執筆担当部分「コンメンタール行政法Ⅱ行政事件訴訟法・国家賠償法第2版」 34頁以下
ごみ焼却場判決を処分の意義を明らかにしたものとして紹介。「行政行為以外の具体的な行為に処分性が認められるか否かは、当該行為の性質のほか、関係する国民の権利利益の性質、それが影響を受ける程度、当該行為が関係する一連の過程のなかでそれが占める位置、後の段階での訴訟提起の可能性等の諸般の事情にかかっている」とする。ごみ焼却場判決を演繹的に適用してこれのみをもって問題となる具体的な行為の処分性を決定することはできないとしたうえで、定義を前提とした行為の分類に従って処分性を検討している。
(3)「みんなが認めるたった一つの正しい書き方」はあったか
上に書いた内容を全部読んでくれた人ならわかってくれたと思う。
あるかそんなもん!!!!!!
もちろん、共通点はあった。すべてごみ焼却場判決の示したあの文章からスタートしている。あの忌々しい文章。ただ、そこから先はもうバリエーションがありすぎて。
まず、2要件か4要件かってはなしだったのに、3要件の先生もいる。
2要件にしたあとにそのうちの一つが4つに分かれる先生もいる。
2要件+αもいれば、2要件オンリーもいる。
そして、要件なにそれおいしいのな人もいる。
ただ、しっかり内容を読んでいくと、結局検討している内容は同じで、それをどこに整理して分類していくかが違うだけなのである。事案解析の作法で出てきたあの7つの解釈手法も、みんな触れている。それを手法として取り出して見える形にしたか、文章の中で書いているかのどちらか。
そうすると、あとは書きやすいように書けばいいんじゃない?どう整理しても書くべき内容を書いてあれば点数が入るんじゃない?と思うことができる。統一?むりむりむり。
(4) 出題趣旨等を確認する
・平成23年予備
条例の仕組みに基づいて検討しよう
・平成27年予備試験 出題趣旨
判例の趣旨を踏まえること、法的効果を認定して処分性認定の要件に結びつけて論じることが要求されている。2要件でも4要件でも要件なし(判例まんま)でも法的効果の認定は必要なのでこの文章からは特定の書き方を推奨しているとは読めない。
・平成30年予備試験 出題趣旨
ごみ焼却場判決の一般論を説明し、処分性認定の際の考慮要素を挙げることが必要だとされる。とすると、2要件か4要件が推奨されているように思える。もっとも、要件なしで判例ままから説明する場合でも考慮要素には触れないといけない(〇〇は外部性が認められないのでは~とか)ので、考慮要素には触れられる。実効的な権利救済を考慮すると加点になる、とされているが、どの要素と絡めて、というところまでは限定されていないため、別立てでも、何かの要素に絡めてでもどちらでもよいと考えられる。書いてればオッケーというところですね。
この出題趣旨との関係では2要件か4要件が書きやすそうではある。
・令和2年予備試験 出題趣旨
なぜか一気にトーンダウン。法的根拠の有無、法令の仕組み、違法性の承継などの考慮要素を書けばオッケーということで、2要件でも4要件でも判例ままでも書くこと書いていればよいといえる。たまに暴走する先生いるのかしら…。
・平成19年司法試験出題趣旨
書き方の説明はなし。ヒアリングも確認してみたが、処分性の書き方についての記述はなかった。
・平成20年出題趣旨・採点実感
処分性の定義を説明したうえで、とあるので、ごみ焼却場判決のあの部分は書く。それ以外はフリーである。
2要件でも4要件でも要件無しでも陥る可能性がある。書くべきことさえ書けばいいの裏返しに思える。
ヒアリングには処分性の書き方についての記載なし
・平成24司法試験出題趣旨・採点実感
2要件でも4要件でも要件なしでも同じ書くべきことを書けばよいことがわかる。むしろ要件に引きずられて土地区画整理事業の事業計画決定の処分性を認めた大法廷判決の論旨を書けない方が怖い。
2要件か4要件か要件なしかは触れられず、もっぱら事業計画決定の大法廷判決が理解できているか、それを今回の都市計画決定に応用できているかが問われている。
・平成25年司法試験出題趣旨・採点実感
書き方というよりも、会議録で示された書くべき内容についてかけているかが求められている。
処分性の定式を示すだけではなく、具体的に法効果を分析することがもとめられている。要件をどう設定するかよりも、問いに答えることができたかどうかが点数にかかわっている。
・平成29年司法試験出題趣旨・採点実感
書き方の指定としてはD弁護士の指示に従って書くように求められている。
処分性の定義を書くことは求められているが、それ以上に要件を限定するような話はされていない。
・令和2年出題趣旨・採点実感
救済の必要性に言及することは求められているが、要件をどうして、どこに書くべきかまで指定されているわけではない。
令和2年度採点実感は量が多すぎるので、必要箇所は太字にした。
2要件でも4要件でも要件なしでも公権力性自体のあてはめはしないといけないが、要件無しで検討すると書き落とす危険が一定程度ある(問題となり得るところにフォーカスしすぎてしまうため)。そうすると、判例の定式を網羅的に検討する観点からは2要件か4要件が安全だと思われる。公権力性について検討した箇所があればよいので、要件無しでも問題はない。
・令和3年司法試験出題趣旨・採点実感
仕組みから検討することが要求されている。また、救済の必要性にも触れる必要がある。が、これをどこで検討するかは指定されていない。
令和3年も長いので、必要箇所を太字にする。
今回はむしろ2要件や4要件に分けて書くと書きにくかった問題だったため、要件無しで問に答えることが楽であったといえる。これが「お好きにどうぞ」という結論になる一つの理由で、どれかで書くと決めてしまうと司法試験との関係では書きにくくなるのである。
もっとも、令和2年では2要件か4要件で書きやすく、かつ書かないとまずそうなことを採点実感で上げておいて、今度はそれを否定する、となると受験生を振り回してしまうんじゃないかと思う。
(5) 結論
あほみたいに長くなってしまったが、とにもかくにも結論はでた
1 同じことを論じているが整理の仕方がちがうだけなので、どういう書き方しても×にはならない。
2 検討すべきことを検討する、という意識づけさえできていれば、どの書き方でも対応可能
3 ただし、判例の定式を2要件か4要件に分けて書く癖がついていると会議録に対応できず、問いに答えていない答案になってしまう。要件に分けると書きにくいときは、要件分けを捨てて問に答えることを優先するのがよい。
なので、「お好きにどうぞ!!!」となるのである。
続きは明後日9月16日にアップする予定です。どうぞよろしく!