【文芸センス】梶井基次郎『檸檬』②ひきかえの憂鬱
前回の記事で、梶井基次郎が『檸檬』で見せた詩才あふれる文章を紹介しました。
しかし、その感性は鋭敏すぎるがゆえ、やがて作者の神経をすり減らすこととなります。それにより生まれた苦しみを、梶井基次郎は作中で「不吉な塊」と名づけているのですが、それはまるで、強い光につきまとう濃い影のようなものです。
この記事では、作者が不吉な塊に苛まれる様子と、その先に求めた新たな美しさを探ります。
梶井基次郎『檸檬』
②ひきかえの憂鬱
ここから先は
1,748字
過去にたくさんの記事を書いています。マガジンに分類しているので、そちらからご覧ください。メンバーシップもやっています。誰でも見れるつぶやきも書いています。