【極ショート小説】私ふられちゃったの (フォーク神様)
「よお。
今夜はパスタらしいぜ」
スプーンの声がする。
「はあ。
今日は休暇だな」
先がガタガタにくたびれた箸は、ため息をついた。
「わわっ。
ミートソースじゃないか」
「ねえ。
フォークさん。
今日私、振られちゃったの。
ヤケ食いするから頑張ってね」
ドキリとした。
真由美は痩せているが、信じられないくらい食う。
「ぎゃああ! 」
熱湯の中に突っこみ、パスタを取りだす荒業である。
「ねえ。
私って、尽くすタイプだからさあ」
今度はアツアツのミートソースをコネ回す。
「あつっ!
熱いよ! 」
カラン!
床に叩きつけられた衝撃で気を失った。
「あれ。
いけない。
疲れてるのかな」
金だわしでガシガシ洗われ、傷だらけになった。
ズズーー!!
「ぷはあ!
うまいな、こりゃ」
胸に点々とシミを作った。
「も、もうちょっと品よく…… 」
「はあ、食った食った」
爪楊枝でシーシーと歯を掃除する。
「振られるわ!! 」
「えっ、何か言った? 」
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