【プロット】面倒見のいい入院患者が、都市伝説となった集落をさまよう
退院の日が近づいてきた。
廊下の壁面には手すりが腰の高さについている。
救急搬送された日には、死ぬかと思った。
脳外科の病棟には人生の悲哀があふれている。
隣に寝ていた人は、朝起きて車に乗ってエンジンキーを刺そうとしたとき、体が動かなくなった。
たまたま声は出せたので助かったそうである。
「もう働けない……」
夜泣いている声を聞いた。
それに比べれば、社会復帰できる自分はマシだった。
少し左半身に麻痺があるため、懸命にリハビリをした。
今では身の回りのことはすべて自分でできるし、歩いてどこへでも行ける。
だから、困っている人には手を差し伸べることにした。
それにしてもこの病徴は薄気味が悪い。
昔結核病棟だったため、古くて壁にシミがあるしコンセントが妙な形をしている。
肝試しには持って来いである。
外出を許されたので、久し振りに散歩した。
この辺りには大きなお寺があるので墓場がみえる。
いろいろ出る、という噂が絶えない場所である。
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