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世の中には2種類の人間しかいない

世の中には2種類の人間しかいない。それは紛れもなく自分か自分以外かだ。

こんな大そうな書き出しをしてしまったにも関わらず、後に続くシナリオを珍しく用意していない。落とし方もわからない。そういえば文を書く時、世の中には2種類の人間しかいないと言われている。ゴールを決めずに瞬間に頭の中に浮かんだものを摘んでいく人と、文章の終わりを決めてそこを目指して進む人と。僕はどちらかと言えば後者だけれど、今日は圧倒的前者であり、それはゴールできるかわからない一抹の不安とこれからどう進んでいくかわからない期待を孕んでいる。

自分とはここに意思を持って想いを綴る側の人間であり、自分以外とはこれを意思を持って読んだり読まなかったりする人間のことを指す。いくら記事を書くことが思考の整理のためだからと言い張る人も、その文体からは自分以外の存在を意識させることがある。断定の表現を避けるのは否定という自分以外からの攻撃を避けるためであり、ユーモラスを入れ込むのは笑ってもらうことを望むからであり、書くという行為は自分以外を意識して自分を書くのだということがわかる。見せることを目的としない日記ですらその内容は自分以外の存在に影響を受けた1日の記録となる。

自分が自分以外の人間による影響を受けて形成されているなんて「吉岡里帆はかわいい」ぐらいの自明の理であるが、当たり前すぎて空が青い理由を考えもしないのに似ている。

自分以外の存在に自分の在り方は大きく左右される。そんなことについて考えてみたい。

人からどう思われるかのみを気にして行動を決めるのがデフォルトな僕は、自分が傷つかないように、自分以外を傷つけないように慎重に世を渡ってきた。やりたいことよりも迷惑をかけない方を、自分が楽しいことよりも誰かが楽しい方を選ぶ傾向がある。意識をすれば自分の生きたいように生きることはできるけれど、少し気をつけて生きていないとすぐにこのデフォルトに戻ってきてしまうのだ。

そんな生き方をしている人達が悩みを持つとしたら「本当の自分がわからない」というところだろうか?

本当の自分とは何だろうか?

大人にもなると誰しも所属するコミュニティは1つや2つに止まらないだろう。そしてだいたい自分の所属するコミュニティ間の居心地の良さの比較からやれこっちのコミュニティでは自分を出せるだの、本当の自分はここじゃ出せないなどという話になる。さて、本当の自分とは何だろうか?おそらくだけど、広く世間一般で使われている「本当の自分」は「気を使わずに言いたいことを言えたり、やりたいことをやれる」というニュアンスを含んでいそうだ。それを踏まえると、何にでも難癖をつけてくるアイツがいるコミュニティでは本当の自分は出せないし、その逆もまた然りなのだ。

しかし、本当の自分がいるんじゃなくて、自分を曲げるほどの影響を受ける自分以外がいないというのが正しそうで、皆が望む「本当の自分」を出せる環境は多くの場合自分自身に問題があるというよりは、自分と自分以外との関係性にありそうなのだ。だからそういう意味で本当の自分を出せずに困っているのであれば、自分を曲げざるを得ない影響力を持ったコミュニティに好んで属す必要はないと考えるか、なんらかの形で影響を受けないようなマインドセットを作るしかなさそうなのだ。多感な時期で、人間関係に疲れ果て担任の元を頼ってくる子ども達には常日頃そんなことを話している。

じゃあお前は本当の自分をどう捉えているのか?と聞かれたら価値観が年単位で変わる僕でもある程度昔から一貫したものがあって、それが「人に映った自分が本当の自分」という考え方なのだ。

僕は本来お調子者でありたい性分なのだ。年甲斐もなくしょーもないことをして、子どもや友達を笑わせたいと常に思っている。自分がスタメンで出したい自分はまずこれだ。しかし、どうしても自分以外の人との関係性に影響されることが多くコミュニティによっては「相変わらずまじめだね」と言われることがある。しかし、お調子者になり切れないまじめな自分も本当の自分であり、それが自分ではないなんてことはないのだ。世の中には自分か自分以外の人間かしかいないのだから。つまり本当の自分なんていっぱいいて、そのどれもが自分であるのなら、どの自分も大切にしてあげたいし、本当の自分がわからなくて悩んでいるのであれば、相手が教えてくれるものだと思えば良い。本当の自分を知ることも大事かもしれないけれど、どの自分が好きな自分かは知っておけると人生は楽しそうじゃないか?そんなことを考えるだけでグッと生きやすくなりそうじゃないか中学生。

自信が自分と自分以外との比較によってのみ生まれるものでない生き方がしたいよな中学生。

世の中には2種類の人間しかいない。それは紛れもなく自分か自分以外かだ。

世の中には2種類の人間しかいない。ゴールを決めずに瞬間に頭の中に浮かんだものを摘んでいく人と、文章の終わりを決めてそこを目指して進む人と。前者を地で行ったらやっぱりサンドウィッチマンに読んで欲しい作品になった。


















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