見出し画像

錦秋の京都旅「京阪電車宇治駅とユーフォニアム」


大河ドラマ"光る君へ"第48回「物語の先に」観ました

なんとも不思議な終わり方をしていましたね。大河ドラマで続編が作られることは絶対にありません。それなのに「続きは劇場で」みたいな締め方だったので除夜の鐘の余韻がずっと心に響いているような感覚に陥りました。


あえて最期を描かない理由

まひろの物語は我々視聴者の心のなかで永遠に続いていく、ということを脚本家の大石静さんはお示しになったのだと思われます。源氏物語「雲隠」の完全なオマージュでしたね。


蛙の子は蛙

後一条天皇に御子が産まれず新しい女御を受け入れるよう提案した藤原道頼に対し他家の輿入れを拒否した上東門院彰子さま。民の安寧を願った道長が兼家に反発をし、子は親の道具ではないと彰子は道長に反発していたのに、藤原兼家が申していたことが正しくて藤原北家の繁栄を第一とする主義と思想は三代に渡って受け継がれることとなりました。彰子さま、おじいさんの亡霊が見事に乗り移っていましたね。どれだけ高い理想を掲げたところで巨大な権力を得てしまうと他人を信用できなくなり血縁者を優遇して政治が腐敗していきます。そうして実力ある新勢力に駆逐されていくという何度も繰り返す人類の歴史でございます。世襲議員の多い自民党もそうなりつつありますよね。あのシーンは摂関政治終焉の始まりであり事実、藤原頼通の娘に御子が産まれなかったことで上皇や法皇が権勢を振るう院政時代へと移り変わっていきます。


器の広い倫子さま

芸能界や政界で時々不倫が世間を賑わせていますが、報道されていないだけで実際は倫子さまのような心持ちの奥方様って結構いらっしゃるんじゃないのかなって思っています。他の女へ心を寄せたことは決して許せないけれどもそれでも私は心の底から夫を愛しているという倫子さまの気持ち。映像を通して伝わってきました。嫉妬深い人であったならまひろを一生許さなかったことでしょう。一家を救った大恩人であろうとも二度と夫に会わせなかったはずです。登場したときは世間知らずのおバカなお姫様だと失礼ながら思ってしまいました。いやはや天下人の伴侶にふさわしい心も器も広い御方でした。私とは真逆のタイプなので多くを見習いたいところです。


床に伏せる道長

柄本佑さんの演技がすごすぎて祖父や母が病床に伏していたあの時の姿が頭の中をよぎりました。自分も死ぬ間際にはあんな感じになるのかなって。安倍晴明に寿命を十年与えるというシーンは私の中でとても印象が深かったのでハッキリと覚えています。のちに言及されることがなかったので道長はそのことをスッカリ忘れているのだと思っていました。周りの誰にも相談しなかっただけでずっと後悔していたんですね。富と権力と栄誉すべてを手に入れて栄華を極めた道長。実は傍にまひろがいて介抱してもらったことが人生一番の幸せだったんじゃないのかなって思いました。自分のためだけに毎日物語を語ってくれるなんて母の子守唄に匹敵する至福ですよ。一休さんもそうでした。死の淵に立っているときに真に心が救われるのは神仏や極楽浄土ではなく愛する人なのかもしれません。


認知症のいと

第48回で一番哀しかったシーンといえばやはりこれでしょう。いつでも明るく振る舞っていた藤原惟規の乳母いとの認知症です。若様を心配する姿に涙が溢れそうになりました。藤原為時の笑顔がなければ号泣していたかもしれません。惟規は遠くの国で亡くなったのでいとは死に目に逢っていません。彼女の心のなかでずっと生き続けていてそれであのような症状になってしまったのだと思われます。

いとの姿は北の方様に許されず道長のお目通りが叶わなかったまひろのもう一つの世界線とも言えます。もし最期のひとときを共に過ごせていなかったら道長を永遠に追い続けていたことでしょう。


双寿丸の武者姿

歴史マニアではない私はてっきりあの場面を「前九年の役」だと思っていました。双寿丸が向かった戦乱の場所は「平忠常の乱」なんですね。NHK関係者の記事にそう書かれていました。劇中まひろが本人に伝えたように藤原道長が生きていた時代は太平の世でした。平忠常の乱は道長が亡くなってすぐの出来事になります。平将門の乱以降大きな戦争が起きなかったから女流作家たちは後世に残る名作を次々と生み出していったんですね。道長の政治で民が救われた場面はほとんどありませんでした。しかし戦争がないことが民にとって一番大事なことであり道長は民のために働いたと断言することができます。


スピンオフあるのかなぁ

残すは12月29日放送予定の総集編だけとなりました。未練たっぷりの私ははんにゃ金田さんの感想動画を一話から見直しています。ちなみに来年の大河ドラマ『べらぼう』は今年六月に京都で撮影が始まったそうですね。公式サイトには東本願寺、智積院、随心院、松竹撮影所、光明寺、京丹波オープンセット広場が列記されていました。今回紫式部で大河を作ることができたんだから謎の多い俵屋宗達を主人公にしてもいいと思うんですけどね。脚本家の腕次第ではありますけれども。

こんなところですかね。光る君への感想はこれにて一旦終了となります。総集編やスピンオフがありましたら何か書くかも知れません。制作陣とスタッフの皆様、俳優の方々お疲れ様でした。一年間楽しい時を過ごせました。感謝感謝です。ありがとうございました。

それでは本題に入りますね。新しい京都旅が始まります。


京阪本線・出町柳行き普通列車に乗車。

とある駅で降りました。


中書島駅です。

日の出が眩しい。


前回のシリーズ『秋祭り日和と京都旅』はここで終了となりました。新シリーズ『錦秋の京都旅』はその続編ということでスタート地点をここ中書島駅に定めました。

わたしの京都宇治観光は2017年以来になります。たくさん写真を撮ってインスタグラムに投稿していたのですがフォローを大量に整理していた際に迷惑行為と断定され、永久BAN処分となり画像データすべてが闇に消えてしまいました。

今回の旅は思い出を取り戻すのを目的のひとつにしています。


通学する学生たちで車内はいっぱい。

ごった返しの状態がずっと続いていたのですが…


木幡駅を過ぎたあたりでガラガラとなりました。

どうやら観光客は私しかいなかったようです。


目的地に到着しました。

送り届けてくれてありがとう。


七年ぶりの宇治駅です。


当時と何も変わっていないホームの景色。


なんか立派な建物がある!!

大河ドラマを視聴している方ならご存知『お茶と宇治のまち交流館 茶づな』が見えました。最終回を前に大河ドラマ展の来場者数がなんと10万人を突破し先日記念式典が開かれたそうです。ちなみに私が2017年に訪れた時にはなにもありませんでした。調べてみたら2021年8月にオープンされたのですね。


360度ベンチです。

すごく便利で一見効率が良さそうに見えますが、誰かが利用していたら気まずくて正直座りにくいですよね。円のすべてに人が座るという状況は永遠に来なさそうです。


『響け!ユーフォニアム3』と宇治市のコラボ看板を発見。

京阪電車は関西大手私鉄五社の中でとても異質な存在で阪神、阪急、近鉄、南海がプロ野球の球団運営に手を出す中、唯一アニメを全面的に推している会社なんです。私が物心ついた時からアニメに協力的で、舞台背景の許諾だけでなくひらかたパーク、通称「ひらパー」でシーズン毎にアニメイベントを開いています。今年秋には黒子のバスケ十周年記念とコナン君の展覧会が催されていました。

関西ローカルの鉄道なのに全国のアニメファンの間ではすごく有名なんですよ。


宇治川の対岸で煙が吹き上がっています。

出処はユニチカ宇治事業所でしょうか。ちなみに奥のほうには槇島城跡の石碑や任天堂宇治工場があります。歴史ファンの間で有名な「槇島城の戦い」はあのあたりで行なわれたのですね。あと個人的な話になりますがNintendo Switchが壊れたときに宇治工場へ送付しました。想定していたよりだいぶお安い修理費で助かりました。ありがとう任天堂さん。


あっJR宇治線の電車だ。


京阪宇治駅は終着駅です。

このまま前に進んでしまうと宇治線とぶつかってしまいます。乗客の我々は一旦線路をくぐる必要があります。


これなんと宇治駅の構内なんですよ。

異世界に来たような雰囲気ですよね。宇治は都から見て辰巳(南東)の方角にあり異界だと考えられてきました。ここで小倉百人一首の歌が思い浮かんだ人は屈指の京都ツウです。


わが庵は都のたつみしかぞすむ
世をうぢ山と人はいふなり

喜撰法師 小倉百人一首 8番
古今和歌集 983

喜撰法師は宇治山に住んで仙人になったと言われている人物です。

京都といえば町家の伝統的建築が典型ですが、異世界を演出するためにあえて現代アートのコンクリート駅舎にしたのかもしれませんね。


最終回まで観ました。

私は基本人間関係がギクシャクする話は好みません。しかし京都宇治が舞台になっていて涼宮ハルヒキッカケで京都アニメーションが好きになったので一話から欠かさず視聴していました。ただそこまで熱心ではなかったので劇場版のほうはAmazonプライムビデオで済ませちゃいました。どちらかというとストーリーより京都の背景を楽しんでいた自分です。


京阪宇治駅の構内は上方のデザインも素晴らしいんですよね。

円を基調とした駅舎の設計は若林広幸氏によるもので代表作は南海特急ラピートになります。言われてみれば確かにラピートらしさがありますよね。


『光る君へ 宇治 大河ドラマ展』の幕が上がっていました。

最終回を迎えましたが来年1月13日の祝日まで開催されています。年末に放送されるであろう総集編を視聴してからでも余裕で間に合いますよ。


朝日に照らされた宇治駅を背景に今回の記事は以上となります。次回宇治を散策していきます。

それではまたね。



【告知】

今回の記事から少しリニューアルをすることにしました。公開して1週間を目処にあとがき(観光ルート、タイムスケジュールなど)をメンバーシップ限定に変更します。

会員以外の方で見逃しを防ぎたい方はnoteフォローやnoteアプリの通知機能をぜひご活用ください。あとがき以外の本文はいつでもどなたでも御覧頂けます。ご安心ください。過去の京都観光記事についても随時更新していきますね。

皆様が楽しめるようこれからもがんばっていきますので末永くご愛顧の程よろしくお願い申し上げます。



今回の観光ルート

ここから先は

694字 / 2画像

メンバーシップでは"プラスα"のサービスをご提供します。 「プレミアムメンバー」 ▷便利な目次を…

プレミアムメンバー

¥500 / 月
初月無料

ゴールドメンバー

¥1,000 / 月

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?