飢餓と砂漠化に挑む:グレート・グリーン・ウォールとニジェールの復活

これまで、アメリカ大統領選挙や世界経済フォーラム(WEF)について紹介してきました。まだまだ和訳したい動画がたくさんありますが、少し目先を変えて、将来に夢のある活動を紹介します。私は、気候変動は二酸化炭素の増加が原因ではなく、地球規模の砂漠化が原因だと考えています。そのため、これから紹介する「グレート・グリーン・ウォール」(偉大なる緑の壁)プロジェクトは非常に重要だと感じています。

動画の要約:
ニジェールでは、世界食糧計画(WFP)と政府、地域社会が協力し、30万ヘクタール以上の土地再生を実現。これにより、50万人が長期的な食糧援助から脱却し、生態系や地域経済の復興が進行中です。再生された土地は食糧生産地となり、砂漠化を防ぎ、地域全体の飢餓を軽減する可能性を秘めています。これをさらに拡大することで、サヘル地域全体での飢餓解消が期待されています。

Inside Africa's Food Forest Mega-Project

全文和訳:
地球上で最大規模の土地再生プロジェクトの一つへようこそ。この活動が始まる前、人々は生き延びるために食糧援助に頼っていました。しかし、10年前、広大な不毛の荒地が変化し始め、今では50万人がこの土地から自給自足をしています。この取り組みがアフリカやその先の飢餓を終わらせる鍵となるのでしょうか? その答えを探りましょう。私は現在、アフリカのサヘル地方を旅しています。同行しているのは地球最大の人道支援機関、国連の世界食糧計画(WFP)です。彼らは戦争地帯や災害の際に飢餓と戦う最初の組織ですが、私がここで目撃しているのは、根本的な問題を解決することで飢餓に実際に取り組んでいる彼らの驚くべき活動です。なぜなら、土壌が風で吹き飛ばされ、土地が砂漠化すると、人々は自給自足ができなくなるからです。しかし、ここでは、アフリカ全域で土壌と水を修復する規模の作業を目の当たりにしています。それは私が想像もしていなかった規模です。

ここはアフリカの「グレート・グリーン・ウォール」(偉大なる緑の壁)。サハラ砂漠の拡大を食い止めるため、大陸全体にわたって木が植えられています。ただし、私が訪れた場所は誰でも簡単に行けるわけではありません。立ち入りは厳しく管理されていますが、WFPは飢餓のある場所ならどこでも活動しており、彼らはこのほとんど知られていない重要な話を伝えるために私を招いてくれました。この4部構成のシリーズでは、私たちの時代における最も重要な活動の詳細を解説します。

私たちは現在、アフリカのニジェールにいます。この約13平方キロメートルの土地再生区域では、5つの村が約10万本の木を植え、約20トンの草の種をまきました。その結果、土地が命を取り戻し始めています。しかし、植物は生き残れるでしょうか? 鍵は十分な水を確保することですが、砂漠でそれを実現するのは簡単ではありません。この地域では、「干ばつと洪水のサイクル」と呼ばれる現象があります。9か月間乾燥し、土地が干上がった後、やっと雨が降ると、雨水が土地に浸透せず、低地に流れ込んで洪水を引き起こします。

しかしサヘルでは、半月型と呼ばれる古来の水収集構造が見つかります。このシンプルな構造には、水を保持し、地中に浸透するまで蓄える力があります。半月型の構造にはさまざまなバリエーションがあり、目標によって選択されます。森林を作るのか、草地を作るのか、あるいは雑穀栽培地を作るのか、また土壌が水を保持しやすいか排水しやすいかによって異なります。基本的な考え方は、半月型を等高線に沿って配置し、大雨の際に傾斜地を流れる水を受け止めるように掘ることです。半月型の内外には「ザイピット」と呼ばれる深い穴が掘られており、有機物が風や水で運ばれて溜まります。これにより雨水が深く地中に浸透します。多くの場合、木が植えられ、雨とともに発芽する草や種がまかれます。鳥や風がさらに種を運び、半月型が水、栄養分、植物、動物の集中点となります。こうして生態系が成長し、命が戻ってきます。

驚くほどシンプルですが、実際にはどのように機能するのでしょうか?
この場所はまだ1年しか経っていませんが、同じデザインで8年経った場所もあります。半月型の列があり、その中に植えられた木々が育ち始め、地面に木陰を作っています。草が生え、地面が覆われ、今でも半月型には水があります。ここで確認してみましょう。
「半月型です。この段階でも水が残っています。地元の種やたくさんの草があります。これらは良い動物の飼料になります。この日陰と温度では、処理されていない場所より5~8度低いです。」
これは食糧安全保障を改善する最良の方法の1つです。最終的にはここが食糧供給地になるだけでなく、人々を養う土地をも豊かにします。

この再生がどのように食糧を生み出すか不思議に思うかもしれません。土地が再生されると、牧草が生産され、それが家畜の飼料となります。これにより、人々は牛乳を飲み、肉を食べることができます。サヘルの在来樹木は、乾期の長い間、棘のある枝を食べるラクダやヤギのために、葉や果実を提供します。木々は土壌を保持し、水を吸収し、家畜を養います。

これまで見てきた場所は有望に見えましたが、まだ若い現場で完全には成長していません。このようなシステムが本当に飢餓を終わらせるのに十分なのか、疑問が残りました。真実を知るために、彼らが案内できる最高の場所、ナイジェリアとの南部国境近くの成熟した現場を訪れる必要がありました。その国境は行き来が容易で、武装勢力が時々越境するため、軍の護衛が必要でした。しかし、この成熟した現場を訪れることは、この種の再生作業で可能な限界を理解する上で重要でした。

私の背後に広がるこの光景は、かつては不毛の荒地で、水は地面に浸透せずに流れ去り、有機物も植物も木々も存在しない、固く締まった土壌の土地でした。ところが、現在ではこの風景が劇的に変貌を遂げています。過去7年間の衛星画像を見ると、むき出しの土壌がゼロにまで減少していることが確認できます。この土地は水を保持し、生物多様性を育む能力を完全に取り戻しており、これは食糧生産の可能性が非常に大きいことを意味します。このことが明白なため、ニジェール政府はこの大規模な再生プロジェクトに全力を注いでおり、私はマラディ州の森林管理責任者から直接、プロジェクトの詳細な情報を聞くことができました。彼は現地を徹底的に案内してくれ、この再生作業が広範囲にわたってもたらした驚くべき波及効果を教えてくれました。

この再生のレベルは、ニジェールにおける「グレート・グリーン・ウォール」の実現に大いに貢献しています。

私が学んだのは、この地域がサハラ砂漠の縁に位置しているため、砂漠からの強く暑い風の影響を受けやすいということです。この風は風景を乾燥させる可能性がありますが、この土地では木々の連続した樹冠が乾燥風の勢いを和らげています。このプロジェクトの目的は砂漠の拡大を実際に食い止めることにあります。ニジェールは地球上でも最も暑い国の一つですが、森林がある場所では気温が大幅に低下しています。これは単に木々が密集している場所だけでなく、サイトの端でも同じような温度効果が見られます。

このプロジェクト全体は、生物多様性を引き寄せるネットのような役割を果たしています。風に乗って種が飛来し、鳥が集まり、さらなる種を運んでくるのです。今は3か月の雨季で、この地域は緑が生い茂り、とても豊かに見えます。家畜が太るのも想像に難くありません。しかし、このシステムの真価が発揮されるのは、9か月間の乾季においてです。乾季には利用可能な資源が非常に少ないため、この多様な多年生の多文化型農業は、乾季でも収穫できるさまざまな食物を提供します。

ここでは、乾季でも収穫可能な作物がいくつも育っています。料理や薬用に利用される植物も収穫されています。

「グレート・グリーン・ウォール」はサハラ砂漠の拡大を食い止めると考えられていますが、実際にはそれ以上の成果をもたらしています。このプロジェクトは地域の生態学的な基盤を再構築しているのです。このような大規模な取り組み、例えばこの広大な現場やニジェール国内の528カ所の「グレート・グリーン・ウォール」サイトでは、この地域の生態系が復活する様子が実際に見られます。

この800ヘクタールの土地だけでも、年間300万立方メートルの水が地中に浸透し、流出することなく保たれています。そのうち15%は深い帯水層に浸透し、地下水位を再生しています。この活動が人々の生活に与える影響は非常に具体的で実感しやすいものです。私たちは近隣の村に新設された庭園を訪れ、再生された地下水位が実生活にどのような効果をもたらしているかを確認しました。

「サラーム・アライクム!」
「アライクム・サラーム!」

時間の経過とともに地下水位が上昇し、水が利用可能になったことで、ほぼ1年を通じて作物を生産することが可能になりました。この場所は1.5ヘクタールの市場用庭園の一つで、同様の庭園が9カ所あります。地域社会は地下水を汲み上げて、この庭園で作物を生産できるようになりました。この地下水は、他の場所で行なわれた再生活動によって改善された水位から供給されています。この活動が始まる前は、検査を受けた子どもの10人中9人が栄養失調でした。しかし、今では庭園で多様で栄養価の高い野菜や果物が生産され、それが地元の食生活に取り入れられ、地域社会全体の栄養状態が改善されました。結果として、子どもたちの栄養失調が減少し、大人も恩恵を受けています。

過去5年間、ニジェールでは年間平均300万人が食糧不足の状態にあり、食糧援助を必要としていました。しかし同じ期間に、これらのレジリエンスプロジェクト(復元力プロジェクト)によって、50万人が長期的な食糧援助から脱却しました。この成果をしっかりと考えてみてください。ニジェールにおける528のレジリエンスプロジェクトが50万人の生活を支えています。この取り組みは多くのレベルで機能しているのは明らかですが、大きな疑問は、これをどのように拡大して地域全体の飢餓を終わらせることができるのか、という点です。

この10年間で、WFPは政府やパートナーと協力し、約30万ヘクタールの土地を再生しました。このような土地処理を行なうと、下流の地域にも恩恵を与えます。水が地中に浸透するだけでなく、風を防ぐ驚異的な効果も得られるからです。その結果、1ヘクタールを再生すると、実際にはその3倍の面積に影響を与えることになります。したがって、30万ヘクタールの再生は実質的に90万ヘクタールの効果をもたらしていると言えます。しかし、ニジェールは非常に広大な国であり、サヘル地方はさらに広大な地域です。これはまだ解決すべき問題全体の一部にすぎません。それでも、問題の規模に匹敵する解決策が見え始めています。

このプロジェクトの現場を歩いていると、自分が「グレート・グリーン・ウォール」の中を歩いているように感じます。グレート・グリーン・ウォールは、砂漠地帯や劣化した土地を食糧供給地に変える可能性を示しています。このビジョンは、サハラ以南のアフリカ、サヘル地方、ニジェールでの再生を、前例のない変革へと導くために、みんなが力を合わせることを目指しています。

WFPは、このプロジェクトを機材、研修、食糧、そして作業者への金銭的支援を通じて多方面で支えています。これにより、地域社会の安定を図りながら自然資源を増やすことができます。

私たちはニジェール政府と共にこのプロジェクトを進めています。政府は農村地域を変革するための強いビジョンとして、レジリエンス(復元力)を重視しています。

このプロジェクトは、ニジェールという土地が人々を養う母であるという考え方において非常に重要です。

私たちの活動が「グレート・グリーン・ウォール」の取り組みに沿ったものであることを目指しています。

WFPとして私たちは、触媒的な役割や支援的な役割を果たせますが、最大の役割と成果は、地域社会が自分たちの力で成し遂げることにあります。グレート・グリーン・ウォールのビジョン、つまり「飢餓に対するグリーン・ウォール」の中で、本気で取り組み、動機づけられる必要があります。

さあ、再生しよう!力を合わせて!食糧を提供しよう!資金を集めよう!私たちの場所で、神のもとで、この努力を!

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