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お薬のお話〜ラメルテオン・スボレキサント・レンボレキサント追加で他の眠剤を減らせるのか?

こんばんわ!

今回は、減薬を試みる薬剤師には興味深い論文を見つけたので紹介します。

A retrospective clinical practice study comparing the usefulness of dual-orexin receptor antagonists and a melatonin receptor agonist in patients switching from long-term benzodiazepine receptor agonists.

後ろ向きの実臨床試験で、長期ベンゾジアゼピン受容体作動薬(従来の眠剤)からの切り替え患者におけるデュアルオレキシン受容体拮抗薬(スボレキサント・レンボレキサント)とメラトニン受容体作動薬(ラメルテオン)の有用性を比較した論文です。

参考までに、今回の論文掲載の雑誌、J Clin Sleep Med.の2023年のインパクトファクターは3.5です。


要約

デュアルオレキシン受容体拮抗薬(スボレキサント・レンボレキサント)はベンゾジアゼピン受容体作動薬の約1錠と置き換わりうる。

事前情報

ベンゾジアゼピン受容体作動薬と新規睡眠薬を比較したデータやベンゾジアゼピン受容体作動薬から切り替えた場合の効果に関するデータがない

行ったこと

⚫︎デュアルオレキシン受容体拮抗薬やメラトニン受容体作動薬に切り替え前にベンゾジアゼピン受容体作動薬を1年以上服用中の289人の精神疾患患者を登録した
⚫︎ベンゾジアゼピン受容体作動薬を服用している時点でのデータをベースラインとし、スボレキサント/レンボレキサント/ラメルテオン開始後3ヶ月時点のデータを収集した

わかったこと

⚫︎ジアゼパム換算でそれぞれスボレキサント-4.1mg、レンボレキサント−2.8mg、ラメルテオン−1.65mg相当のベンゾジアゼピン受容体作動薬の使用を減らせた

⚫︎ラメルテオンよりデュアルオレキシン受容体拮抗薬でベンゾジアゼピン受容体作動薬減少量は顕著であった

⚫︎どの薬剤も切り替え成功率は異ならなかった
⚫︎レンボレキサント服用中の患者さんはベンゾジアゼピン受容体作動薬により強く依存している傾向があったかもしれないという考察あり

薬剤師コメント

無料で読める範囲の情報ではありますが、興味深い内容でした。
後ろ向き研究でどこまで再現性があるのかわかりませんが、日本発でとても参考になる情報だと思います。ジアゼパム換算で1.5mg〜4mgの範囲での減少と考えると、

主な睡眠薬でトリアゾラム0.075mg〜0.2mg、ゾルピデム3〜8mg、ゾピクロン2.25〜6mg、エスゾピクロン0.75〜2mg、ブロチゾラム0.075mg〜0.2mg、フルニトラゼパム0.3〜0.8mg相当になるのではないかと(ジアゼパム換算値を参考にやま茶がそれぞれ計算)。
エスゾピクロン服用中の方は結構減らせる印象はありますね。

しかし、その他の眠剤に関しては、、1剤増やして1剤減るかも?くらいの効果量でこれを持って効果ありました!と言っていいのかなんともいえませんね。
依存リスクを多少は減らせたという見方をすれば悪くはないですね。
高齢者のふらつき防止にもとても良いですね。

減薬にはなりませんが、ベンゾジアゼピン受容体作動薬の依存リスクを減らしたい人は試してみても良いと思います。

不眠に関しては、他にも減薬方法はある(朝日を浴びる、運動する、アルコールをやめる、トラウマから来る興奮や緊張で眠れない場合は心理療法でトラウマ治療をすることをお勧めします)ので、どこかでまた書けたら良いなと思います。

参考文献

Masumi Tachibana et al. A retrospective clinical practice study comparing the usefulness of dual-orexin receptor antagonists and a melatonin receptor agonist in patients switching from long-term benzodiazepine receptor agonists. Clin Sleep Med.2024 Apr 1;20(4):603-613.


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