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中二のあの日に起こったこと②
引っ越し直前はどこへ行っても寂しい気持ちになる。
『ここに来るのももう最後かな』『この子と話すのも次はいつかわからないな』『この場所に、来週からわたしだけいなくなるんだな』そんなことを常に思ってしまうし、どこに行っても『また会おうね』『忘れないよ』『手紙書くね』と別れの言葉ばかりだ。時間がこのまま止まればいいのにと何度も思う。
引っ越しなんて、したくないよ。(転校するたびに不器用なわたしはまずいじめにあうのがルーチンだった)
さて、例のK先輩大事件(以下の記事参照)から二日経った夜のこと。
あれは塾の帰りだった。
わたしの通っていた塾は小さなビルの4階にあった。
大好きな先輩(♀)が通っていたから通い始めた塾だったけれど、先生も面白い人が多く、部活の友達もたくさん通っていたので毎週楽しみに通っていた塾だった。
ただ問題が一つあった。
K先輩がそのビルの1階の飲食店でバイトをしていたのだ。
はいもう嫌な予感しかしないし、やっぱり予想通りだった。
塾の終わりを待ち伏せされていた。
それとなく友達の陰に隠れながら階段を降りていたのだけど、すぐに見つかってしまった。
友A「わ!K先輩〜!バイト終わりですか〜?」
先「うん、ちょうど今終わったとこでさ。あ、ずかんちゃん、ちょっといい?」
友ABCD…「…!」
フ『全然よくねぇーーーーーー(死)』
みんなの視線に見送られ、先輩と一緒にビルの陰に行った。
その数秒がわたしにはこれ以上なく長く感じた。
あぁもう帰りたい。1秒でも長く友達と一緒にいたいのに、みんなと話してたいのに、なんでこんなことに…
うつむいたまま先輩と向かい合う。
あぁもうやだ。絶対これまたあれじゃん。
先「この前のことなんだけどさ、」
うわやっぱりそうだよそうですよねそれしかないですよね!!!
先「もう一度ちゃんと言わせて欲しくて。…付き合って欲しい」
あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーもーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー逃げられないよおーーーーーーーーーー!!!
そしてわたしにはこれ以外の返事は残されていたかった。
フ「はい…」
最悪。まじで最悪。あぁもうどんな顔してみんなのとこ戻ればいいのさ。先輩満面の笑みじゃん。わたしゃもう消え去りたい気分だよ。どこ見ていいのかわかんないよ。
先輩にハグされた。『あぁ男の人ってかたいんだな』と思った。
「ありがとう、すっげー嬉しい」
って言われたけど、残念ながらわたしは今なんとも言えない気持ちだ。どちらかと言うときもちわるい。先輩にも友達にも、皆さんには本当に申し訳ないのだけど、ひとつも嬉しくない。
友達のところに戻ったらみんなからの質問責めがやっぱり待っていたけれど、「何もないよ〜」を貫き通した。まぁバレバレだったとは思う。
帰り道の足どりは、とても重かった。
続く
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