西日本修験の旅 -種をまく-
山口ではこれでもかというほどのお接待を受けました。
鷺流狂言を伝承される米本さんのお宅にお世話になっていたのですが、狂言には山伏がよく登場します。
よく言えば「人間味のある憎めないキャラクター」、悪く言えば「一から修行やりなおせボケ」な山伏が狂言の山伏。
本当に山伏は狂言によく出てくるので、きっと昔はとても身近な存在だったのでしょうね。
今回の山口滞在の間に、洞春寺さま(大変由緒正しい臨済宗のお寺)にて狂言×山伏の密やかなイベントをさせていただきました。
お寺の山門に日時とタイトルだけが書かれた謎の看板が。というだけの告知だったにも関わらずお集まりいただいた皆さまにはご縁を感じずにはいられません。
よう来たなこれで(笑)
修験道をなんとなく知っている方から、まったく知らないという方まで、さまざまな方がお越しになられましたが、どちらかというと皆さん"知らない"寄り。
山口県は修験道のイメージないですもんね。というか”維新!”な文化だと思うので真逆ですよね。
こういう土地で修験の話をさせていただけるのは大変有難いことです。
これは種をまく行為に近いと思います。
知っている方にもっと興味を持ってもらうことももちろん大切ですが、『全く知らない』という人に知ってもらうきっかけを作るのはもっと大切だと思うのです。
10年前のわたしがまさに『全く知らない』人でしたから。それが今はこんな状態ですよ。わたしに種をまいてくださった方は誰だったのだろう。合掌←(記憶なし)
そうそう。山口を発つ朝、洞春寺さまの朝の勤行に参列させていただいたのですが、洞春寺さまはいろいろとおもしろいお寺さまでして、朝の勤行にお犬が同席されるのです。
金峯山寺では『神仏のおられる堂内に畜生を入れるのは絶対ダメ!』とされているのでとても新鮮な勤行でした。
勤行をしている間、お犬が物珍しそうにわたしの周りをくるくるまわってマスクを奪っていったり乗っかってきたりペロペロしたりしていたのですが、
『これはあれだ、こういう時こそ心頭滅却してお行に集中することが試されているのだ』
と心乱されぬよう試みておりましたところ、勤行の後半から今度はお犬のガジガジタイムが始まりまして、わたしの腕から肩まで人間ジャーキーと化し、合掌することもままならずぶんぶんお犬に振り回されておりました。
ぎゃー痛い痛い痛い。
『うう、、しかし今は勤行中。勤行に集中せn…痛たたたたたた(涙目)』
心頭滅却まったくできず。
この記事を書いているのはあの日から既に1週間経っているのですが、未だに両腕全体が青あざだらけでどこかの格闘家のようです。
思い出深い勤行でございました。
ちなみに勤行の内容はまったく覚えておりません。まだまだ精進が足りません(合掌)