「人は一人では生きていけない」ということ
人は生まれつき、身の内に生きる術を持たない。道具や知恵を得なければ、生きていけない。
道具を得るには、自分で作る方法と、人から譲り受ける方法の二通りがある。前者に関して、作る技術は人から教わる必要がある。後者に関しても、その道具の利用法を、誰かに教わる必要があるだろう。
また、他者の力で作られたものを利用するという点で、もう名も知らぬ誰かの手に助けられている、と言えるだろう。
人は、自分一人では生きてはいけないのだ。
だからだろうか。人は、繋がりを求める。繋がりの中で安心感を得る。
自分の弱さを曝け出し、認めてもらい、労い、癒してもらいたくなるものである。
だが動物は違う。
身の内に生きる術を有している。そしてそのため、個体同士の、生きる上での依存度は低い。
だから自分の弱みは表に出そうとしない。
生きる上での自立度が元々高いから、大概の問題は自分の問題であり、自分でどうにかするしかないものであるし、そのような、相手に頼ってもどうしようもない状況が普通である環境の中では、弱みを明かして助けを得る利点より、弱みが目立って自分が不利になる不利益の方が大きかったりするのだ。
どうしようもない時は、仲間に精神的に頼りたくなって、弱みを見せることもあるだろう。しかし、問題を解決するという上では、自分で解決しようと、抱え込んでしまう事の方が自然な考えだった、という気がする。
弱みを人に見せるのが苦手だという人は、自分は人間である以上、弱みをどうにかするには、人に頼るのが一番合理的な手なのだと、認識を改めたほうが良い。
その方が、(頼る人さえ間違わなければ)自分が楽になるはずだ。
私自身、元々全て自己解決しようとする癖があった。
だが上手く人に頼ることで、なかなか上手くいくことも多いのだと最近、気付きつつある。
特に最近は本来無かったしがらみや理不尽な常識や価値観も多く乱立しているような状態だから、増々、人間一人じゃどうにもならない問題ばかりだと思う。
そういう望ましくない色々な事象も、人に頼るのが一番の解決手段であるだろう。