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印鑑文化保護法制定の提案〜日本が滅びないために


 Facebookでシェアされていた記事のタイトルを見た時は、虚構新聞かと思いました(笑)。竹本さんという方が、国際競争が激しく、著しいスピードで進化しているIT分野の大臣としての不適格なことは明らかです。ハンコ議連の会長だったというのは、日本の後進性を象徴的に示してくれていて、逆説的な言い方になってしまいますが、可視化されたという意味で、むしろ良いことかもと思っていました。ただ、辞める役職は誰が見ても逆ですよね。ブラックジョークがリアルな日本を受け止めないといけません。
 この話はテクノロジーの活用で日本のエンタメビジネスを活性化することに全力を投じている僕にとっても身につまされる話です。問題点がエンタメ業界と相似形だからです。

・意思決定する人がITの知見が無い:年功序列が主流の日本社会では、エスタブリッシュメント層に高齢でテクノロジーへの知見が薄い人が多い。過去の成功にはテクノロジーとの親和性が低かったので重要性を認識してない。そのため頓珍漢な意思決定がされることも多く、時代に適切に対応できず、後追い、無いし逆方向の意思決定になってしまう。

・議論のポイントがずれている:印鑑を使う事が問題なのではなく、法人登記や銀行口座開設といった社会の仕組み上の承認行為を時代に合わせて、電子化クラウド化させることが必要な訳です。「意思の担保としての押印」という説明も意味不明です。時代遅れになった仕組みを「日本の文化」だと言って温存しようとするのは、無茶苦茶な論理なのですが、そのことに気づけていない。音楽に喩えるなら「パッケージで音楽を聴くのを日本の文化」だと思いこんでいる方は今でもいらっしゃいますね。アーティストとのエンゲージメントにパッケージに思い入れを持つのは万国共通で、その証拠にアメリカでもアナログレコードの売上は伸びています。スマホなどで聴きたい曲がいつでも聴けるストリーミングサービスの利便性がユーザーに支持されていることは、文化云々とはレイヤーが違う話です。

 日本は労働生産性が低いこともよく話題になりますが、紙の書類と印鑑による認証制度をやめれば、生産性向上に間違いなく繋がると思います。法人や個人の印鑑登録制度は廃止。銀行口座や契約書などの認証に押印するのも法律で禁止しましょう。

 労働生産性の国際比較2019では、日本の時間当たり労働生産性は46.8ドル(4,744円)でOECD加盟36カ国中21位だそうです。その低さに、捺印の習慣が影響していることは間違いないでしょう。コロナウィルス感染対策の在宅ワークス推奨時も紙の書類への捺印が主な理由で出社するという笑えないデータもありました。

 ちなみに、ネットで調べたところ、印鑑業界の市場規模は240億円(工業統計調査  経済産業省/2016年)だそうです。業界の市場規模をどの数字で見るかは常に意見が分かれるところなのですが、思ったより小さいなという印象です。

印鑑業界の活性化案

 コンセンサスを積み上げる日本社会では、既存の業界が壊れるような意思決定は合意形成が難しく、やるにしても非常に時間とコミュニケーションコストが掛かります。法人の登録(登記)や個人の実印をベースにした契約の仕組み、銀行口座を印影で区別する慣習が、時代遅れで、社会的に無駄なコストであることは、コロナ禍の出社理由を見るまでもなく、明らかです。ただ時間を掛けて日本中に広まった仕組み、慣習ですので、法律で禁止するくらいの思い切った施策をしないと変えられません。そこで提案したいのが、「印鑑文化保護法案」の制定です。

 個人や法人の認証を印鑑を使って行うこと(契約時の印鑑証明や法人登記)を禁止するとともに、実印や銀行印が無くなっても、むしろ市場が広げられる印鑑業界を活性化する施策をセットで行うのです。同じものが2つ無いという希少性と、印鑑を押すという行為は文化的背景も含めて面白いと思います。

1)若年層向けカルチャー、グッズとしての印鑑普及:「開運」や「Serendipity」などをテーマにして若年層に改めてオリジナル印鑑をもたせる事業、スタートアップ型で展開。やらせてくれるなら、起業家予備軍集めてのアイデアソンやハッカソンのオーガナイズやりますよ。面白い事業が若者から出てくることは十分期待できます。エンタメ感があるサービスが必要でしょうから、事業開発お手伝いします!

2)訪日観光客への印鑑製作の義務付け:日本に始めて来日する外国人観光客に自分の名前で印鑑を作るのを「義務化」する。入国税にプラスするというイメージです。日本文化に興味のある訪日外国人観光客からは支持される可能性があります。観光というのは採譜の緩む時期でもあります。コロナ後に必ず戻ってくるだろうインバウンド需要に向けて今から準備を始めましょう。2000万人から500円取ったら100億円です。(2019年の訪日外国人数は3188万人)政府目標は4000万人ですから、500円でも200億円、1000円なら400億円という市場規模になります。

 時代の流れで不要になる業界が生まれるのは仕方がないことですが、闇雲に残そうとしてもただの守旧派で、社会の害になります。結果、社会の進化を遅らせた上に、業界全体が根こそぎなくなってしまいます。日本は「みんなで話し合おう」なコンセンサス形成をする社会慣習が強いですから、斜め横にずらして、その業界の持つ強みを時代に合わせて生かしていくことが特に日本では重要な気がします。

 っていうか、このIT大臣は早く罷免にしましょうよ。台湾のイケてるIT大臣と比べるまでもなく酷すぎます。

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山口哲一:エンターテック✕起業
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