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大阪音大で僕が伝えていること=「音楽で自己実現しよう」〜MB専攻講義録1

 2022年4月に開講した大阪音楽大学ミュージックビジネス専攻は、一期生46人で始まりました。非常に熱量が高い学生たちです。正直これだけ音楽ビジネスを学びたい若者のかたまりに会うのは初めてで、僕自身が大きな刺激を受けています。
 月に1回(90分)程度、山口枠の時間を作ってもらって、直接話をしています。その内容をnoteでも共有していこうと思います。第一回講義は4月21日でした。アジェンダはこんな内容です。 

「音楽で自己実現する」というテーマ設定

 100年以上の歴史を持つ=クラシック音楽をベースとする音楽大学に、新しくできたミュージックビジネス専攻を選んで(入試も突破して)入ってきてくれた46名の一期生に対して、どういうバックボーンや考え方の人間が企画したのか、そもそもどういう趣旨で設立されたのかを説明しようと思いました。

 僕は、「ミュージックビジネス演習」という授業の中で月に1回くらいの頻度で90分間の講義をしていくことになっています。18歳がほとんどの彼ら彼女らに僕が伝えていきたいと思ったのは、「音楽を通じた自己実現」という言葉でした。学生の中には、アーティストとして成功したくてビジネスをの勉強をしようとした人もいるし、音楽業界に就職したい人も、起業を考えているケースも少しはあるかもしれない。でも、まだどうしていいかわからないというのが正直なところなのかなと、自分の18歳を思い出しても思います。
 ただ、共通しているのは、音楽を通じて自分を表現したい、自分のやりたいことを実現していきたいということだろうという「言語化」を行って、「自分はどんな目標設定で音楽に関わっていくのか」について考えて、行動していくことについて、全方位でサポートしていきたいというのが僕のスタンスです。大学で「ミュージックビジネス専攻」に進むというのは、大きな選択だったと思いますから。

 もう一つ、強調したのは、4年間で思いつくことは全部、挑戦して、たくさん失敗してほしいということです。大学在学中であれば、「セーフティネット」がありますから、失敗しても大きなダメージはありません。アーティスト活動なり、起業なりに挑戦して、成功すればもちろんハッピーだし、失敗しても、就職活動においては有利なキャリアになるのが今の時代です。
 既存の大学の先生やご両親が「失敗したらどうするの?」と心配したら「失敗経験がある方が就職に有利だって山口さんが言ってた」と伝えてくれと言いました。だって、本当のことですから。

 積極的な彼ら彼女らから素朴な質問をされることも多く、自分がやってきたことを晒す機会にもなっています。正直、恥ずかしい内容なのですが、取り繕ってもしかたないので、そのまま見せることにしています。

恥ずかしながらもちょっと長めの自己紹介

 エンターテックエバンジェリストとか名乗っているけれど、何やってきたの?という説明に、2011年頃から書籍を出版し、プロジェクトを立ち上げ、新しいテクノロジーと向き合い、起業家と一緒に事業を作ってきたことを話しました。

 MB専攻の学生には僕の持っているものは何でも提供してあげたいので、どんなことができる人なのかも説明しました。すぐにはピンと来ないでしょうが、4年間の在学中で思い出したら相談に来てくれるかなと楽しみにしています。

ミュージックビジネス専攻の設立趣旨と経緯を説明

 大阪音楽大学から依頼されて、ミュージックビジネス専攻を企画した経緯も説明しました。一期生として選んでくれたことを感謝していますし、期待しています。

学生に対して卒業後のキャリアイメージを提示

 日本のほとんどのエンタメ関連の教育機関の課題は、学生に対して「キャリアプラン」を提示でないことだと思っています。大阪音大の教授会にプレゼンテーションをした時から、僕は「キャリアプランからの逆算」でミュージックビジネス専攻を提示しています。一期生のみんなにも当然、話し始めています。

 当たり前のことですが、教育内容が一番大切です。デジタル化で音楽ビジネスが構造的に、かつ不可逆的に変化していることはこのnoteで繰り返し書いていることですし、拙著『最新音楽業界の動向とカラクリがよくわかる本』でもまとめています。そんな「デジタルとグローバルの時代」に適して、音楽ビジネスを2000年以降に生まれたZ世代に適切に伝えて、日本の音楽界を背負う人材を送り出すのが、大阪音大ミュージックビジネス専攻の存在意義です。

 ただ、Z世代の彼らには、音楽会を背負うとかいうのは結果論で、18歳で音楽に関わろうと思ったプリミティブな気持ちを大切に、音楽を通じて、自分のやりたいことを見つけて、実現していってほしいと思っています。

 月1回の講義+Slackなどでのコミュニケーションを通じて、可能な限りのサポート=「伴走」をしていくつもりです。こちらがびっくりするくらい熱量の高い若者たちが集まってくれています。大阪音大MB専攻で話をしていると、日本の音楽界の未来は明るいという気分になれるのです。

音楽で自己実現のためのサポート=伴走を始めました

経営陣の英断に感謝しながら学生ファーストで責任を果たしていきたい


 百年以上の歴史を持つということは、保守的な体質を内包することとなります。学外を知らない内向きの教職員の方もいらっしゃるでしょう。改めて理事長、学長、常務理事といった経営陣の方の英断に敬意を示したいと思います。透明性が重要な時代を踏まえて、僕が大学と学生に約束したことをこのような形で公開しておくのは、自分への戒めでもあります。日本で最高級の客員教授の皆さんが趣旨に賛同して協力してくださっていることへの責任もあります。コンセプトに合致しない講義や教員が生じないようにすることは、この専攻を立ち上げた僕の責任でもあります。
 「デジタルとグローバルの時代の音楽ビジネスに合ってないと思う講義をやる先生がいたら教えてね、俺の責任だから」と学生には伝えています。
 MB生が音楽を通じて自己実現していくことが最優先=学生ファーストを貫きながら、大阪音大の皆さんや、学生のご両親の期待に応えるべく、初心を忘れずにがんばりますので、ご期待ください!
 来年以降は、インターンなどご相談できればと思っていますし、産学連携のロールモデルにしたいと思っていますので、音楽、IT、コンテンツ業界関係者の方はお気軽にご相談ください!

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山口哲一:エンターテック✕起業
モチベーションあがります(^_-)