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LABの資金調達から感じる音楽業界のDXへの意気込み。BabyJamとdot-muraも
StudioENTRE発の音楽専門マーケティング会社LABがシード調達しました。
音楽特化のマーケ会社LABがシード調達
日本の音楽界は世界で一番デジタル化が遅れています。デジタル化の定義はいろいろありますが、一番わかりやすい説明は市場のデジタル比率でしょう。デジタル売上が、フィジカル(CD等)比べて5割未満の国は、世界で日本だけになって6年経っています。日本と似ていると言われていたドイツの音楽市場でデジタル比率が過半になったのが2018年です。
多くの経済新興国はそもそもCDビジネスが大きな産業に育たずに、デジタル「から」音楽市場が伸びていますから、CDビジネスの延命に注力した日本がデジタル対応が「世界一遅れた」というのは、大げさではなく事実です。
デジタルマーケティングが日本の音楽業界の最大の課題
いまだにCDが売れていることが悪いことではないのですが、新たな可能性があるデジタルサービス活用にコンサバだったことは日本の音楽業界を停滞させました。「失われた〇〇年」は音楽にも当てはまるわけです。コロナ禍を挟んで日本のレコード会社や大手事務所なども、やっとDXをテーマとして掲げるようになってくれました。「2023年が日本の音楽業界のDX元年だ」と以前書きましたが、そうなると、デジタルマーケティング人材がいないことが日本の音楽界の最大の課題になってきます。
音楽マーケ人材を育成するための「音楽マーケテイングブートキャンプ」の企画運営チームが、株式会社LABの母体です。YouTubeやLINE MUSICなど音楽サービス事業の責任者から直接、講義を受けつつ、実際にアーティストのアカウントに触るという「超実践型」の内容で、第6期まで100人以上の音楽マーケターを送り出してきました。講座をテコに(僕らもフォローして)音楽業界で仕事をする人たちも増えてきています。来年1月に沖縄で行われるMusic Lane Festivalの関連講座として、「in 沖縄」という取り組みも行い、「フェスのマーケター育成」というプロジェクトも始めています。
音楽業界老舗会社からの出資の意味
今回1000万円ずつ出資していただいたのは、フジパシフィックミュージックとフォーライフミュージックエンターテインメントという日本の音楽業界を代表する老舗の会社です。
フジパシフィックミュージックは朝妻一郎さんという日本に音楽出版(音楽著作権)ビジネスを根付かせたレジェンドが今も現役で、フジテレビという放送局の子会社という域を超えた大きな貢献をされています。『トノバン〜音楽家加藤和彦とこの時代』というこの春公開された音楽ドキュメンタリー映画にも出演されて、歴史の証言者となられていました。音楽愛と識見が業界中からリスペクトされている方です。
フォーライフは、言わずとしてたフォーク・ニューミュージックブームから一時代を築いたレコード会社です。シティポップ分野のアルバムも多数リリースしています。創業者の後藤由多加さんは、業界の重鎮で日本音楽制作者連盟を設立した人ですし、レコード協会や音楽出版社協会などの役員も歴任され、日本唯一の公式国際見本市「東京インターナショナルミュージックマーケット(TIMM)」を運営するJMCEの代表です。
日本の音楽業界の中枢を担ってきた老舗会社による、音楽でデジタルマーケティング専門会社への出資に僕は、日本の音楽業界が「デジタルファーストに変換していることを改めて強く感じました。
日本の音楽業界のDXが本格化する
事業会社がスタートアップに投資する際は、事業でのシナジー(相乗効果)を期待する部分と、企業価値が上がってEXITする際のキャピタルゲイン期待のどちらか、ないしその2つのかけ合わせですが、今回の出資はシナジー期待+LABの取り組みへの「応援出資」というニュアンスだと思います。長く音楽業界の現場で仕事している脇田敬社長とブートキャンプ立ち上げからずっと取り組んでいるCo-Founder斉藤くんの真摯な姿勢が伝わったのでしょう。本当にありがたいことです。
現状のサービスメニューは3つ。
1)デジタルマーケティングサポート/SNS運用代行
ブートキャンプを修了してLABに参加したマーケターが、チームを組んで「手を動かす」形でサポーします。音楽業界での経験値を活かして、デリケートさが必要なアーティストアカウントを運用します。
2)音楽レーベル代行サービス
原盤権を持っていてデジタル配信していても音楽業界のノウハウがない会社というのもあります。DSPへの登録やYouTubeでの収益化など、音楽ビジネスならではのノウハウを注入するサービスです。アニメ会社GONZOのレーベル運用代行が始まります。
3)多言語翻訳サービス
脇田社長の最近のイチオシ。YouTubeなどデジタルサービスは世界中の音楽ファンがアクセスできます。歌詞や概要テキストなどが多言語であることは海外でのファンを掴むきっかけとして重要ですね。ポイントは、全曲、全動画やること。デジタル時代はどこから火が付くかわかりませんから。自動翻訳だけではイマイチのところを低コストで形にするノウハウが出来上がったようです。
興味のある方は是非、お問い合わせください!
デジタル時代の生態系をスタートアップがつくる!
SudioENTREは設立から4年経ちました。エンターテインメント×テクノロジーを掲げたスタートアップスタジオという世界に類を見ない業態なので、試行錯誤の連続ですが、多くの方のご協力、ご助力いただいてなんとか前に進めています。
僕らが捉えるエンターテインメントは幅は広いので、ビューティテックやインバウンドやその他様々なサービスの検討、サポートをしていますが、僕の出自である音楽関係のサービスが今のところ多いです。
近年の音楽プロモーションの最大のキーであるTiktokにフォーカスして、楽曲とTiktokerのマッチングをするBabyJamは急速に成長しています。日本のレコード会社は全て取引があり売上も伸びています。
その資金をテコに、インディーズアーティストのプロモーションをサポートする「AIマネージャー」を強化して成長するというストーリーを描いていて楽しみです。
NFT付楽曲のマーケットプレースドットミューラもまもなくリニューアル完成です。「クリプトキッズ」のバブル期待のサービスが多かったことでNFTのイメージが悪くなった「風評被害」は若干あった気がしますが、意識の高いアーティストとの関係性は深まっています。
MusicLane Festivalの出演アーティストのリリースというフェスのDX支援の施策にも取り組んでいます。
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法人設立前にStudioENTRE内で事業化するのがスタートアップスタジオの常套手段なのですが、「AIシンガー」を送り出して、クリエイターエコノミーを活性化するGEMVOXは、10/16に第一弾シンガー「TOPAZ」がリリースされます。
マーケティングを何もしてない段階で海外クリエイターからの問い合わせが多くて、グローバルな広がりに期待が広がっています。
「ENTREマフィア」形成を目指す??
これらの音楽サービスは、StudioENTRE発の事業なので、音楽ビジネス生態系に対する課題感は共通したものがあります。経営は各CEOの判断ですが、成長していく過程で互いに相補う事も出てくると思います。
以前、ベンチャー生態系に詳しい元産業再生機構COOの 富山和彦さんは、「メルカリマフィアが日本に必要」「paypalマフィアがアメリカのITを引っ張っている」と発言されています。新たな生態系の幹となる事業を作って、その資金とブランドとユーザー層と経営人脈で枝葉を生やしていくということなですね。
なるほどと思いました。領域特化型スタートアップスタジオの目指す姿とも重なります。メルカリやpaypalの名前を出すのはおこがましいですし、エンタメ領域でやっているので「マフィア」の喩えを使うのは微妙なのですが(笑)、StudioENTREがハブになる形で、日本にデジタルファーストの新しいエンタメビジネス生態系を作っていくように頑張ります。
エンタメ領域での起業に少しでも興味がある人は、StudioENTREに連絡ください。びっくりするくらい色んなイベントや育成プログラムを行っています。peatixに過去のイベント一覧もあります。
公式サイトの問い合わせフォームから連絡もらえれば、スタッフがメンタリングしますよ!
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![山口哲一:エンターテック✕起業](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/19659766/profile_42dcb0de85eb59d3dca1cda3f938912f.png?width=600&crop=1:1,smart)