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フェスやりましょう!行政も曖昧な「要請」はやめてください!

 Covid-19の影響は1年半以上続いています。最もダメージを受けた分野であるコンサート市場。大型音楽フェスティバル、いわゆる「夏フェス」は今年もダメージも受けました。
 茨城県医師会の「要請」によってROCK IN ONは中止。FUJI ROCKは無事に実施されました。そんな中で、愛知のフェスが感染症対策がおろそかだったと問題になりました。

「アウトサイダー」な主催者の危険性

 このニュースで、「やっぱり大型フェスは危ない」とか「音楽関係者の感染症対策はおざなりなんだ」と思わないで下さい。この主催者は音楽業界団体にも属していない、言い方は難しいのですが、社会的にもいわゆるアウトサイダー的なイベントです。音楽業界にはいくつか団体がありますが、主要4団体はこの期間、コロナ問題に取り組んでいます。行政としっかり向き合い、感染症対策のガイドラインを作り、会員社と情報共有しています。「NAMIMONOGATARI」については、皆さん怒っていらっしゃいます。永田町、霞が関に日参しながら、コンサートの実施や補償、補助金支給などについて苦労されていますから、当然ですね。

懸命にコンサートを支える音楽業界4団体

 エンタメ界は、「何も知らない素人が情熱と運でのし上がって天下を取る」という歴史が繰り返されています。アンダーグラウンドな人たちの存在も平時ならダイナミズムになるのですが、非常時の今は「暴れん坊」は困りますね。しばらくは業界団体会員社しか会場を貸さないみたいなルールにするのも一つの答えかもしれません。「タチが良い、悪い」というのは明らかにあるのですが、業界外からではわかりにくいですね。
 以前、ホストクラブみたいな「演劇」公演が問題になった時にこんなことを書きました。

 コロナ禍の危機で、本来はダイナミズムを与える「素人」の活動が、エンタメ界全体の足を引っ張る状況になっているというのが、今回のニュースで見えた景色です。コロナの特効薬が見つかるまでは、コンサートも演劇も、業界団体が「適」マークみたいなものを発行して、「認定が無いとほとんどの会場は借さないし、多くのユーザーも怖がって来ない」みたいにしないといつまでも演劇公演やコンサートが社会から受け入れられないのかなと思ったりしています。

愛知県知事の真っ当な発言

 そんな中で、嬉しいニュースもありました。愛知県の大村知事が素晴らしいですね。

「音楽フェスは原則やめてくれというような強いメッセージを県として独自に出さないのか?」と質問に対して「それは違うのではないか」と述べ「それをやると、結局真面目に一生懸命、感染防止対策をやって、音楽業界関係の皆さんの仕事も一生懸命支えたい、両立させてやっていきたいという人を、潰しちゃうことになりますよね。叩いちゃうことになりますよね。それは、私は違うのではないかという風に思いますね。」と答えたとのこと。首長として真っ当な発言です。

 相変わらず、ともかく騒ぎを大きくしたいアホな記者もいるけれど、立派な政治家もいるんだなと少し嬉しくなりました。

 さて、次はマリーンスタジアムで行われるスーパーソニックです。千葉市長が無責任な発言をしているようです。病床確保は自治体の責務です。「緊急事態」らしい対応を考えていただきたいものです。

無責任な市長発言に負けるなクリマン!

 主宰のクリエイティブマンは昨夏のSUMMER SONIC東京/大阪も中止に追い込まれていますから、日本人アーティストを中心とした9月のSUPER SONICは東京だけでもなんとか実施したいでしょう。頑張って欲しいです。応援したいです。
 メディアが視聴率向上を基準の番組内容で「コロナ怖い怖い」と騒ぎ立て、そこに踊らされて不安感を「世の中の空気」と政治家が受け取るという悪循環が起きていると思います。昨年の春の時点ではわからないことが多く、緊急事態も人流制限もやむを得なかったと思いますが、海外含めて事例もたくさんありますし、ワクチンも開発され、日本では行政が頑張って接種率が5割を超えています。状況は変わっています。
 5月のGWにさいたまアリーナで5日間行われたVIVA ROCKも感染事例はありませんでした。物事に可能性0%というのはありませんが、交通事故や地震と比べて、リスクが高いと言えるのでしょうか?感染症対策を万全に、専門家会議のガイドラインも遵守したイベントを実施するのが「ウイズコロナ」のあるべき社会の姿だと思います。首長の皆さんには冷静な理解をお願いしたいです。もちろん各地の医師会のみなさんも。

フジロックに対する中途半端なメディア報道

 フジロックに関する報道もひどいな思ったので、最後に言及します。1.5億円の補助金があたかも多額過ぎかのような記事ですが、昨年からの経緯も含めて報道しないとフェアじゃないです。
 昨年は日本中のほぼすべてのコンサートが、「自粛要請」を受けて実施できませんでした。主催者の意思で自粛したのだから「コンサート中止保険」も対象外で、行政からの補償も無く、その対応策として「再開の際に費用の半額をメドに支援」というスキームになった流れがあります。数十億円の経済効果があるフジロックにとっては、金額的にも多いとは言えません。
 今回のCovid-19が浮き彫りにしたことの一つがマスメディアの報道の質の低さと科学的知見の弱さでした。各社が真剣に対策に取り組まないと、信頼回復は難しいと思います。SNSがプラットフォームで誰でも情報発信できる時代に、巨大メディアに残された役割は「信頼性の有るブランド」です。コロナがメッキを剥がしてしまったものの一つです。他山の石としたいです。

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山口哲一:エンターテック✕起業
モチベーションあがります(^_-)