ジェノサイドが危惧される「ウィグルアラーム」からテクノロジーとの、そして中国との向き合い方を考える
中国ハイテク大手の華為技術(ファーウェイ)と人工知能を手掛ける曠視科技(メグビー)が、中国のウイグル人イスラム教徒を検出するとアラートを発する顔認識ソフトウェアを開発・試験運用していたことが、社内文書で明らかになった。
IPVMが入手したある社内文書によると、ファーウェイは2018年1月に、メグビーの顔認識技術「Face++」を自社のカメラネットワークでテストし、人々の年齢、性別、人種を認識するその能力に合格点を付けていたという。また同文書には、中国国内で弾圧されている少数民族ウイグル人を特定するために特別に設計された「Uyghur Alarm」についても、テストで合格点が付いたことが明記されている。
背筋が凍るニュースでした。世界的に有名な映像監視&セキュリティ・サイトIPVMがニュースソースです。新疆ウイグル自治区で、ウィグル陣イスラム教徒に対して、中国共産党政府が人権侵害を受け、収容施設に収容され虐待されているというニュースは数年前から流れてきています。西側諸国は非難や抗議は行っていますが、実効性のある阻止方法は見つかっていない現状です。ファーウェイとメグビーが何を目的に開発、試験運用していたのかは書かれていませんが、依頼者と目的は、誰が考えてもすぐわかることですね。
14億人の人口を持つ中国を共産党政府が統治するために、少数民族を迫害しているのは事実です。センサーとAIでウィグル民族を選別するのは、ジェノサイド(民族滅亡)への道です。日本人には当たり前のことですが、国の中では少数派であっても、独自の文化や原語を持つ民族は尊重するのが、現代の人類のルールです。「内政干渉」とはねつける中国に対しt国際社会が監視し、可能な限りプレッシャーを掛けることは本当に重要ですね。
このニュースが共産党政府の独善的で強権的な支配を図る危険性を感じさせることは間違いありません。ただ、同時に僕らが感じなければいけないのは、発達した技術は使い方が大切という当たり前の事実です。人類の夢の技術だったはずの原子力ですが、核爆弾や原子力発電所の事故といった悲劇を呼び起こしたという歴史を僕たちは持っています。
センサーの低廉化と画像認識技術の進化、AIによる画像データの処理能力の飛躍的向上などは、素晴らしいことですが、使い方を誤ってはいけない。そこには倫理が必要だということが強調されることが多くなってきました。哲学的な思考も必要になっています。
人工知能が進化し、大量のデータが効率よく解析できる時代に考えるべきことは多いですね。そして同時に、アメリカの国力が相対的に下がり、基本的人権よりも共産党独裁が優先させる国家、中国の存在感が上がる時代に日本人が考えるべきことも多いなと改めて思わされるニュースでした。
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