見出し画像

シティポップの源流に服部良一を描く、新進作編曲家原田夏樹の明晰な分析をご覧ください!〜大阪音大MB専攻産学連携事例〜

 2022年4月の開講を待たずに、大阪音楽大学ミュージックビジネス専攻は前倒して様々な活動を始めています。
 7月25日に心斎橋ジャニスで行ったイベント「DAION MUSICTECH 2021」では、Tiktok発、東南アジア起点のヒット曲「#君の虜」現象で注目されたcinnamons と evening cinema のライブを行いました。オープニングアクトの高校生シンガーをnanaを使ってオーディションしたり、ライブもFAVERで海外含めた配信を行ったりと、MusicTechらしいイベントで、来年から学生主導で行ってもらう際のモデルケースを作れたかなと思います。

シティポップが世界で人気の理由〜「はっぴいえんど」は過大評価?

 このイベントは、新任教授、脇田敬の企画プロデュースでした。evening cinema の原田夏樹さんは、J-POP曲カバーで注目を浴びた歌姫Rainychの「RIDE ON TIME」の編曲を務めるなど、注目の作編曲家です。大学の博士課程で哲学を学ぶというアカデミックなバックボーンも持っています。
 イベントに先立って、脇田教授のセッティングで大阪音大の学生向けの講義を行われました。前掲の動画『日本ポップス史・試論』は、現役ポップ音楽家による意欲的な仮説による中身の濃い40分の講座です。お時間ある時に是非、ご覧ください。近年のホットトピックである海外でのシティポップ人気の理由を導入に「はっぴいえんど」への風評的な評価が過大であることを実証的に解き明かし、歌謡曲の名曲も分析しながら、その源流に服部良一を求めるというのが大筋です。J-popを「日本的な情緒と西洋音楽技法の和洋折衷」と定義づけ、昭和の2大作曲家古賀政男・服部良一を音楽的に分析し、古賀メロディが演歌に、服部良一が歌謡曲〜J-Popに受け継がれていったことを音楽理論も交えながら説く、説得力ある講義です。
 音楽ライターが似たようなことを語っても、ジャーナリスティックな手法だけの分析だと、僕ら音楽を創ってきた側からみると「靴の上から足を掻く」的な物足りなさが残ります。音楽理論もコード進行も熟知した上で膨大に音楽を聴き、作り、演奏している音楽家による発言は重みがありますね。

 この講座を見て、原田くんの先人の軌跡を学ぶ姿勢は素晴らしいなと改めて思いました。先輩たちの試行錯誤の結果をしっかり受け継いだ上で、消化して自らの創作に活かしています。その結果の一つである「summertime」が、なんの仕掛けもなく東南アジアのユーザーに支持された「#君の虜」現象は、日本のポップスの底力を示す出来事だったのだと思います。今後の彼らの活動をしっかり注目、そしてサポートしていきたいと思います。

J-popにおける産学連携とは?

 今回の講義やイベントは、大阪音大MB専攻は「こういうことやっていくよ」というデモンストレーションです。「産学連携」というコンセプトは今の時代にアタリマエのことですが、音楽における産学連携は日本では前例はほぼありません。客員教授の錚々たる顔ぶれをご覧いただければ、音楽業界のビジネスパーソンを巻き込む様子はご理解いただけるかと思います。
 そして、ビジネス側だけではなく、クリエイティブ面でも「産学連携」したいです。一番意味があるのは、J-popのヒット曲を出そうとモガイている現役の音楽家のパッションを大学のキャンパスで共有することだと思っています。ポピュラーミュージックというフィールドで、アカデミックと実業を連携させていくことが本専攻のテーマです。
 ロボットを連れて女子寮に住む予定の助教(太田智美)はいるし、英語教育のチーフ教員は、Da-iCE「CITRUS」の作曲家(KAZ KUWAMURA)です。従来の規格に収まらない大学教員達からの刺激を受けながら、Z世代にのびのびと実践的に学んでもらって、日本の音楽界の未来を切り拓いていきたいです。

起業かデビューか?できなかったら就職する大学

 脇田や伊東宏晃客員教授は、「大阪音大からヒット曲を出す」と意気込んでくれています。18歳が入学することが多い日本の大学は、4年間掛けて、「アーティストしてデビューして基盤を作る」「サービスを産み出して起業する」などの自己実現を取り組むことができます。日本では例のない「アーティスト・アクセラレーション・プログラム」やStudioENTREのノウハウを注入した「起業家育成プログラム」も導入予定です。どちらも満足する結果が出なければ「就職する」という選択肢がありますからご両親も安心です。僕らが考えているカリキュラムは5年後、10年後にフォーカスして構築していますので、楽しんで学んでくれれば結果として、上場企業が欲する人材には自然と育っているはずです。客員教授陣含めてインターン依頼などのネットワークも濃くありますから、就職については全く心配していません。
 ありがたいことに、高校生からのリアクションも好評、過去にない問い合わせがあると聞いています。来年4月の開講が今から楽しみです。

 同じ脇田教授企画のCiPで行ったイベントや大阪音大で客員教授のnana文原くんに語ってもらったイベントなどの動画も上がっています。お時間ある時に、是非、ご覧ください。



モチベーションあがります(^_-)