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漫画村問題再燃から考える、「ネット時代はコンテンツは無料になる」の嘘

 コロナ禍で自宅からネットにアクセスする時間が増えました。それが理由かどうかはわかりませんが、勝手に漫画をアップする違法サイトへのアクセスが増えているとのニュースがありました。

 この件については、音楽配信の分野で一旦の結論が出ています。ジョブズがApple社でiTunes Music Storeを始めた時も、レコード会社に音源提供にアピールしたポイントは違法行為への対策でした。iTunesだけでは、解決の道は見えませんでしたが、Spotifyの創業者ダニエル・エクが掲げたテーマは、「違法サイトを撲滅する最も効果的な方法や、違法サイトより便利なサービスを作ること」でした。4大メジャーレーベル(EMIがユニバーサルに買収されて3大)は株主として参加して、最終的に多額のキャピタルゲインを得ました。
 並行して、groove sharkという大々的に展開していた違法音源サイトを訴訟に訴えて、謝罪文の掲載を条件に和解しました.2015年春のことです。

 「漫画村」的な違法サイトに関しても、この時の欧米のレコード業界の対応が参考になるでしょう。

 違法コンテンツサービスに対応する方法は以下の3つです。
1)直接、法的に訴えたり、スマホアプリならプラットフォーマー(Apple Android)に通報する
2)ユーザーに違法サービスを使うことはクリエイターにとっても不利益なことであると啓蒙する

1は、イタチごっこですが、ちゃんとイタチを追いかけ続けることは重要です。スマートフォンで違法音源を聞かせるアプリは、日本のレコード業界の不作為で、日本が世界一広まるという不名誉な事態になってしまいました。

2も、地道な活動になりますが、特に若年層に丁寧に説明することは大切です。時にはクリエイターの言葉で語ってもらうことも有効でしょう。コンサートチケットの高額転売問題では、アーティストが声を上げたことで成果があり、サービス自体を撲滅することに繋がりました。

でも、

 3)違法サイトより便利な合法のネット上のサービスをつくる

ことがいちばん大切なことです。ここはスタートアップに活躍の場面がありますね。

 インターネットの普及が一般的になった頃に、全てのコンテンツは無料化の圧力に耐えられないという言説が広まりましたが、間違いだったとことが今や証明されていますね。コミュニケーションの価値が高まり、コンテンツはそのためのツールという側面が出てきたのは事実ですが、人気のコンテンツが有償であることには、ユーザーは喜んで受け入れます。「海賊版すらプレスしない」と言われた違法天国中国も、政府の方針転換もあり、コンテンツにお金が払われるようになりました。サブスクリプション型のプラットフォームが今は主流になっています。コンテンツ側、権利者側はそういう健全なプラットフォーム事業者と連携して、違法サイトを無くしていく努力を続けてくことが必要なのです。

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山口哲一:エンターテック✕起業
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