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「日本人の再定義」が求められる時代。日本文化へのリスペクトを軸に受け入れていこう!


日本も外国人移民が1割超に!?

 興味深い記事でした。コロナ禍が過ぎて、訪日外国人観光客は戻ってきましたね。街に外国人を見かける機会、レストランなどで同席する機会が増えてきました。
 この記事は、日本も「外国人移民が増えていく」という現実的な予測を踏まえて、日本の公用語どうするのか?について整理している記事です。2067年に10.2%という予測も踏まえ、人口が減り始めている日本で、これまで忌避してきた外国人移民について、前向きに考えるべき時代になっていることは間違いないでしょう。

 僕自身は、基本スタンスとしては賛成です。社会に多様性が求められ時代に、出自や文化が違う人を受け入れていくことは、日本社会の成長につながると思うからです。経済的にも刺激になります。海外市場、デジタルを含めたグローバル市場で稼いでいくべき時代に、「外国人」の存在はおおきな武器になります。
 ただ、日本国内に外国人移民が労働力として必要というのは、的外れです。ロボティクスの技術革新とAIの爆発的な発展が見えている今、安易に語るべきではないと思います。特に、いわゆるブルーカラー的な下働きを日本人がやりたがらないから、若者が減っているから安価で雇える外国人移民で対応するという考え方には反対、というは、もう時代遅れで成立しないと思います。外国人技能実習制度の仕組みが必ずしも上手く機能していないのは、制度の悪用という側面もあるのでしょうが、「日本人がやらなくなったつらい仕事を外国人で」という安直な発想がそもそもの理由だと思います。
 外国人移民については、以下のようなポイントが重要と考えます。

日本の良さを言語化して伝える。上から目線は論外

 「上から目線はいけません」というと倫理的な話に聞こえますが、日本が経済力が強かったのはすでに過去の話です。海外旅行先での円の購買力で実感しますが、そもそも日本人が「上」に感じられる領域はほとんどなくなっています。日本だけを見て暮らしていると気づかないだけで、日本のポジションニングを理解することは必要でしょう。
 その上で、島国ある日本には、独自の文化や風習がたくさんあります。商習慣も特殊な場合が少なくありません。そこには功罪両面あって、改めたほうがよいうこと、守ったほうがよいことが混じっている(そしてその意見も分かれる場合がある)のですが、外国人の目線を借りて、日本の独自性を世界標準で捉え直すことが大切だと思います。
 改めるにしろ守るにしろ、まずは客観的に把握して、説明できるようにしたいものです。僕は、外国人の音楽家や起業家に説明する際にいつも心がけていることです。

「日本文化への理解とリスペクト」を新たな日本人の定義とする

 僕らがぼんやりと持っていたこれまでの日本人の定義が狭すぎるということなのでしょう。少し前になりますが、ラグビーワールドカップで、多様な肌の色、出自をもつ人たちが「日本代表」選手として戦い、『ONE TEAM』を掲げて、サムライ魂的な打ち出しをして、人気を博しているのを見て、日本人がイメージする日本人像が変わっていくとよいなと思いました。
 一方で、公用語を英語というのは短絡的な発想だと思います。日本語でのコミュニケーションの幅を広げていくこと、「ノンネイティブ日本語」に対する許容量を広げていく方向が僕の意見です。
 日本の文化をリスペクトと理解がある「移民」を日本社会に受けてれていく、その過程で日本社会が包容力を広げていくというのがあるべき姿ではないでしょうか?日本文化を許容しない人を受け入れても摩擦が問題になるでしょう。
 そして、日本文化に惹かれている人は世界中にたくさんいます。日本に住んで日本人だけと接していると気づきにくいのですが、これが今の日本の最大の価値ではないかと僕は思っています。
 世界で初めて中央銀行通貨のデジタル化を担ったブロックチェーンのスタートアップ「ソラミツ」の創業者、武宮誠さんはアメリカ人でした。日本の文化に魅了されて、日本国籍を取ったそうです。ブロックチェーン「ハイパーレジャー・いろは」を開発した天才プログラマーが、「日本人」を選んでくれたことを僕らは誇りに思うべきでしょう。(「帰化」という独特の語感の言葉はそろろ辞めたほうが良いのではないかと僕は思います。)

ノンネイティブ日本語コミュニケーション力を持つ

 武宮さんは非常に上手な日本語を話しますが、(容貌からハーフかなと思われるでしょうし)発音で、日本語ネイティブで無いことはわかります。でも十分な日本語力だし、間違いなく「日本人」だなとお見ました。
 僕はタイ人の美少女シンガー(May from Sweet Vacation)や、インドネシア人のロックシンガー(Aiu Ratna)を日本でデビューさせた経験があります。最初は英語でコミュニケーションを取っていましたが、そのうち、僕の英語力に彼女たちの日本語力が追いつき、日本語で話す機会が増えていきました。その際に気をつけたのは、わかりやすい文法、語彙で話すことでした。日本人は微妙なニュアンスにこだわって、「◯のようにみえて△ではないし、□かもしれない」みたいな言い回しをしてしまうことが少なくありません。文章は簡潔に、伝えたいことをわかりやすく、伝わらない言葉は言い換えて、などを心がければ日本語でコミュニケーションできました。作品を創ったり、一緒に仕事をしたわけですから、そんなに表層的なものではありません。
 僕の感覚でいうと、日本語四級を持っている外国人とは問題なく音楽制作、レコーディングできます。日本で仕事をしようとするなら二級を目標に日本語学習を継続することを薦めています。文科省は、日本の専門学校に外国人が入るには、専門的な教育が可能な日本語一級取得が原則みたいな方針ですが、実情とズレています。日本語一級のレベルは相当高く、音楽系の専門学校で言うなら、日本人学生に受けさせても半数くらいは合格できないでしょう(笑)。

並行してノンネイティブ英語力を実践的に上げる

 ノンネイティブ向けの日本語を身につけることと並行して、ノンネイティブ、イングリッシュスピーカーとしてのスキルを上げていきましょう。ネイティブスピーカー並みの英語力で欧米のグローバル企業でバリバリ働く日本人ももっと増えてほしいですが、全員に必要なスキルではありません。むしろお互い外国語として、英語ネイティブ(米英豪など)以外とコミュニケーションすることをイメージすると英語の学習意欲も継続しやすいと僕は思います。手段としての語学という感覚です。
 僕たち日本人は中学校から英語教育は受けているので、文法と語彙は基本コミュニケーションには十分あります。問題は言語という道具を使って、コミュニケーションする能力や経験が乏しいことなのです。

 日本語学習意欲がある外国人とは積極的にわかりやすい日本語で話しつつ、ブロークンでも臆さずに、ともかく英語を口にしていくことは大切です。「聞くのはある程度わかるけれど、話せない」という人がいますが、ほとんどの場合勘違いです。ともかくなにか喋って、相手がイエス、ノーや補足を言ってくれる形のほうが、自分の語学力不足を補えます。表情を見れば、伝わっているかどうかはわかるものです。

同様のことをゴンゾ石川さんとの「ぶっちゃけビジネストーク」で語っています。

大学生の前で話をするときには、タイ人とかスウェーデン人と英語で話すイメージだよって言ってます。今、インバウンドで外国人いっぱいいるじゃない。学生とかによく話してるのは、とりあえず自分がある程度知ってる場所で時間がある時に外国人がいたら「Hello!Where do you come from?」って、声かけましょう。いつ来たの?とかどのくらいいるの?どこのホテル泊まってるの?とか話しかけられて喜ばない外国人は少ないです。ラーメンが好きだったらあそこのラーメン屋おいしいよとか教えて、最後に「enjoy!」とか「Have a good day!」と言うみたいなことを普段からやることによって自分のコミュニケーション習慣とか英語を話すバリアっていうのが下がっていくんで、まずそれやろうよって。今訪日外国人が戻ってきたので、チャンスだと思うんですね

動画字幕から抜粋

 語学力はもちろん大切ですが、それ以上に重要なのはコミュニケーション力です。外国人と接する機会を積極的に増やしていくこと、そして日本の文化に興味とリスペクトを持ってくれた外国人を受け入れていくマインドがこれからの日本人に大切だと僕は思っています。
 「エンターテック分野での起業」が僕の専門領域ですが、「外国人との積極的な交流」「日本人の定義の拡大」は、エンタメコンテンツとテクノロジー活用、そしてスタートアップによるサービス創出が、キーになるはずです。頑張ります。
 日本文化をリスペクトして日本人になりたい人を受け入れて行く仕組みができれば、日本の人口を増やすこともできるかもしれません。

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山口哲一:エンターテック✕起業
モチベーションあがります(^_-)