大阪音大MB専攻の「不祥事」が「世の中ゴト化」した経緯まとめ
大阪音大についてはもう書かないつもりでした。前回の投稿以降で、今回の「事件」がメディアに取り上げられ、数多くの方々から心配と労いのお言葉をいただきました。本当にありがたく感謝しています。noteのPV数も過去最高でした。
社会の話題を「自分ゴト」「仲間ゴト」「世の中ゴト」と分けて捉える考え方は、戦略マーケテイングに長けた高野修平くんから教わりました。
今回の大阪音大ミュージックビジネス専攻でのトラブルは、この数ヶ月で「世の中ゴト」となり、「不祥事」として捉えられるようになったようです。残念なことですが、興味を持たれた方に事実を正確に知っていたくことは大切ですし、僕のnoteのフォロワーの方にも経緯をまとめてご報告するべきかと思い、できるだけ簡潔にまとめます。
3月30日15時:読売新聞掲載
メディア掲載は読売新聞が最初でした。
3月30日21時:朝日新聞掲載
朝日新聞が追随しました。読売内田記者、朝日新聞浅倉記者、いずれもご連絡をいただき取材を受けました。
記事自体は新聞らしい客観的な事実報道ですが、記者の方は大学の対応に義憤をかられている様子が見て取れました。特に最初に見つけた読売内田さんが「大学が新聞社を取材拒否すると言うのは普通には無いことです」と呆れた様子で語っていたのが印象的でした。
3月30日23時頃:Yahoo! TOPに掲載
夜遅くに、友人からの「これって山口さんがやってた大学ですよね?」というメッセージで知りました。
検索の時代とはいえ、Yahoo!TOPの影響力は大きいですね。これで完全にみんなが知っているという雰囲気になりました。
4月5日:衆議院文部科学委員会で荒井優議員が大臣質問
一般層にはそうでもないのかもしれませんが、文教委員会での国会質問は大きな社会的インパクトがあったと思います。荒井優議員は、教育分野が専門で、学校法人の理事長の経験もある、現国会議員で最も教育行政に詳しい方です。
委員会の質問の前に少しお話しする機会がありましたが、私学大学のガバナンスというは今の教育行政の最大の課題の一つだそうです。一言でいうと、理事長の権限が強すぎて、よほど抑制的に運用しないと、ガバナンスは働かない仕組みになっているとのことで、日大理事長の不祥事があって、私学法が改正されたものの、私立大学協会の猛反対で、不十分なものになってしまったそうです。
大学の自主性を重んじるのが建前の文科省は、すぐに動きは無いようですが、教育行政の専門家議員の問題提起は重く受け止められているはずです。大阪音大のガバナンスについての課題感は文科省内部で共有されたことでしょう。本件を管掌する十川常任理事は、来年3月改選の次期理事長の有力候補だそうですが、その前に脇田専任教授の契約非更新問題の円満解決が課題になりますね。
5月14日:毎日放送「よんチャンTV」内『憤マン!』で10分間の特集!
世の中ゴトになるという意味では、ダメ押し感のある出来事でした。
脇田敬とkaz Kuwamuraが風評リスクを犯してメディアに出た勇気にも敬服します。テレビ放映では直前にDa-iCEが出演、Kaz作曲の「CITRUS」が流れていました。流石に言及はありませんでしたが、偶然なのか、ディレクターの裏演出なのかわかりませんが、なんとも言えない気持ちになりました。Da-iCEメンバーとKazは交流ありますので、もしかしたら大阪音大のコーナーも観ているかもしれませんね。
5月16日:KAZ KUWAMURAがnote公開
そのKAZが本件で初めて意思表明をしました。MBSの番組にも出演してインタビューを受けています。本業は作曲家なので、こういうトラブルに関連してメディアで発言するのは、ブランディング的にリスクがあるのでやりにくかったと思います。正義感が強い人なので黙っていられなかったのでしょう。MB専攻の主任の理不尽な運営にメンタルにダメージを受けて辞職ということも忸怩たる思いがあるようです。お読みください。
僕はこの部分が刺さりました。
ソングライターの感性と長年の高校大学での英語教員経験から出ている言葉は説得力がありますね。
「山口ゼミbiZ」23人で4月開講
突然の特任教授退任に対応して急遽企画したZ世代向け「山口ゼミbiZ」は、23人の申込で4月開講しました。受講料無償にした大阪音大生からは19人(内2期生1名)です。岡本西川両氏が「臭い物にはフタ」的に、無かったことのように専攻運営を行なっている中で、決して少なく無い人数だと感じています。現在進行形の生きた音楽ビジネスを伝える場として活用していきます。夏学期なども継続して応募は受け付けていくつもりです。
メディア報道が大きくされたことで、岡本忠好教育主任の恣意的な専攻運営が白日の下に晒されました。また、やる気のある学生に対しては大学の枠外でサポートできる体制を作ることもできました。この二つの事象で、ミュージックビジネス専攻を企画立案した者としての、最低限の社会的な責任は果たせたのでは無いかと安堵しているところです。
僕を過大評価をしてくれている方は、「山口が仕込んだ」みたいに思った方もいるようですが、そんな力はありませんし、あってもヤラセみたいな事は絶対やりません。報道メディアに対して芸能ネタのように持ちかけることもできません。脇田敬のBlogや僕のnoteを読んで問題意識を持った記者の方からの問合せに対応しただけです。社会の公器である大学に関わった責任としてメディア取材は受けました。
「大阪愛」のある方々の視線
マスメディアの真面目な方々が、事実を知って、義憤に駆られて行動されたから「世の中ゴト」になったのでしょう。
義憤という意味では、こんなこともありました。音楽デジタルマーケティングをテーマにしたイベントを関西でもやろうと動いていたら、NTT西日本のイノベーション部署の方から「大阪音大の件を報道で見て胸を痛めていました。ご協力したいです。」とありがたい言葉をいただきました。地元愛の強い土地柄だけに、「大阪」の名を冠した大学で起きた不名誉な出来事に心を痛めている方は多いようです。申し訳ないですし、ありがたいです。
そんなこともあって、6月27日にNTT西日本のクイントビレッジとコラボして、イベントを予定しています。間も無く情報解禁です。お時間のある方は是非いらして下さい。大阪音大の学生たちにも声がけするつもりです。
書籍出版で「音楽デジタルマーケティング」のムーブメントを
このnoteでお伝えしていますように、脇田敬との共著で『音楽デジタルマーケティングの教科書』をリットーミュージックから上梓します。企画時点では、大阪音大MB専攻をハブにして、日本に音楽デジマを広めるようなイメージだったのですが、全く違う形になりました。大阪音大のブランディングにも活用してもらうように話していたのですが、岡本西川両氏は理解できず、経営陣もご興味無かったようでした。
これからの音楽業界への就職では死活的に有利になるデジタルマーケティング発想とスキルを学ぶ機会については、大学の枠にとらわれずに、大阪音大生に限らずに、学びの機会を提供していくつもりです。
もう今度こそ、大阪音大ミュージックビジネス専攻についてnoteに書くのは本稿を最後にしたいです。ただ、なにか進捗があった際は、事実記録はこのマガジンの形で、みなさんと共有します。
いろいろな方に飛び火して、迷惑とご心配をおかけしている大阪音楽大学ミュージックビジネス専攻の不祥事。何も知らされずに、この4月から客員、特任などで関わられたみなさんも本当にお気の毒です。「迷惑の拡大再生産」を感じて心苦しいです。もちろん一番の被害者は学生と父母ですね。
脇田敬専属教授の契約問題はまだ解決の目処が立たないようですが、「脇田敬の正義の戦い」を友人の一人として見守りたいです。
僕なりには、自分ができる責任は果たす努力をしたつもりなので、「日本の音楽界に有望な人材を送り込む」という、そもそもの大義に対して自分のエネルギーを注いでいくつもりです。今後ともよろしくお願いいたします。