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地獄花と曼殊沙華

こんにちは。植物の絵を描く二人組、「山葡萄と小茄子」の小茄子です。

9月末、山葡萄さんからヒガンバナの写真が送られてきました。

photo by Yamabudo

緑の中で補色の赤が際立っていて美しいですね。

ヒガンバナには別名が数多くあり、「死人花」や「幽霊花」、「地獄花」などおどろおどろしい名前が多いようです。

京極夏彦ファンの山葡萄さんは、「狐花」という別名も教えてくれました。(『狐花 葉不見冥府路行』は、京極夏彦が歌舞伎舞台のために書き下ろした長編小説です)

なぜ、ヒガンバナには暗い別名が多いのでしょう?

この花には猛毒成分が入っているため、昔は土葬のお墓を荒らすネズミ対策として、墓地に多く植えていたそうです。

お墓にある毒花であり、さらに赤い花は血をイメージすることから、ちょっと不気味な花という扱いになってしまったようです。

photo by Konasu

でも、ヒガンバナにはイメージの良い別名もあります。それが「曼珠沙華」。

曼殊沙華とは、インドの仏教伝説に現れる「天上に咲く花」のこと。めでたいしるしとして天から降る四種の花のうちの一種で、見る人の心を柔軟にするそうです。このインドの植物は、赤ではなく白い花という説もありますが、日本では赤いヒガンバナを曼殊沙華と呼ぶようになりました。

天上と地獄の両方のイメージがあるヒガンバナ。人間との関わりが深い植物なんですね。

参考:『広辞苑』(岩波書店)、『日本大百科全書』(小学館)、『世界大百科事典』(平凡社)                                                       


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