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大雪小径 ー 秋口の花 ー

8月下旬の頂上付近は、もう秋の気配の大雪山。その時期を選んで咲く花々を紹介します。


高山植物に会いたくて登った大雪山。これまでに大雪山で出会った花は80種類を超えます。『大雪小径』の最終章(第5章)としては、8月後半から小径(=こみち)で出会える高山植物の花々を私の目線で紹介します。

はじめに

8月後半の大雪山は、標高が上がるにつれて秋の気配が漂います。少し前まで咲き誇っていた花は果実や種になり、葉の色の微妙な変化が楽しめます。

そんな中でも花は咲いています。この時期に撮影した花を数えたら6種と少ないですが、それだけに会えるだけで癒されます。

01 白花

この時期に会える白色系の花は、次の1種です。

タカネトウウチソウ

8月後半に会える白色系の花

タカネトウウチソウ

赤岳(大雪山)に向かう登山道で8月はじめまで雪が残る駒草平の先の急登には、タカネトウウチソウの群落が満開を迎えていました。雪どけ水の小川に沿った花壇が続きます。

ガスが山頂に抜けて現れたのは、満開を迎えたタカネトウウチソウ(2019年8月30日)

この谷に今シーズン(2024年)は、7月上旬には雪がなかったため、開花は早まるかもしれないですね。

もう少し標高が低い奥の平では、9月になって満開を迎えていました。眼下の岩場には、ときおりエゾナキウサギが出てきて鳴き声をあげます。

奥の平群落(2023年9月5日)

8月上旬には、これまで繁栄していた植物の上に繁茂し、蕾が膨らんできます。芽吹きから開花まで1ヶ月ほどと驚異的な早さで生育します。

斜面を覆うタカネトウウチソウ(2018年8月5日)

02 黄花

黄色系の花としては、次の1種に会うことができます。

ハイオトギリ

8月後半に会える黄色系の花

ハイオトギリ

緑岳の中腹のハイマツ帯で、1度しか見たことがありません。この時期にこんな鮮やかな花に会えるとは思っていなかったので雨でしたがカメラを取り出しました。

満開のハイオトギリ(2017年8月18日)

ハイオトギリが属するオトギリソウ科には変異種が多いようですが、咲いている場所からハイオトギリだと思います。花は、ダイセツヒナオトギリを大きくした感じです。

鮮やかな黄色が眩しい(2017年8月18日)

03 紫花

この時期に会える紫色系の花は、次の3種です。

エゾオヤマリンドウエゾノミヤマアザミ、?

8月後半に会える紫色系の花

?の花は、いろいろ調べましたが名前がわかりませんでした。
(ご存じの方、教えていただけるとうれしいです!)

エゾオヤマリンドウ

裾合平を超えて姿見に向かって歩いているときに現れたエゾオヤマリンドウの群落。冷たい雨が降りしきる中、足早に歩いていましたが、気持ちが和らぎます。少し前は雪どけ水が流れる小川だったのか、蛇行した草の川に沿って満開を迎えていました。

草の川にそって群落が続く(2019年8月26日)

しばらく歩くと谷間の草原にも群落がありました。

色がくすんできた草原に鮮やかな青紫が映える(2019年8月26日)

大雪高原温泉の沼巡りコースが紅葉のピークを迎える9月末でも鮮やかな青紫色の花は健在でした。

大雪高原の沼コースでは紅葉と一緒に楽しめる(2018年9月24日)

エゾノミヤマアザミ

銀泉台から赤岳に向かう駒草平先の急登に広がるタカネトウウチソウの白い花園の中から顔出すエゾノミヤマアザミの紫の大きな花。平地に自生しているアザミの花よりも肉厚で一回り大きいです。

存在感のある大きな花(2019年8月30日)

赤岳の直下では、木々が紅葉し、草紅葉がはじまった9月はじめに満開を迎えていました。

紅葉がはじまった草原で花盛り(2021年9月5日)

紅葉には少し早い9月上旬の大雪高原の沼巡りコースで満開を迎えていました。私と同じように虫たちも限られた花に引き寄せられます。

9月のオアシス(2022年9月10日)

ナガバキタアザミと思っていましたが改めて調べると違うみたいです。知っている方がいらっしゃいましたら教えてくださいm(_ _)m

04 その他

色分けが難しかった1種を紹介します。

タイセツイワスゲ

タイセツイワスゲ

似た花(穂)がいくつかあり、確証はありませんがおそらくタイセツイワスゲだと思います。草原で他の植物と共生して咲いていました。

草原に紛れて咲く(2023年9月5日)

≪編集後記≫

大雪山の花の紹介は、この記事で一旦終了にします。今回、写真で紹介できなかった花は、別の機会にお見せできればと思っています。

9月から一気に秋が深まります。山頂からはじまる紅葉は、一ヶ月で一気に山を下ります。次の記事ではこの紅葉を紹介したいと思っています。

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