いま、僕が熊本にできること。

たまには真面目な話を。

2016年4月14日、熊本地震が発生しました。

震度7を2度にわたって観測し、家屋の倒壊などで50人近い方が亡くなりました。また、18万を超える人々が避難生活を余儀なくされました。今もなお現地は揺れ続け、復興にはかなりの時間を要するとみられています。

その被害の大きさを伝えるニュースを、日々メディアを通じて知っていく中で、いちクリエイターとして、いちコピーライターとして、それ以前にひとりの人間として、何かできることはないのかと考えるようになりました。2011年に東日本大震災が発生した時に何もできなかったこともあり、その思いはいつも頭の中をぐるぐると回っていました。

そんな時に知人のアートディレクター:山本ヒロキさんからある相談を受けました。(山本さんと僕が知り合ったのは、僕が以前通っていた「np.無料広告学校」で行われた授業の一環で山本さんが経営されている美術予備校「渋谷美術学院」の生徒さんたちとともに広告の公募賞に応募するという取り組みをさせていただいたことがきっかけです)

その相談とは、熊本地震で被災し、経済的な理由などから美大受験を諦めざるを得なくなってしまいそうな九州在住の美大受験生(高校生)を、渋谷美術学院で実施される夏期講習会に無償招待したい、というものでした。

渋谷美術学院をご存知でない方もいらっしゃると思うので、簡単に紹介を。「渋谷美術学院」はデザイン専門の美術予備校で、多摩美術大学・武蔵野美術大学への合格率7年連続全国1位を誇っています(美術予備校は、美大に合格するには100%と言っていいほど必要なものです)。また、業界初の「合格保証制度」を導入しています。これは、渋谷美術学院で1年間学業に専念すれば、多摩美術大学・武蔵野美術大学への合格を保証し、万が一受からなかった場合は翌年の授業料を最大で全額無料になるというものです。

「講習会へ無償で招待する」と掲げたものの、実際には多額の費用が発生することは確か。例えば、人件費や会場費。もともとキャパシティの大きくない渋谷美術学院に10名もの生徒を新たに追加するには、人員もスペースも新たに追加する必要がありました。

そこで、クラウドファンディングで出資を募ることにしました。
それがクラウドファンディングサービス「READYFOR」にて現在実施中の「美大受験サポートプロジェクト[夏期]」です。

https://readyfor.jp/projects/s_b_g_summer_seminar_project

【クラウドファンディングとは】
インターネット上で個人や団体、株式会社などがプロジェクトを提案し、不特定多数の方からお金を集める仕組み。2000年代初頭から、欧米を中心に企業・団体・アーティストなどが利用したことで広まり、日本では震災後に活発化。被災地支援や医療問題、製造存続の危機に瀕した製品の継続、海外に渡航し夢を実現したい人に至るまで、あらゆる企画が「共感」によって資金を集め、企画を実現させています。

デザイナーやアートディレクターの方はよくご存知かと思いますが、美大を受験するにあたって、ご家庭には相当な経済的負担がかかります(都内予備校では、おおよそ1年間で150万円程度)。また、合格するためのスキルを養う場所(予備校など)に通うことも講習会の日程や滞在費、交通費、画材代など様々なコストがかかることを考えると、決して簡単なことではありません。

デザインの道を志したにも関わらず、今回の熊本地震によって、その夢や目標を断念せざるを得なくなってしまった方が少なからずいらっしゃいます。でも、熊本をはじめ九州で暮らす高校生たちの「美大に行きたい」「デザイナーになりたい」という想いを、今回の地震で諦めてもらいたくない。そうした想いからこのプロジェクトを立ち上げることを決めました。

このプロジェクトは講習費や会場費など、計318万円を目標としています。また、このクラウドファンディングには「All or Nothing」というルールがあり、目標金額に達しない場合は全て支援者に返金されます。つまり、「100か0か」なのです。

知り合いの方々に支援をお願いするにあたって、いくつかアドバイスやご忠告をいただきました。それらは決して暖かなものばかりではありませんでした(当然だと思います)。ただ、何もしなかったらそのまま諦めてしまう子たちがいることは確かです。彼ら・彼女らの「17歳」や「高校三年生」は一度しかありません。それをそのままにしておいても(今回のようなプロジェクトを実施せずとも)もちろん誰からも何も言われることはありません。

でも。

僕は美大卒でもデザイナーでもありませんが、誰もそこまでやらなかった中、ひとり手を挙げた山本さんの想いを無視することはできませんでした。

そして、コピーライターとしてできる限りのことをしようと思ったのです。

一応書いておくと、僕は「ボランティア」としてこのプロジェクトに参加しています。プロジェクトの説明やプレスリリースの作成など、文言は基本的にすべて僕が書いていますが、今回のクラウドファンディングによって僕の懐が潤うことはありません。

ただ、この課題に向き合うことは
意義のあることだと思った。それだけの話です。

解決したい課題があって、そのための手段のひとつに「言葉」がある。
ならばそこでお手伝いしようと。

そもそも、

コピーライティングって
こういう時のために使われるものじゃなかったっけ?
コピーライターって
こういう時のために必要とされる人じゃなかったっけ?

それをずっと考えてながら、一人でも多くの人に届くように
伝え続けていくつもりです。若者たちの、未来への可能性を繋ぐために。

クラウドファンディングはあと一ヶ月ほどありますが、
引き続き、やれることをやっていこうと思います。

なによりも皆様のご協力とご支援が必要です。
長々となりましたが、どうぞよろしくお願いいたします。

サポートありがとうございます!いただいたものは生きる糧として、書籍や美味しいものなどの購入にありがたく使わせていただきます。