試合観戦だけじゃもったいない〜ビールつくってカシマで応援する1日
今年の夏は暑かった!毎日ビールが美味かった!
(いや、ビールはいつだって美味しい)
さて、ここは茨城県鹿嶋市のカシマサッカースタジアム。ゴール裏。ふと振り返って見上げると、場内を一周するリボンビジョンの文字に目が行きました。
ん?木内酒造って?あの常陸野ネストビールの?
鹿島アントラーズビジネスクラブに加盟されていたの?!
(ありがとうございます!)
帰りの高速バスの車内、さっそく木内酒造さまのウェブサイトを見てみました。
「あなた好みのマイビールを作ってみませんか?」
…ん?
ビールをつくるって?
ビールと聞くと、缶ビールやジョッキに注がれたビールのように「買って飲むもの」「お店で飲むもの」が思い浮かびます。「本格派のカレーをスパイスから」「こだわりのラーメンをスープから」は聞くことがあっても、自分でつくるビールって聞いたことがない。ビールもつくれるものなの?
日本ではアルコール(1%以上のお酒)を作るには免許が必要で、製造免許を受けるには年間に作らなければいけない量が定められています。その量、年間60キロリットル。350ml缶の換算で、約17万本!もちろんそれだけの量のビールをつくるための設備も必要なので、個人ではいろいろハードルが高すぎた・・・。
では、つくれないのかというと、そうではないようです。
手造りビール工房って?
個人では難しいビールづくり、木内酒造さんが叶えてくれます。手造りビール工房では、木内酒造さんの設備を借りることによって、免許を持たない個人でも作ることができるのです。
木内酒造さんのビールづくり体験を簡単に説明しますと。
どこでできるの?
茨城県那珂市の木内酒造手造りビール工房で体験ができます。
どれだけできるの?
330ml瓶1種類45本からつくれます。45本、75本、120本、180本、4つのコースがあり、同時に最大4種類のビールを仕込むことができます。つくる本数・種類によって料金も決まります。
いつできるの?
予約制で、10:00からと13:00からの1日2回。作業にかかる時間は休憩時間も含み約4時間です。
どこまでできるの?
つくるビールの打ち合わせから麦汁ができあがるまでの工程を自分たちの手で、その後の醗酵・熟成・ボトリング作業は木内酒造さんにお任せし、仕込み後は約4週間~6週間で完成、手元に届くというのが流れです。
つくれるのはビールだけでなくボトルに貼るラベルもオリジナルデザインにすることがきます。
予約はどうするの?
ウェブサイトの申込みフォームから。
予約のときに名前や連絡先などの個人情報のほか、希望日時、希望コース(本数・種類)、ランチの希望の有無、問い合わせを入力、送信。木内酒造さんからの返信メールをもって予約が完了です。
お支払は当日現地にて(カード可)。
いつにしようか?
「自分好みのビールつくってみたい!」
こんな思い付きに付き合ってくれる人、いないか・・・と思いきや、二つ返事でOKをしてくれた人がいました。しかもサポ仲間。
「せっかくだから試合のある日がいいね」「試合が始まるまでにたっぷりの時間があるナイトゲームの時期なら試合前に行けるんじゃない?」「平日ならば開場時間がキックオフ2時間前だし時間に余裕があるんじゃない?」と、話はスムーズに進んでいきました。平日ナイトゲームの日にしようと決まったのが7月下旬のこと。
無事、希望する日に予約も取れました。
問題発生
木内酒造さんは那珂市、駅でいうと水郡線の常陸鴻巣駅から歩いて10分くらいのところにあります。乗り換え案内によると、東京から電車で常陸鴻巣駅まで、特急利用で約2時間、在来線利用で約3時間と出てきました。10:00までに着こうとすると、在来線では東京駅発6:44の電車で、9:44に常陸鴻巣駅に着ける、らしい。水戸での乗り換えに30分以上あるけれど・・・。朝、早いね!
朝早いのはともかくとして、ビールづくりの後、常陸鴻巣駅から水郡線、鹿島臨海鉄道で鹿島神宮駅もしくは鹿島サッカースタジアム駅に着く時間を調べると・・・。
確実に開場時間に間に合わない!
それだけは、ダメ!絶対に!
救世主がいた
最近、X(Twitter)のタイムラインによく流れてきていたカタレン。
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カタレンとは、片道だけ借りることができるレンタカーのサービスで、鹿嶋エリアでのサービスは2024年に始まったばかりです。試合の日はスタジアムで乗り捨てできることより、開場時間までたっぷり使えるうえ、返却場所もわかりやすい。レンタカーの場合、帰りの運転や返却時間の心配もありますが、片道だけのカタレンならば帰りはスタジアムから高速バスでラクラク。美味しいスタグル片手にビールも気にせず飲めるし、試合中の応援で全力を使い果たしても帰りの運転の心配不要。スタジアムでの時間もいつも通りに楽しめます。
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車ならば、東京から木内酒造さんまで高速利用で約1時間30分、木内酒造さんからカシマスタジアムまでも約1時間30分。10:00から4時間の体験をしても、これなら余裕をもって見積もっても確実に開場時間に間に合う!おまけに朝も少しはのんびりできる!
こうして、カタレンを利用して行くことになりました。
カタレン、これが良かった
今回、初めてカタレンを利用して、便利だなと思ったことを。
(1)都内での貸出場所は錦糸町だけだけど、24時間いつでも貸出できる。
(2)途中で立ち寄りなどルートの自由度が高い。
(3)車内はプライベート空間なので、ずっとおやつタイム+鹿島トーク&チャント歌いたい放題。
(4)電車よりもスムーズに目的地に。
(5)返却場所がスタジアムのC駐車場(予約なし高速バスの乗降車場所)。
※当日の混雑状況によって駐車場所が変わる場合があります。スタッフの指示に従ってください。
(6)帰りの運転をしなくても良いので、試合中の応援で力を使い果たしても問題なし!
「早く行きたい」「あそこも行きたい」「楽しく行きたい」「スムーズに行きたい」のすべてが詰まっていました。今回は2人でしたが、人数が増えれば増えるほどお得に行けるのも高速バスにはないメリットです。
さぁ、つくるぞ!
さて、話は戻って。
1時間半のドライブを楽しんで、木内酒造さんに着きました。
受付を済ませ、同じ敷地にある工房へ。工房内には材料が並ぶテーブル。目の前にはいくつもの釜が並びます。
スタッフさんとよろしくお願いしますのご挨拶をすると、さっそく始まりました。
0. レシピの打ち合わせ
目の前には小さなグラスに入ったビール。常陸野ネストビールの定番3種類(ホワイトエール、ペールエール、アンバーエール)を試飲をして、どのようなスタイルのビールにしたいのかをスタッフさんと決めていきます。
※運転する人は試飲用ビールは飲めません
ビアスタイル、アルコール度数、色味、苦味、アロマホップ、副材料。自分たちで決めることができるのは多種にわたっています。何がどうなるのか、どれが何なのか・・・???
が、知識がなくても大丈夫。漠然としていても大丈夫。スタッフさんがとても親切に教えてくれます。自分の好みを伝えられればOK。
つくるビールの方向性が決まったら、スタッフさんがレシピを作成してくれます。
その間にホップと副材料を決めます。アロマホップは9種類から1〜3種類、副材料は好みに合わせて、実際ににおいを確かめながら選んでいきます。
ここでスタッフさんにわたしたちが鹿島サポであることがバレました。
1. 麦芽の計量・破砕
麦芽が大量に置かれた倉庫でレシピを見ながら使用する麦芽を計量します。
計量が終わったら、計った麦芽を機械で破砕します。
お気づきかもしれませんが、スタッフさんが作ってくれるのはレシピまで。ここからはすべてわたしたちががんばるのです。まさに自分たちで「つくる」のです。(もちろんアドバイスをしてくれます)
2. 麦芽の投入
お湯を張った糖化釜に破砕した麦芽を一気に投入。
すべて投入したら、しっかり混ぜ合わせます。
よく混ぜたら麦汁を釜の下の蛇口から出しては戻す作業を繰り返します。こうすることで麦汁がむらなく混ざり合うのだそう。
麦汁を取り出して飲んでみました。
右がわたしたち、左はお隣のテーブルで参加していた方のです。レシピが違うと同じ工程でもこんなにも色も違うことが分かります。
味はというと、ざらっとした舌触りの温かい飲み物でした。
3. 昇温・糖化
温度計を使い、65度になるまで麦汁の温度を上げていきます。65度くらいで麦芽に含まれるアミラーゼという酵素が活性化し、活性化したアミラーゼの働きによって麦芽の中のでんぷんが糖に変わるのだそう。高くなりすぎるとその働きが止まってしまうため、65度、大事。
ここでいったん釜の蓋を閉め、40分ほどレストタイム。
その間、スタッフさんに作ってもらったレシピに従い、ホップと副材料を計量します。
レストタイムの残り時間は、わたしたちもランチタイム。かき揚げ蕎麦ランチを事前にお願いしておきました。
手造りビール工房では、常陸野ネストビールでも使われるビール麦の裏作として栽培されている秋そばを使ったそばランチが提供されています。本店に併設の飲食店「蔵+蕎麦 な嘉屋」でもこのそばが楽しめるようです。
ランチも終わったら、40分のレストタイム終了を知らせるタイマーの音。
引き続き、ビールづくりへ戻ります。
4. ヨウ素テスト
釜から麦汁を取り出して、ヨウ素液を使って糖化がうまく進んだかをテストします。まるで理科の実験のよう。デンプンに反応すると青紫に変化するというやつですね。
無事、糖化完了。
麦汁を試飲すると、さっきは温かい飲み物だった麦汁がほんのり甘くなっていました。すごい!
5. マッシュアウト
次は酵素の働きを止めるために麦汁の温度を76℃まで昇温させます。
6. ろ過
麦汁を釜の下の蛇口からちょろちょろと出し、また釜に戻していきます。少しずつ静かに注ぎ循環させることで麦汁と粕に分離し、釜の下にたまった麦芽がろ過フィルターの役割を果たしてくれます。このろ過をした麦汁が一番麦汁。
それぞれの工程でできた麦汁を並べて見ると、見た目はもちろん味も全然違います。
7. 移動/スパージング
ろ過ができたら、糖化釜の隣にある煮沸釜へ麦汁を移動して煮沸します。一番麦汁を取り出すのと同時に釜に残った麦芽にまんべんなく熱湯をシャワーのようにかけて二番麦汁も取り出します。
この作業はスパージングと呼ばれる工程。麦芽層を空気に触れさせないよう常に1~2cmほど覆われた状態を維持して作業しなければいけないので、結構な肉体労働でした。
8. 粕の取り出し
麦汁を煮沸窯に移したら、糖化窯の粕を取り出します。この粕は木内酒造さんの牧場や農場で飼料として使われているそうです。
9. 煮沸/ホップ添加
煮沸窯に移した麦汁を煮沸します。
ここであらかじめ計量しておいたホップを3回に分けて投入。1回目に入れるホップは苦味付け、2回目と3回目のホップは香り付けのためのもの。それぞれ煮沸させる時間も異なります。ここで副材料も投入します。
10. ワールプール・ワールプールレスト
麦汁を一定方向にかき混ぜて渦を作り、不純物を中央に沈殿させます。
11. 冷却
いよいよ最終工程。ここからはまたスタッフさんにお願いして。
釜の下のパイプから熱交換器を通して麦汁を瞬間冷却します。パイプを通った麦汁はポリタンクに注がれ、味を確認して、仕込み作業は完了です。
出来上がった麦汁を飲んでみると、甘さに加えしっかり苦味もあって、ビールに近い味になっていました。ちょっとだけとんがった味がしたけれど、ここにアルコールと炭酸が加わるとまた違うのでしょう。
出来上がりです!
※Tips
つくるものはビールですが、実際に体験できるのはアルコールになる前の仕込みの部分。つまり、ドライバーさんもファミリーも安心してビールづくりを体験できます。
※最初の試飲は本物のビールなので飲めません
具体的につくりたいビールのスタイルが決まっていたり、参考になるような銘柄があるならば、事前にメールで相談しておくこともできるようです。また、副材料も使用できるもの、できないものがあるので、心配ならば質問しておくことをおすすめ。準備する量も教えてくださるそうです。
夏にBBQをするのに飲みたいからと逆算して初夏に仕込みをしたり、サークルや企業など大人数のグループのレクリエーションとしてつくりに来るグループもあるそうです。目的があってそのためにつくるのも楽しいかもしれないですね。グループで参加する場合、あらかじめ出来上がりの方向性を決めておくとスムーズです。味覚の志向が異なるとおそらく大変・・・。
ビールに貼るラベルはテンプレートも用意されていますが、オリジナルラベルもできます。オリジナルラベルを希望する場合は体験の日から2週間以内にデータで送ります。テンプレートでも色やフォントなどいろいろ選ぶことができ、オリジナル感あり。
ビールづくりは最初から最後まで自分たちの手でできることより、まるで理科の実験のようであり、家庭科の調理実習のようであり、デザインの練習であり、終始楽しみながら体験できます。ファミリーにもおすすめです。
最高の1日が待っていた!
お楽しみは続く!
さて、こうしてビールづくりは終了しまして。
わたしたちが仕込んだビールは、木内酒造のスタッフさんの手によってビール酵母が加えられ、発酵・熟成の過程へと進んでいきます。いったいどんなビールにできあがるのでしょう?
待つこと、約5週間…。
ビールづくりのお楽しみは、その日でおしまいではなく、完成して家に届けられるまで続くのです。
今回、わたしたちは「フルーティーで飲みやすい」であること以外に、色と数字にこだわりました。色はもちろん「赤」。数字は今シーズン獲得できる星への願いを込めた「2」(※8月7日現在)。この漠然としたイメージからレシピを作成していただいています。
ビール好きの鹿島サポーターのみなさん。
今季が終わったとき、自分(たち)で作ったビールで祝杯なんて良くないですか?6週間程度で出来上がるので、10月中旬ごろに仕込めば、最終節には・・・。
♬ われら~・・・・