見出し画像

【演劇フェス】MIE NEXTAGE 2023~総括~

 高校演劇とつながりのある劇団が多かったように感じた。実際、高校生の劇団もあったわけで。その中で、ちゃんと実力を感じるいい作品に沢山出会えたのは素晴らしいことだ。若い演劇人よ、たくさん勉強させてもらおう。たくさん盗んで帰ろう。そして、もっともっと、演劇を好きになってほしい。

 演劇はごっこ遊びでも成立してしまう。それは観客に観る力があるから。与えられた情報で、観客は勝手に想像し楽しんでくれる。だからどんな話でも、どんな役でも、舞台に立つ役者が観客の興味を引き続けられさえすれば、演劇として成立はする。
 台本にしてもそう。役者が肩書を持って舞台に立てば登場人物にはなるし、登場人物が増えれば関係性が生まれる。関係性の中で目的を持たせるとシーンは作れるし、シーンをつなぎ合わせれば物語にはなる。そうして、物語を起承転結で構築すれば、ひとつの舞台作品のテキストは簡単に完成するだろう。
 でもそれが、芸術作品になるかは別の話。

 演劇は、芸術でなくてもいいと私は思う。演劇はセラピーになるし、役に立つ。演劇はもっと柔軟で自由でいい。けれど、演劇を芸術として活動をするのなら、もっともっと深く掘り下げ、高みを目指してほしいと私は願う。

 芸術とは想像力で楽しむ娯楽である。その想像力をどこまで掻き立てられるかが、芸術の面白いところじゃないだろうか。
 演劇とは何か、舞台芸術とは何か、そこにどんな技術があるのか、どんなメッセージが隠されているのか、人が演劇に求めるものは何か、自分が演劇に求めるものは何か、ぜひ考えてみてほしい。

 京都の大学に進むまでの18年間、私は三重に住んでいながらこんなにも素晴らしい演劇が身近にあることを知らなかった。本当に悔やまれる。もっともっとたくさんの演劇好きの人に、まだ演劇を知らない人にも、『MIE NEXTAGE』を知ってもらいたいと思った。

いいなと思ったら応援しよう!