沖縄 汁物の旅~5 イラブー汁
イラブー汁
イラブーとは南西諸島などに生息するエラブウミヘビ(永良部海蛇)の沖縄名です。イラブー料理はこのエラブウミヘビを燻蒸させたものを使います。
(冒頭の写真は干物になって売られていたイラブーです=2013年、那覇市牧志で)
じゃーん、これがイラブー汁。
ヘビが苦手な人ごめんなさい。
食べたのは久高島(くだかじま)=沖縄県南城市=の食堂です。
後で書きますがこの島は沖縄の数ある島の中でも特異な存在として知られています。
ユイムンの恵み
ユイムンとは「寄り物」のことで、寄り物とは1年のうちのある時期にだけ島に寄ってくる魚などのことです。昔の人たちはこれを神様からの授かりものだと考えたのです。
漁師でも獲ってはいけない
イラブーの漁期は旧暦6月から12月。産卵のため島に寄ってきたものを捕えます。久高島でイラブーを獲る権利があるのは久高ノロ家、外間(ふかま)ノロ家、外間根家(にーやー)の3家に限られてきました。ノロとは村落の祭祀をつかさどる神女であり、琉球王国時代には村が推挙した者を王府が任命する形がとられました。3家はその島の祭祀をおこなってきた特別な家なのです。上記の理由から仮に運よく島でイラブーを見つけても獲ってはいけませんよ。それにイラブーはハブの80倍の猛毒があるので噛まれたら大変です。
長くなりましたが要するにつまり、イラブー汁は特別な汁なんです!(ちょっと強引かな)。
見た目はグロテスクだけど
まずスープをひと口。う~ん、旨い。もうひと口。出汁がたまらん。さて本命のイラブー本体にとりかかります。真っ黒で鱗の跡もありあり。恐る恐る身を口に入れ噛みます。うん?これはあえて例えると鰹節を煮たような味かな。出汁の塊のような濃い味。塩辛さは感じませんでした。
実は島に初めて行った2014年は入島してほどなく体に違和感を覚え、途中雨にも降られ熱を出してしまいました。この数十年間カゼさえひいたことがなかったのに、島の神様に嫌われたかな? それはともかく、だるくて悪寒のする体にしみわたるイラブー汁はなによりでした。熱は翌日にはすっかり引いて元気に旅を続けました。
久高島が特異といわれるわけ
この島が沖縄にとって特別といわれる理由は主に二つあります。
①琉球開闢の祖アマミキヨが降り立ち、沖縄はここから始まったという言い伝え。
②イザイホー。12年に1度、この島で生まれ育った30歳以上の既婚の女性が神女になるための就任儀式で、女だけで夜を徹して行われます。現在は人口減少などで該当する女性がおらず1978年を最後に途絶えています。
<島内の見どころ>
ハイビスカス咲く道
石垣の集落
ぶらり散歩したら落ち着きます。生活圏なのでお行儀よく静かに歩きましょう。
ハビャーン(カベール岬)に続く“神の道”
島の北端ハビャーンです。徳仁港から約3.5キロありますのでレンタル自転車をお勧めします。
生まれ変わりの穴
パワースポット。潮が満ちると消えてしまいます。くぐることが出来ますが少し危ないです。気を付けて下さい。
あといろいろありますがワタクシは行ってない(発熱で参った)ので割愛します。ガイド付きの周遊ツアーもあります。車なので楽かと。
島全体が聖域
島全体が聖域なので立ち入り禁止の案内板のある場所に入ると怒りを買いますので注意が必要です。また「メーギ浜」以外は海水浴ができません。
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