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火が灯る
夏至のライブペインティング用にkitamioが用意してくれた白いパンツ。数カ所絵の具が付いた白そのままも気に入っていたけれど、せっかくだし普段も着やすいように染めようということになった。
もともと緑色が好きだが、「緑は死の色」という言葉をもらってから、ますます緑が気になっている。
このパンツも緑に染めたいと思い「福木の黄色」と「藍の青」を掛け合わせることにした。八重山に渡る前に福木染めをして、結局そのまま八重山では黄色のまま着ていた。ちょうど八重山では豊年祭、お盆のシーズンで、ミルク様が纏う衣も福木染めなので、福をいただいて纏っているような氣持ちがしてなんだか嬉しかった。
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沖縄本島に戻ってから亞人で藍染をさせてもらったのだが、藍のパワーは凄まじく緑を通り越して浅葱色に近い水色になってしまった。緑に寄せるべく、もう一度福木染めをしようと思い、福木の樹皮をどこかでもらえるかな~なんて思っていたが、ちょうど至る所で福木の実が落ちて強い香りを放っている。タネでも染められるのでは…と思い立ちやってみることにした。
強烈な匂いを放つ福木の実を拾い集め(巷ではガソリンの匂いとも言われている)熟してブニブニした実を手で割りタネを取り出していく。
しばらく日向に置いておいたからなんだかジュルッと熱いし、ウジも湧いているし、ヤニもつくし、匂いは強烈だし、素手でタネを取り出す作業はなかなかのものであった。
しかし、タネの皮の内側からちらっと見えた鮮やかな黄色は、これはきっといい色が出るに違いないという確信へと変わる。空に近い方が鮮やかな黄色、根に近い方が落ち着いた黄色、と亞人のI先輩が言っていた。タネはどんな色に染まるのだろうか。
取り出したタネを何度か水洗いし、色が出やすいように包丁で少し刻んで、寸胴鍋で煮出していく。ガスで炊き続けるのももったいないので、焚き火で煮出すことにした。
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炊き続けること1時間近く。
そこに火が灯ると人が集まってくる。
二階のデッキから眺めていたF家の長男Kくんと一緒に染め、「お芋も焼きたいね」とYさん。いつのまにかお芋も火に放り込まれていた。
次はホイルに包んだお肉。Kくんは10秒前に産んだよ、と鶏の卵をくれる。ゆで卵にしようと、そのまま染液で茹でると金色の卵に。
火が傾いて涼しくなってきた頃には、イカ、串に刺したしいたけ、スキレットに乗った野菜たち、おにぎり…といろいろと登場して、BGMにはKくん練習中のウクレレ。
火を囲んでの良い時間になった。
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火が灯る。
シンプルに、しかしなんて大事なことなんだろうと改めて思った夜。
染めは思った以上の出来栄え。
福木と福木で藍のサンドイッチ。
光と光で闇のサンドイッチ。
奥から滲み出てくる緑はとても良い色になった。
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