お留守番の渡り鳥
この一番暑い時季に西表島までやってきた。
ここ、西表島を含む日本の西南端である八重山諸島。
その中でも特に波照間島は「心のふるさと」と呼ぶにふさわしく何故か肌に馴染む。
ご縁をいただいて今まで何十回と来たか分からないけど、
今回も西表島で1ヶ月のお留守番の話をいただいてやってきた。
お留守番に呼んでいただいたら向かう。
まるで「お留守番の渡り鳥」状態である。
那覇から飛行機で約1時間、八重山の玄関口である石垣島へ。
沖縄本島と石垣島は、東京大阪間くらいの距離があり、
それだけ離れているから風土が違うのも納得だ。
車のお家で渡るか身一つで行くか迷ったが、今回は身一つで向かうことにした。
八重山に来るとホッとするのは何故だろう。
空港まで友人が迎えに来てくれて、
その足でタイミングよくやっているという朗読会へ向かう。
舟大工である國岡恭子さんの絵本「潮舟(スウニ)」とアイスランドの民話の朗読会。
氣になっていた絵本と、行きたいと思っているアイスランドの組み合わせにびっくりする。
朗読会は素晴らしく、西表島で國岡恭子さんが作ったサバニに乗ることもできるそうだ。
展示「水の舟」でオーダーいただいた「魂を乗せた舟」の絵を、
実際にサバニに乗ってから描いたらどうなるだろうか。
今まで「同じ絵」は自己模倣になるように思えて、描きたいと思ったことがなかったが、
今回はすんなりとオーダーを受けることができた。
オーダーしてくれた方の心を受け取りたいと思ったからもあるし、
「同じ絵」と思っていても「同じ絵」にはならないと氣付いたからかもしれない。
多くの人が良いと言ってくれるもの。
それがある日の自分を通して出て来てくれたことに感謝して、今一度描いてみよう。
どんな絵になるか楽しみだ。
朗読会のあと友人宅でご飯をご馳走になり、
初めての波羅蜜(ジャックフルーツ)をみんなで解体、味見した。
「解体」というのはなんだか生き物感がすごかったからだ。
恐竜のようなゴツゴツした肌に、白い粘液、
身は甘く酸味もありドリアンのような少しの臭みもある。
それでいて食感はグニグニとシャキシャキの間。
なんとも言えない初めての味だった。
夜遅くだったのもあり少しで満足してしまったが、今また食べたく少しクセになっている。
さて、石垣島から船で向かう西表島は台風ど真ん中、
そしてその後、豊年祭の予定であった。
(書いている今はどちらも無事に終えたあと)
お留守番させてもらうお家の方は「村の神様が呼んだのかも。」と仰ってくれている。
台風の影響を見ながら乗る船を変更したり、
食糧難になるかもしれないからと石垣島で買い出ししておいたり、
友人のおかげでなんともスムーズに西表島に渡ることができた。
抗えない流れにすっと乗りながらも、そのど真ん中に暮らす人々の底力。
神様という存在の近さ。
いつも八重山に来ると感じる芯のようなもの。
台風と豊年祭、すごいスタートで西表島ライフがはじまった。
約1ヶ月の滞在予定だ。