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離別、日々をすごすことについて

「いっしょにあそぼうよ」と、トランプやテレビゲーム、レゴ遊びとかに誘ってくれるあなた。
そんなときぼくは本を読んでいたりして自分の時間をすごしていることが多いから、「やれやれ」と心のなかで思いつつも、誘われるがままいっしょに遊ぶ。

「やれやれ」と思ったくせに、あなたと遊んでいると自然と笑みがこぼれてほんわかした気持ちになる。
そんなふうにいまこのときが幸せなぶん、不測の事態を想定すると重たいものがぼくにのしかかる。
なにごともなくただ平穏に笑顔がちりばめられている日常が、万が一のことを想像するだけで一瞬にして重たいものになる。
そんなときが来るのがこわくてしょうがないから、この当たり前を必死で守りたいと思う。あらゆるリスクとその予防について考えたり、あなたとの時間を濃密にすごそうとする。

けれど一方では、こわがることは悪いことではないとも思っている。
別れがこわくてしんどくなるくらいあなたと一緒にいたいと思えることは、きっと幸せなことなのだろうと。

あなたもこれから先、もしかしたらいま、大切に思う人がいるのだとしたら。
そうだとしたらその人との日々を、先を思ってしんどくなってしまうほど濃密にすごしてください。だって明日その人はいなくなっているのかもしれないから。

正直に言えば、毎日濃密に特定の人と向き合うのは精神的にしんどい。自分も相手も。
だけどある程度の覚悟をもって大切な人と日々すごしていくほうが、きっと後悔しない。
もし大切な人と喧嘩をしたのなら、それはそれでしょうがないんだけど、できるだけすぐに仲直りをした方がいい。
だってその人は「いってきます」と家を出たあとに、交通事故で死んでしまうかもしれないんだから。

そこまで劇的なことじゃないとしても、人はいつ死ぬかわからない。
だからもしあなたに大切な人がいるのなら、距離感を大切にしつつも、可能な範囲でその人と充実した時間をすごせるように考えたほうがいいと思います。
もし相手や自分になにかあったとしても、後悔しないような時間のすごし方をしてください。

とか言いながら、ぼくはいまあなたと離別してしまったら、「じゅうぶんな時間をすごせた」と達観できる自信はまったくないんだけど。

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