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シリコンバレーのゴルフ環境・あれこれ

日本からアメリカ(シリコンバレー)に引っ越して5年少々。この2年くらいは集中的にゴルフをやっていて、現地でのゴルフ環境に色々と感じたことがあるのでまとめてみる。

アメリカにおけるゴルフ

アメリカにおけるゴルフというスポーツは、庶民的な遊びであり、そこまで肩肘を張るような雰囲気のものではない、ということが大きな特徴だと思う。もちろん高級なメンバーシップコースの存在や、ゴルフというスポーツをやるにあたっての敷居の高さがあることは確かだけど、気軽に友達や家族、それに同僚と一緒にラウンドしたり、日曜日の午後にビールを飲みながらラウンド…みたいな雰囲気はある。

日の長い夏の夕方、ビール片手に気楽にゴルフ

高校・大学時代を過ごしたイギリスだと、ゴルフはアッパークラス(上流階級)やアッパーミドル(中流上流階級)がやるスポーツ、という印象が強かったように思う。スポーツとして嗜む敷居は高くないにせよ、イギリスにおける他のスポーツ・文化と同様にクラス分けがある程度はっきりしている。日本だと、ゴルフは仕事繋がりでやるスポーツというポジショニングがまずあって、それ以外のプレイヤーはある程度裕福な人口層が多いのかな、という印象。

ゴルフコース

ゴルフコースの数で言うと、アメリカは飛びぬけた存在であることを知る人は多いかもしれない。コースの数で言うと日本が第二位であることは驚きだけど、いずれにせよ世界のゴルフコースの半分弱はアメリカにある、と考えるとその凄さが分かるかもしれない。

  • USA - 16,752

  • Japan - 3,169

  • Canada - 2,633

  • England - 2,270

  • Australia - 1,616

これは、とりもなおさずゴルフ場に「気軽に」アクセスしやすいということに繋がる。例えば日本だと、ゴルフ場は人里離れた場所にあることが多いこともあってゴルファー以外が立ち寄ることはほとんどない。対して、アメリカだとゴルフ場がある程度人の生活に近い場所にあって、ちょっとしたパーティーやイベント、それにディナーをする場所としても使われたりする。

Palo Altoの自宅から車で30分以内に約14個のコースがある (うち9個がパブリック)

ゴルフコースの予約・利用

グリーンフィーは日本に比べて安い…と言いたいところだけど、昨今のインフレと円高の影響で圧倒的に安いとは言えなくなりつつある。ただ、アメリカでの生活コストを考えた上でのグリーンフィーはまだ相対的に安いなと思う。具体的には、週末に適当なパブリックコースで午前中からラウンドすると$70-80というのがこの近所の相場。ちょっといいコースだと$100-120。ほんの数年前までは$50-60くらいだったと思うし、90年代に両親がオレゴン州ポートランドに住んでいた時は$20-30とかだった記憶がある。

予約は人気のコースだと1,2ヶ月前からできて、身近なコースだと10-15日前くらいからできる。週末の早い時間帯はすぐに埋まるけど、時間を選ばなければ数日前とかからでも空いているティータイムを探せることは多い。大体専用の予約サイトがあって、そこから予約することが一般的で、24時間前までであればペナルティなしでキャンセルできることが多い。

自分はほとんどの場合1人での予約なので、2人や3人のグループに混ぜてもらうことも多いけど、よくあるアメリカ人的なフレンドリーなノリで一緒に回れるので、スリーサムやフォーサムのグループで予約して…みたいな煩雑さがないのも気楽でよいと思う。

サンノゼの南にあるCoyote Creekはジャック・ニコラウス設計の面白いコース

大抵のコースは追加料金で借りることができる電動カートの乗り入れが可能で、かなり楽して回ることが可能。ちょっといいコースだと、グリーンフィーにカート代が入っていることもある。手で引いたり押したりするいわゆるプッシュカートで回る人も多くて、特にカジュアルなノリのコースだと、散歩を兼ねてゴルフをしに来ている感じのシニアゴルファーもいたりする。地味に結構歩くし、よい運動ではあるとは思う。稀に担いで回ってる人もいるけど、多くの場合USGAの公式ハンディキャップ(GHIN)を持っていて競技としてゴルフをやっているプレイヤーなことが多い。

アメリカのゴルファー

アメリカ全土で見た場合、ゴルファーの人口層は白人が多い。ここのデータを見る限り、アメリカのゴルファー人口のうち白人は72.8% (アメリカの人口層で白人は約59%)で、アジア人は3.7% (同5.9%)。圧倒的にアジア人が多いシリコンバレー界隈でもゴルフ場は白人アメリカ人が多い印象は受ける。と同時に、コースによってはっきりとアジア人が多いコースと白人アメリカ人が多いコースが分かれるようで、近所のコースなんかは70-80%くらいがアジア人(中国系と韓国系)だったりもする。

140yくらいのパー3で4人とも(ほぼ)ナイスオン

パブリックコースで適当に回ってる限りだと、平均的に90-110前後のスコアで回る腕前のプレイヤーが多数で、ごく稀に80台や80を切るようなプレイヤーがいる印象。逆に、まるっきり初心者でショットがどこに行ったか分からん…みたいな人もたまにいたりする。みな、それなりに真剣にプレーはするけど、楽しみながらリラックスしてやっている人が大多数。打つ順番も適当だし、パットも打てる人から適当に打つ…みたいなノリ(準備できた人から打つことを"Ready Golf"と呼ぶ)。シビアにトータルのスコアを気にするというよりも、バーディーが取れた!とか、よいティーショットが打てたとか、ロングパットが入った…みたいな感じで楽しんでる感じ。

ジュニアゴルファー

アメリカのゴルフを見て強く感じるのは、ジュニアゴルファーを育てる体制・環境がとってもしっかりしていること。ゴルフ場が身近なことであることもあるし、子供がちょっとゆっくりプレーしていても目くじらを立てるような雰囲気もないので、ちょっとしたレッスンやキャンプでゴルフをはじめたり、親と一緒に気軽に練習をしたりということが簡単にできる。

特に素晴らしいなと思うのがYouth on Courseというプログラムで、これは$30の年会費を払うと数多くのコースでジュニア(18歳未満)のグリーンフィーが$5になるというもの。コストという最大のバリアを取り除くという意味でとても有効だし、これを使って親が一緒について子供だけを回らせて…みたいなパターンも目にする。前にジュニアがテニスをする環境ということでも書いたけど、アメリカでトップ選手が継続的に排出されるのは、こうやってプレイヤー層を増やす努力を常にし続けているからなのかなと思う。

近所のコースのチッピング用グリーンで練習中の長男 (5歳当時)

さらに、アメリカ全土で行われているFirst Teeというジュニア向けのプログラムがあって、道具を持っていない子供やまるっきり初めての子供でも、比較的安価でプロのコーチにレッスンを受けることができて、ゴルフの面白さに触れることができる。我が家の長男は4,5歳から適当なクラブを揃えてパッティングやショットをやっていたけど、8歳の時にFirst Teeに参加してなかなか楽しんだ模様。ただし、野球とテニスのほうが楽しいようなので、ゴルフをやるとしたらもう少し大きくなってからかな…。

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