Microsoft と Netflix と昭和のテレビ
番組説明ページ
退職してから Netflix をわりと観るようになったのですが、Netflix ってスタッフやキャストを確認できる一覧のページがないんですよね。
いや、全くないわけではなくて、ちょっと深い階層に入って「詳細」を選ぶと少しだけ記述はあります。でも、(作品にもよるのですが)スタッフは監督だけ、出演者はほんの2~3人だけというケースが多くて、これでは却々参考になりません。
私としては脚本家と、できることなら撮影監督の名前も知りたいし、出演者はできればまとまった台詞のある人全員、そして何よりも出演者と役名を紐づけたリストを用意してほしいのです。
そんなの Amazon Prime Video も似たようなものではないか、と言われるかもしれませんが、アマプラのほうが Netflix よりも幾分詳しいですし、各回のエピソードを紹介する文中では「役名(出演者名)」という記述をしてあることが多いです。
Netflix だとそれがないので、エピソードを観たあとで「あれは誰だったのか?」と思って調べようと思っても分からないのです。
TVer とかだともう少し親切です。それは日本のテレビ番組が元になっているからかもしれません。そして、日本のテレビ局が作った番組であれば配信ページの他に必ず番組ホームページが存在する(そしてドラマだったら大抵「登場人物相関図」がついている)ので、そこを見ればスタッフもキャストも一目瞭然なのです。
Netflix も番組説明ページを作ってくれるとありがたいのですが、検索しても出てくるのは大抵いきなり動画が始まっちゃうページでがっかりします。
私は劇場用の邦画はほぼ監督名や脚本家名で選んでいますし、出演者にしても「あ、この娘、端役だけれどものすごく良い! これは売れてくるぞ。何て言う役者だろう?」などと思って調べることも多々ある(そして、実際に売れてきた女優も多数いる)ので、スタッフ/キャストの一覧ページがないと不便で仕方がありません。
本編にしてもエンドロールで「クレジットを観る」をわざわざ選択しないことには勝手に次の回や別番組の予告に飛んでしまいます。おまけにクレジットを観てみたら速すぎてほとんど読めないことも(笑) 多分こんなもん誰も見ないと思っていて、別に読んでもらう気もなく、ただ形式的に出しているだけなんでしょうね。
そういうことを考えると、Netflix って Microsoft と全く同じ企業風土なんだなだと思います。両者とも、顧客一人ひとりの判断や選択よりも自分たちの設計やサービス方針のほうが優れている、上を行っている、と思いこんでいるのではないでしょうか。
それが私には残念でならないのです。
Microsoft
Microsoft は生まれて初めての PC を買って以来ずっと使っていますが、Windows はバージョンアップをするたびに変な方向に行っていると感じざるを得ません。そんな思いをしているのはあくまで少数派であるというのなら仕方がありませんが、しかし、それにしてもユーザが設定を選べる範囲がどんどん狭くなっているのが気になります。
そして、例えばエクスプローラでファイルの拡張子を表示しないのをデフォルトにするなど、どうしてそんなことをするのか全く理解できないことが次々現れていると思うのです。そういう設定については、「お前たちはそんなこと知らなくて良い」と言われている気がするのです。
でも、実際拡張子が表示されていないとそれはどのアプリケーションのファイルなのかが瞬時に分からなくて困ることがあります。また、同じ Excel のファイルであったとしても .xlsx なのかそれとも随分昔のバージョンの .xls なのかはひと目見て分かったほうが良いに決まっています。
もちろん後から設定変更ができます。でも、どうしてデフォルトは「表示しない」にしてあるのでしょう。そこに透けて見えるのは、「知識もない初心者のユーザが勝手に拡張子を書き換えてしまったら面倒だ」というユーザに対する信頼感の欠如なのではないでしょうか?
と言われているような気がしてなりません。そのほうが良い人もいるでしょう。でも、そんなユーザばかりではないのです。
そして、Netflix にも似たような傾向があると思うのです。
Netflix
前述した通り、Netflix には番組についての文字情報が圧倒的に少ないのです。もちろんサイトに行けば短い紹介文は読めます。上手に作られた予告編も観られます。でも、ユーザが自分で選び自分で決めるための情報量としては全然足りないのです。
重ねて書きますが、(外国作品についてはあまり詳しくないのでそんなにこだわりませんが、少なくとも日本の作品については)私は監督や脚本家の名前を確かめてから観るかどうかを決めたいし、観ている途中で、「お、この娘は一体何者?」と思ったら一覧表から芸名を確かめたいのです。
Netflix の自慢は何と言っても AI を使ったレコメンド機能でしょう。でも、私は Netflix のレコメンドで次に観る番組を決めたことは一度もありません。何故なら、Netflix は、あるいは Netflixご自慢の AI は、結構的外れな番組をユーザに推薦してくるからです。如何にも「上辺だけしか見ていないな」と思ってしまうような的外れな番組ばかりを。
そして、後から知って驚いたのですが、私と同じ不満を託っている人が結構いるのです。
ここにも、
と言っているような、ある種の奢りみたいなものを私はどうしても感じてしまうのです。自分で調べて観るユーザなんてあまり相手にしていないのでしょうね。
それってまるで、昭和のテレビマンが、「そんな難しいこと言っても視聴者には分からねえよ」とか「大丈夫、大丈夫。視聴者はそんなこと誰も気づかないから」などと言って、視聴者をなめた番組作りをしていたのと同じじゃないかと思うのです。
自分の専門知識や経験を過信するか、AI の能力を盲信するかというだけの違いではないでしょうか?
そういう意味で、私は Netflix はこのままで大丈夫なのか、その未来が少し心配になります。ちょうど私が働いていた昭和のテレビが次第に衰退して行ったようなことになりはしないか…、と。
私の考えすぎでしょうか? あるいは、私の趣味趣向が特殊すぎるのでしょうか?
そうかもしれません。でも、もし AI によるレコメンド機能さえあれば充分だと考えているのだとしたら、その考えだけは改めて、もう少しユーザに選ぶ権利と機能を譲渡してほしいなと思っています。
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