どうする Facebook? どうしよう Facebook?
Facebook の高年齢化
先日どこかで読んだのですが、若い人に Facebook のアカウントを持っているかと尋ねたところ、
と答えたとのこと。
そして、どうやらこれは同世代の若者たちに結構共通する感覚みたいなんですよね。
確かに X(twitter)があって、Instagram があって、TikTok があって、他にもどんなものがあるのか僕は詳しくないですが、彼らはそこら辺で充分満足で、わざわざ Facebook に手を出す意味はどこにもないのでしょうね。
かくして、少なくとも日本では、Facebook は確実に老人メディア化への道を辿り始めています。Facebook が登場したときに感動した僕らの世代は、それをちょっと悲しい気持ちで眺めています。
そして、昨今では非常に不適切な広告の問題もあります。このままでは高齢者まで逃げ出すかもしれません。
Facebook は、そして、マーク・ザッカーバーグはこの先どうするのでしょう?
初めての Facebook
僕が Facebook の存在を知ったのは 2008年の4月、会社の出張で米国の大規模な放送/IT系の展示会を訪れたときでした。
とあるセッションに地元の大学生4人が登壇したのですが、その4人ともが Facebook に嵌まっており、中でもひとりの女学生は、
と、まるで夢見るように語っていました。
僕はそのときまで Facebook の存在を知りませんでした。
日本にはすでにミクシィがありましたが、僕は何の興味もなく全く手を出していませんでした。米国ではソーシャル・メディア(ちなみに米国では SNS とは言いません)が興隆しているとは聞いていましたが、その第一人者として専ら語られていたのは MySpace というサービスでした。
急に出てきた Facebook が、この辺のタイミングで一気に MySpace を抜き去ったということだと思います。
僕はホテルの部屋に帰ってから急いで Facebook なるものを検索して登録してみたのですが、まずは実名登録というのにかなり抵抗感があったのを憶えています。それでも実名を入れて、そして、出身大学まで書かされて、Enter を押したらいきなり、
というリストが(もちろん英語で)出てきて、「なんじゃこりゃあ!」とびっくり仰天して、他にやっている知り合いもいなかったこともあり、すぐに怖くなって退会してしまいました。
しかし、その後 Facebook は日本にも上陸し、登録する人も少しずつ増えてきました。僕はさとなお(佐藤尚之)さんが登録したのを見て、
と割り切って再登録をしました。
そんな人が多かったんじゃないでしょうか。その後も登録者は次第に増え、やがて人気のメディアになり、会社の中でもどんどんユーザが増えていきました。
学生たちも就職の情報収集と自己アピールのために登録する例が増えた一方で、しかし、既に入社している若手社員たちの中には、
と言って敬遠する向きがあったのも事実です。
僕は上司であろうが恩人であろうが、「友達」になりたくない相手からの申請は平気で削除しますが、その一方で、自分の部下や自分より年少の同僚に対しては、(Facebook の初期は別として)決してこちらからは友達申請しないようにしていたのも事実です。
仕事で体験した Facebook の圧倒的なスピード感
僕が Facebook について、「これはすごい!」と思い、「これはこれからの仕事を進める上で決して外すことのできないツールだ」と感じたのは 2011年3月の東日本大震災のときでした。
当時僕は勤めていたテレビ局のコンテンツ事業局のチーフ・マネージャーという職に就いていました。
地震発生からどれくらいの時間が経過したころだったか正確には憶えていないのですが(いずれにしても発生後まもないタイミングです)、誰かが、
と Facebook の社内グループに投稿したのです。地震と津波でえらいことになっているのに、お笑い番組の今週の予告とか脳天気に出してる場合か?ということです。
ホームページの作成・運営はコンテンツ事業局の担当でした。
その発言にいろんな部署のいろんな人が次々に反応して、まずはページの入れ替えを行ってニュースのページをトップに持って来て、さらにそれを東日本大震災の特設ページに作り変えました。
すると、また別の誰かが、
と言い出して、
などとなって、あっという間にトップにさまざまな情報と動画が流れるページが出来上がりました。
しかも、その全てが Facebook のグループ内だけで行われたのです。
みたいなまどろっこしいやり取りは一切なく、全てが Facebook上で、各部の部長以上なんぞはひとりも登場せず、全てが「現場」の判断で行われたのです。
しかも、普段の仕事の何倍ものスピードで。
僕はこのやり取りを Facebook 上で逐一見ていました。心底「すごいなあ。面白いなあ」と思いました。僕も一応「部長以上」の端くれでしたが、一切投稿はしていません。
ただ、もしどうしても必要になるのであれば、自分が局長や役員への説明役を買って出るしかないなと思っていましたし、もしも何か非常にまずい事態が起きて彼らが叱責されるようなことになりそうだったら、
と名乗り出るのが自分の責務なんだろうなと思っていました(幸いそんなことはせずに済みましたが)。
そんなことを書くと「カッコつけやがって」と思う人もいるかも知れませんが、実際そんな風に仕事が回り始めると、管理職なんてそれぐらいしかやることがなくなります。
まあ、仕事のやり方としてはとても正しいと思いますね。
人は偉くなればなるほど「現場」から遠くなるので、そのため間違った判断をしてしまいがちなのです。
全ては「現場」が判断してそれを上に承認させる形が理想だと僕はずっと思っています。このときの仕事の進み方がそうでした。いや、上司に承認させることはすっ飛ばしてましたが、僕が一部始終を見ていたので、まあ、良いでしょう(笑)
いちいち上への根回しとかをやっていると時間がかかって仕方がないのです。あのときはそれが一切なかっただけでなく、全ての情報共有と打ち合わせが facebook 上で行われたために、今まで経験したことがないくらいのスピードで仕事が進んだのです。
僕はこれからの仕事の進め方はこれだ!と狂喜乱舞しました。そして、これが今後のスタンダードになると確信しました。
どうする? ザッカーバーグ どうする?俺
しかし、上にも書いた通り、その後も若い社員たちはますます Facebook に近づこうとはせず、全ての仕事が Facebook上で完結するような体制は構築できずに終わってしまいました。
そして、今では最初に書いたような体たらくです。若い世代不在で、詐欺広告が溢れ…。
残念ですね。
単に仕事を進めるための手段であるならば、Facebook 以外にもいろいろやり方は考えられるでしょう。
でも、僕らは(関わり方や書く内容は人それぞれでしょうが)もうかなりどっぷりと Facebook に浸かっていて、コミュニケーション・ツールとしてこれが廃れて行くのを見るのはとても残念なのです。
さて、ザッカーバーグさん、この先なにか手立てを考えているんでしょうか? それとも僕らはそろそろ Facebook を捨てて他のメディアに乗り換える時期に来ているのでしょうか?
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