ハンコのコミュニケーション? ~お辞儀印と逆さま印~
僕は最近まで全く知らなかったのですが、「お辞儀印」などという風習があるんですってね。お辞儀しているように傾けてハンコを押すやつ。
ご存じない方のためにもうちょっと詳しく説明すると、伝票とか決済書とか稟議書なんかには何人かの人がハンコを押すことになりますが、大体は並んでいるハンコ欄の一番右がペーペーで左に行くほど偉くなります。
で、右の人は左の上司に向かってお辞儀をするように、ハンコをまっすぐではなく左に傾けて押すのだそうです。
それだけならまだしも、一番右側の人が一番大きく傾けて捺印し、左に行くほど順番に傾きが小さくなって、一番偉い左端の人だけがまっすぐ押すんだとか。金融業界の風習なんですって?
このデジタル時代に紙の書類に捺印させられるだけでも馬鹿らしいと思うのですが、そんなこと大真面目にやってる人たちもいるんですね。僕自身はそんなハンコ押したことないですし、社内で見かけたこともありませんが。
それを聞いた僕の知り合いは「自分は曲がったことが大嫌いなので、斜めに押すなんて絶対に嫌だ」と本気で怒ってましたよ(笑)
それで思い出したのですが、僕はかつて、テレビ編成部で番組予算担当をやっていた時に、傾けるどころか 180度回転して、ハンコを上下逆さまに押していたことがあります。もう四半世紀ほど前ですが(笑)
それは、「けったくそ悪いけど、今回だけは認める」という意思表示でした。
予算担当として、何が何でも最初に決めた予算の範囲内で番組を作れと言う気はありません。新たにこんなアイデアを入れ込みたいから追加予算をくれというような前向きな話であれば、こちらも前向きに対応します。
前向きとは言えなくても不可抗力的な経費増については面倒を見ます。
ただ、たとえばプロデューサーがいい加減な対応をしていたために不必要な支出が発生してしまったというような場合。でも、社外への支払いを止めるわけには行かないので、今回だけは認めるけれど今後は一切認めないから、というような場合。
そんなときに僕は逆さまにハンコを押してました。すぐに僕と一緒に予算担当をしていた部下が面白がって真似したので、編成部のハンコ欄にはお辞儀印どころか逆さま印が2つ並んでいたりしたものです。
そんなの、お辞儀印の習慣のある金融業界のエライさんが見たら激怒するんでしょうかね(笑)
でも、まあ、お辞儀印と比べてどちらが良いとかマシとか言う気はありません。どっちもある種の意思表示みたいなもんであり、ある種のメッセージですからね。
──お辞儀印のほうは、「あなたの下僕として仕えさせていただきます」という意思表示。僕らの逆さま印は、これは編成のあと経理に回るので、経理部に対して「この支払いはそういう位置づけですよ」というメッセージでした。
経理への連絡だったら、その野放図プロデューサには伝わらないじゃないかと言われるかもしれませんが、大丈夫です。P には口頭で伝えたあとの話ですから。
それを考えると、意味があるのは P への口頭苦言であって、そのあと逆さまに押してもあまり意味はないんですよね。でも、いいんですよ、遊びなんだから。仕事に遊びを取り入れましょう。仕事にも遊びは必要なんです。
お辞儀印もひょっとしたら最初は誰かが遊びで始めたものかもしれません。うん、そんな気がしてきました。
だから、僕がもしお辞儀印を押さざるを得ない会社で働いていたとしたら、僕だったらこういうハンコ ↓ を作りますね。こういうハンコを作って、印影は一切傾けることなく、まっすぐ押して上司に回したいと思います(笑)
最後までお読みいただきありがとうございました。ペコリ。
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