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「地域限定保育士」制度って、そもそも当事者に何のメリットがあるんでしょう?おまけに全国展開するからって、じゃ「地域限定保育士」になろうって思うことってないですよね。

 11月22日の朝日新聞デジタルに、「「地域限定保育士」制度、全国展開で法改正へ 保育士不足対策の一環」という記事が出ています。

 2015年に国家戦略特区で始まった「地域限定保育士」制度とは、自治体が実施する試験に合格すると地域を限定して3年間働くことができますが、通常の保育士試験を実施してもなお、人手不足が見込まれる場合、自治体が保育士確保のため「特に必要があると認める場合」に限られています。地域限定保育士では受験のハードルを下げることで、なり手不足の対策としたい考えから、実技試験を免除し、講習に代えられるようにするのですが、実際に保育士になってからピアノ伴奏など必要になる場面が多いので、保育士になろうという人は、ピアノなどを習いに行くのが現状ですから、それが免除されるからと言って、受験者が殺到することはないように思いますし、それでなり手不足が解消できるとは思えませんが…。
 教員と一緒で、労働環境があまり良くないからこそ、なり手が減っているのが実態なのではないかと思いますので、本当ならば、その対策を一番に考えるのが筋なのに…。
 
 地域限定保育士の登録後3年が経った後、4年目以降は全国での勤務が可能となるように改正をするとのことなのですが、そうなったところでなり手不足解消にもならないでしょうし、当事者にも特にメリットがあるとも思えません。
 そもそも地域限定保育士として働いている人が、全国で働けるようになったからと言って他地域に移動してしまえば、元の地域ではまた保育士が減ってしまうわけですし、地域限定保育士になる人が、そんなにあちらこちらに移動するってことも考えずらいです(そもそも当事者が住んでいる地域だからこそ、そこの保育士になるのではないかと思うのですが)。

 このような改正を行おうとするこども家庭庁は、保育士になろうとする人のニーズを把握しているようには思えませんね。文科省も同じですけど、机上で考えたことを実施する方が仕事はスムーズに進みますが、それが実社会でうまく機能するかどうかはわからないですから(現実はあまりうまくいかない場合が多いのはご承知の通りです。「事件は会議室で起きているんじゃない!(by青島刑事)」です。)、本当に問題を解決しようと思うのならば、現場に行かないと(もしかすると、本当は本気で解決する気はないけど、何かやらないといけないから、なんてことないですよね)。

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