ローマ字の「訓令式」、なじみがないなぁ。
2月15日の朝日新聞デジタルに、「ローマ字表記の告示、70年ぶり改定見通し 実態に即しヘボン式軸に」という記事が出ています。
「ローマ字のつづり方」に関しては、記事にもあるように、現在は「ヘボン式」が一般的で、「訓令式」の方がなじみが薄い気がしますが、「54年に出され現在でも効力を持つ内閣告示は、「一般に国語を書き表す場合」は訓令式のつづり方を用いると定め」ていますが、今回文化審議会国語分科会国語課題小委員会の議論により、約70年ぶりに改定されることになったという話題です。
ヘボン式は、英語のつづりに近く、「日本語の発音に近い形で表そうとするものであり、実際の音声との対応が分かりやすい。英語が実質的な国際共通語となっているとともに、現在の日本語のローマ字表記が国際的な配慮から使用される場合が多いことから、社会生活においてはほとんどの場合このヘボン式が用いられている。」という現状において、「ヘボン式」が浸透している実態に合わせるというふうに改定するのはあたり前だと思いますが、逆に今まで手をつけなかったことが問題だったと思います。その意味で、やっと改定されることになったのは喜ばしいことです。
実際は、世の中全体ではヘボン式やそれに準ずるようなつづりが多く使われている状況なので、規定上改定されるということになるので、日常的にはあまり大きな影響はないでしょう。
委員の意見の中には、「ヘボン式は英語圏の人たちが主に採用している。これから日本に来る人たちは、英語圏の人たちばかりではなく、アルファベットは読めるが英語は話せないといった人たちも多い。言語学的に合理的なつづり方というのも考えるべき視点ではないか。 」というものもありますが、「英語が事実上の国際共通語として機能しているため、それに近いヘボン式の表記の方が分かりやすい」という方を重視すべきで、「世の中で広く使われているヘボン式を採用しつつ、それでも不都合が生じている部分については、ヘボン式をベースにして新しいつづり方を盛り込んでいくということになるのではないか。」というのが現実的でしょう。
言語は道具なので、現状に合わせて臨機応変に対応させていく必要があります。ローマ字に関しては、今後も検討が必要なものなのですから、マメに議論して、対応していくことが望ましいですね。