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非常にレベルが高くて、とても高校生の研究とは思えません。

 12月25日の朝日新聞デジタルに、「「研究どうやる?」からのスタート 高校生がカニ→プラつくる菌発見」という記事が出ています。

 JSEC2023(第21回高校生・高専生科学技術チャレンジ)で、文部科学大臣賞を受賞した近畿大付属豊岡高校2年生の池上十和子さんの研究「カニ殻からバイオプラスチックを生成する新規微生物の探索と同定」について紹介した記事です。
 
 JSEC(Japan Science & Engineering Challenge)は、全国の高校生と高等専門学校生を対象に、2003年に始まった科学技術の自由研究コンテストです。対象となる研究分野は、伝統的な「理科」の範囲に加え、ロボット工学、数学、行動・社会科学など多岐にわたります。上位入賞者のうち数名(チーム)は、世界中から高校生が集まる「国際学生科学技術フェア(ISEF)」に出場するというものです。
 高校生と高等専門学校生が対象となっていますが、今回の入賞者を見ると、高専はあまり多くなく高校が多いですね。ただ、高専生でも参加資格は3年生までですので、事実上高校生のコンテストですね。

 しかし、文部科学大臣賞を受賞した池上十和子さんの研究「カニ殻からバイオプラスチックを生成する新規微生物の探索と同定」は、タイトルからして高校生の研究だとはとても思えないものですし、「廃棄されるカニの殻をエサに、環境への負荷が小さいという「バイオプラスチック」を生成する微生物を発見した」という内容を見て、さらに驚くばかりです。
 そもそも中学生の時に、「「プラスチックに代わるものをつくりたい」。そう考えていて、蚊をヒントに開発された痛くない注射器のように、生きものの構造を参考に新たな技術を開発する「バイオミメティクス(生物模倣)」の技法に興味を持った」というのですから、すごいですね。

 文部科学大臣賞を受賞した池上十和子さん以外の、グランドアワードと称されている科学技術政策担当大臣賞の桜蔭高等学校の中辻知代さんの「段ボール箱を再利用した災害時対応机・折り畳み椅子の設計と製作手法及び手を挟みにくい折り畳み椅子の開発」、科学技術振興機構賞のノートルダム清心学園清心女子高等学校の植野涼子さんの「稲踏み効果の科学的検証Ⅱ」も、具体的な内容はわかりませんが、タイトルからしてすごそうです(JSEC2023 表彰研究作品のタイトルはこちらで見ることができます)。

 JSECは、自発的に考えて課題を見つけ、解決し、さらに展開するという、まさに探究学習の典型なわけで、日常の学習において、このコンテストに出せるくらいのことができれば、学校での成績はかなり良いものになることは間違いないわけで、JSECが大学の総合型選抜、学校選抜型などで評価される対象のコンテストであることも納得です。
 このような研究をする生徒にかかわれる先生方も、きっと楽しいでしょうね。

 なお、協賛社賞の1つである栗田工業賞を、静岡理工科大学静岡北高等学校が受賞していて、2024年の5月にアメリカのカリフォルニア州ロサンゼルスで開催される「国際学生科学技術フェア(ISEF2024)」の日本代表に内定しています(詳細はこちら)。静岡北高さん、すごいです‼


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